アイリッシュコンサーティーナにおける装飾音について #5 トリプレット
第3回、第4回とロールの奏法について考えてきました。
ロールは話がなかなか難しくなりましたが、今回はわりとシンプルになりそうです。
※前回の記事
■まず、トリプレットとは何か
トリプレットとは、8分音符2つの間をつなぐように音を挿入する奏法です。上行する場合と下行する場合があります。
楽譜にする場合、上記のように三連符で表記されることが多いですが、実際のリズムは異なり、以下のように前に詰まって聞こえます。
クラシックの演奏を経験した方は注意するポイントです。
【注意】本記事でいうトリプレットは、主にテナーバンジョーやマンドリン、フィドルで使われる、同じ音を素早く3回連続で弾く奏法とは区別します。
この同音3回の奏法は、トリプレット(Triplet)、単音トリプレット(Single Note Triplet)、トレブル(Treble)、三連符(正確に楽譜表記すると三連符ではない)などの呼び名があります。
■実際の曲での使用例
実際にコンサーティーナ奏者が使っているのを聴いたことがあるパターンをご紹介してみたいと思います。
※前述の通りトリプレットは通常3連符で記譜することが多いですが、あえて実際のリズムに近い書き方をしています。
※奏者によってトリプレットを使うタイミングは異なるため(必ずここで使うというものはない)、あくまでも一例になります。
【上行パターン】
【下行パターン】
※上行パターンミファソや下行パターンシラソなどでは、トリプレット中に蛇腹を返します。うまくはまると演奏効果の高い装飾になると思います。速いテンポだと難しいので練習が必要です。
■今回のまとめ
・トリプレットは8分音符2つの間をつなぐように音を挿入する奏法。
・リズムは一般的な楽譜表記(三連符)とは異なるので注意が必要。
さて、予定していた内容はあと一回で終了となります。
次回はコードとドローン編。またなかなかヘビーな内容になりそうですが……。頑張って整理してみたいと思います。