見出し画像

自主企画を終えて。


一週間経ってやはりこの気持ちは文章に残しておかねばならないと思ったので本文に残すことにしました。
極めて個人的な拙い文章ではありますが、ご笑覧いただければ幸いです。

STAIRS PUNX vol.2 「ペニーレインへはもう行かない」
ご来場頂いた皆さん、本当に本当にありがとうございました。
こんなご時世、人ひとりが足を動かすことがどれだけ尊いことなのかはわかっているつもりです。
だからこそ、リスクを背負って自分で決めて見に来てくれた皆さんには本当に感謝しかない。
本当にありがとうございました。

出演頂いたSEVENTEEN AGAiNとDear Chambers、会場の新宿Marbleにも感謝を伝えたいです。
本当に出てくれてありがとう。
素晴らしいライブをやってくれてありがとう。
場を残してくれていてありがとう。
続けていてくれて、ありがとう。

僕は新潟の片田舎で生まれ育って、そこはCDショップがTSUTAYA一軒しかないような街で。
当然のながら、音楽の話をできるような友人は皆無でした。
自分と同じ熱量で音楽を話をすることができたのは大学進学で東京に出てきて、ライブハウスに入り浸るようになってからで、その場所が新宿マーブルでした。

11年前、この場所で僕は多くの友人と出会い、あの入口の階段でクソのような与太話を繰り返していました。
なんの生産性もないような時間でしたが、僕にとってはとても貴重で大切な数年間だったんです。
週に2回3回とマーブルに行き、そうすればあの階段には誰かしらがいて、290円の生ビールをガブ飲みする。あの頃の歌舞伎町は確実に僕達の街で、マーブルは僕達の溜まり場だという自負がありました。

そんな日々から10年ほど経った昨年、久しぶりにメメタァとユタ州とガガガSPを見にマーブルへ帰ったとき。特になにが、というわけではないけど、なんとなくここはもう自分の場所ではないと感じてしまったんです。
そしてそれを素直に受け入れそうになった自分がまた悲しくて、やり切れなくて。不変だと思っていた街も場所も人も自分も、流れる時間には逆らえないってことを改めて突きつけたられたようで悔しかったのかもしれません。

今思えば、その時に企画をやろうと思い立ったのだと思います。歌舞伎町が、マーブルが、完全に過去になる前に。まだこの感覚が残っているうちに。気がつけばもう何年も顔見てない、ここで出会った人達にちゃんと会っておきたい。

そうして、ちゃんと伝えたかった。
みんな歳を取ったね、もう十分大人になったよね。就職したり地元帰ったり結婚したり子供できたり、日々忙しいね。だからもうみんなで集まることなんてできないかもしれない、これが最後かもしれないけど元気でね、と。あの頃お前らがいてめっちゃ楽しかったし、人生に大きな影響を与えてくれたよ、ありがとう、と。

ライブハウスで出会った友人達は不思議かな、ライブハウスじゃないと集まれないんだ。

そして、あの頃のマーブルとは全く関係ない人達にも来てほしかったんです。
この場所とは関係ないシーンで出会った人、この場所から離れて違う箱で出会った人。ただただ出演バンドが好きな人。
そんな人達に俺の出身のライブハウスはこんな場所なんだって、感じてほしかった。
妙にポップな壁画、地下室へと続く急な階段。狭くて、酒が溢れた床はベタベタで、酔っ払いがうざくて、トイレは狭い。こんなに不便なのになんでかステージで音が鳴ったらこの世で一番美しい場所に生まれ変わる。なあ、これが俺がずっといた箱なんだよ、最高のライブハウスだろ?って自慢したかった。

当日は始まる前から酒を飲んだ。
前に企画やった時は1秒も見逃したくないって気持ちが強くて、一滴も飲まなかったんだけど今回は飲んだ。ドキドキしてソワソワして、酒でも飲まねえとやってらんなかった。少しアルコールが染みてからようやく落ち着くことができたように思う。お久しぶりから昨日ぶりまで色んな人が酒を恵んでくれたお陰です。

ライブ中は楽屋から出てすぐのステージ横で見てました。

ライブハウスに長く身を置くようになってからずっと出演者や箱の人間ではないやつがステージ袖から見てるの、嫌で。お前自身はなんーーもやってないのに何デカい面してんだクソッタレって思ってました。企画者の人でもフロアからみんなと同じ目線で見てる人がカッコよくて、だから自分の企画でもそう振舞ってきたんだったんだけど、今回は初めてステージ側から見ることにしました。

ちゃんと見たかったんですよ、来てくれた人の顔。
上記の通り、こんな時にライブハウスへ来ることがどんだけ足の重いことなのかは本当によく理解してるつもりだから、そういう人達の反応を見たかった。どうだったかな?ライブ楽しかったかな。不快に感じたこともきっとあったんだろうけど、来てくれた人の顔を見ていてちょっと安心できました。

ちょっとだけライブハウスに想うことを話します。
コロナ禍に入って以降、ライブハウスの状況は日に日に悪くなっているように感じます。
世情が流入して、わかりやすい大義名分を元手に安い正義感で手っ取り早く承認欲求を会得するような振る舞いを見る度、やはり少し陰鬱な気分になります。仕方ないかもしれない。だけどそんな空気で満たされたライブハウスなんて見たくなかった。
これからもできる限り見たくない。
正しさは勿論正しいけれど、正しさを武器にするのは絶対に正しくない。

ライブハウスが正しさで満たされたような空間であったならば、僕はきっとここまで入り浸ることはなかっただろうと思います。正しくなさや失敗を真っ当に怒られながらも存在を否定されることのない場所だったから、僕はここにいられました。これからもどうか、そんな場所であってほしいと切に願います。

2015年に企画やってからずっと、頭のどっかにまた企画やりたいと思いつつダラダラここまできてしまったけれど、今回きっちりやれてようやく自分の中でケリをつけられました。永遠に歳を取らなくなった数人の友人との約束を果たすことができ、やっと自分で納得のできる仕舞い方を示せたような気がします。

どうかできるだけ健やかに。
思い煩う事なく生きていて下さい。
死なないで下さい。
そしたらまたいつか会えると峯田が言ってました。

でかい主語に飲まれず個々であり続け、自分で選んだことをやり続けたその先で、きっとまた会えることを心待ちにしています。
どうもありがとうございました。

STAIRS PUNXでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?