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持続可能な音楽活動のための往復書簡第六回(山田亮)

※こちらはわたなべゆきこさんによる、この企画の説明文です。

この連載は「ドイツにいるわたし」⇔「日本にいるあなた」の間で行われる往復書簡です。対岸は、ピアニストで作曲家の山田亮さんにお願いしました。「今ここ」にある何か、を書き記していきたいと思います。


わたなべゆきこさんへ

引っ越しをしていて少しお返事が遅れてしまいました。
お元気ですか?

「自分で楽しんじゃえる」ことが「半永続的に」続けば、みんなハッピーだろうなぁ、と思うんですよね。

本当にそれに尽きると思います。心から共感します。


「先生の言うことを、コピーすること」や「言われた通りに作り上げる模範的な回答」ではなくて、「自分で考えたり、感じたりすることができる」こと。

これは生きる上でものすごく大切な力だと思います。芸術ってこういう事にとても役に立つと思います。自分で考えたり感じたりするためには、価値観や感覚や考え方の幅広さが大事。いろいろな作品に触れると自分の思考のパレットが広がります。

生きる上で怖いのは価値観が固定化されてしまうこと。1つの価値観に強く縛られてしまうと、大学受験や就職や恋愛がうまくいかなかった時に自殺したりしてしまう。

芸術家は感覚や価値観をずらす訓練をしているような気もします。感覚や価値観をずらす経験をたくさんしていくと、自分の中でどうしても譲れない点が見えてくる。見えてくると守る事が出来るようになる。そこさえ守れば、後は自由です。

自分の子供にもたくましく楽しく生きてほしいと強く願います。
何かを突き詰めていくと、正解がないことが分かってきます。そうすると、きっと楽になります。どの分野でもいいけど、突き詰めて何かをやってほしいなと思っています。


山田さんが考える「持続可能な音楽活動のアイディア」。「こんなことやってるよ」、「こういうアイディアがあるよ!」っていう具体的なアイディア、良かったら少し聞かせてもらえませんか。

今は話をしながらジャズピアノを演奏する配信をやっています。引っ越しで少し休んでいましたが、再開しました。毎日やるつもりです。

こちらの動画チャンネルでやっています。


僕は自分にできないことがたくさんあります。それもあって、周りの音楽家をとても尊敬しています。でも、皆さんの中にある資源が一部しか使われていないと感じています。音楽家の中にある宝を享受している人が少なすぎる。もったいない。

いろいろな事をもっともっとオープンにした方が良いのではないかと思っています。自分の音楽の価値を心から認めてくれる人がいたら、お金は必ずついてきます。それまでは音楽を広めることを優先した方が良いのではと考えています。少しでもお金を取ってしまうと、広める力が一気に減ってしまう。お金を払ってでも、まずはたくさん聴いてもらわないといけない。

音を聴いてもらうのがいいのかもしれないし、考え方を書いた文章でも良いのかもしれない。

持続可能な音楽活動は自分の音楽を愛してくれる人に支えられています。自分の音楽を愛してくれる人にいかに出会うか、が大事なのではないでしょうか。


2020.6.11
山田亮



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