TOMOO LIVE TOUR 2023-2024 "TWO MOON"東京公演の感想
2024年1月30日(火)に開催された『TOMOO LIVE TOUR 2023-2024 "TWO MOON"』ファイナル公演@TOKYO DOME CITY HALLに行ってきた。
体が自然と揺れる楽しい場面もあれば、迫力ある歌唱と歌詞のメッセージ性に胸を打たれる場面もある、色鮮やかなライブだった。この素晴らしい音楽体験をできるだけ記憶に残しておくために感想を記しておきたい。
開演前
当日は時間に余裕があったので、神保町の「エチオピア」に寄ってカレーを食べてから少し歩き会場に向かった。到着したのは17時前だったと記憶している。
物販列に並んでいるとスタッフさんから「ランダムグッズ売り切れましたー!」の声が。少しの残念と後悔を押し込めてTシャツを購入する。Tシャツだけでも買えてよかった!
会場前で前回の六本木公園の際に少し話した方にすれ違い、ひとこと挨拶をしてから開場まで時間をつぶした。ライブは基本一人で行くので知っている人がいると少しほっとする。
セットリスト
夢はさめても
円錐状のスポットライトがステージ中央のキーボードを照らしてライブは「夢はさめても」から始まった。ライブが始まり、演者が見えた瞬間って何にも代え難い幸福感!
「夢はさめても」は2番の展開が大好き。Aメロ後のインストパートでは各楽器の音を感じながら体を揺らすのが気持ちいい!そして高まってきたところで一瞬音が止んで静かに2回目のサビが始まる。この瞬間がまた最高。
高木祥太(BREIMEN)の間を活かしてサビを際立たせる編曲は「夢はさめても」だけでなく「Friday」や「Cinderella」でも曲のドラマ性を演出していてもう本当にありがとうという気持ち。
TOMOOの曲は比較的音域が低めで自分(男性)にも歌いやすいものが多い。中でも「夢はさめても」は自分にとってちょうど良い音域のため、歌うとめちゃくちゃ気持ちいい。
だからライブでも「聴きたい」という気持ちと「歌いたい」という気持ちが同時に押し寄せてくる。TOMOOの歌を聴いていたいというのが大前提として、1つのライブで1曲くらい観客も一緒に歌う場面があっても良いのかもしれない。なんてね。
窓
ぼくが今回のライブで最も胸を打たれたのは「窓」だった。
実は11月にEX THEATER ROPPONGIで行われたアコースティックライブでも「窓」が一番良かったと感じた。そのときは歌唱はピアノ演奏はもちろんメロディの普遍性だったり照明演出だったりに感動していたのだけど、今回は曲のメッセージが強烈に心に突き刺さってきた。
「窓」の曲振りでTOMOOは以下のように話していた。
「心の天気が悪くても人の尊厳は失われない。ああ、そうだな。」と共感する。
今年に入ってから悲しいニュースがたくさんあった。その中でSNS上で様々な言葉が流れてきた。ときには流言・誹謗中傷を含むものもあり、心傷めた人もいたと思う。
複製が容易なWEB上の大量の言葉は、たとえ「正しくとも」人を傷つけることがある。だから、自分に直接関係のない話題に対しては「あえて反応しないこと」が必要なのではないかと思うようになっていた。
ぼく自身も「心の天気」が悪いこともある。もしかしたら言葉で人を傷つけるころがあるかもしれない。
そんなふうに思いながら「窓」を聴くと歌詞の意味が以前とは違うように聞こえてきた。
これまでこの歌詞は「他者に心を開きすぎると自分が傷ついてまう。だから半分閉じておくのがいいときがある。」と解釈していた。(今でもこういう意味もあると思っている)
けれども、この日は「心の天気が悪い時に、心を開きすぎると(=自分の思うままに発言したら)殴り込む雨(=SNS上の大量の)によって慌てて拒むでしょう(=誰かが傷ついてしまうかもしれない)というように感じられた。
「窓」は他人を傷つけないようにするための歌でもあったのかもしれない。いったんそう思いはじめると、涙が止まらなくなった。
ベーコンエピ
ゆったりとしたバンドセッションをBGMにTOMOOがバンドメンバーとのツアーの思い出を述べてゆくと、オレンジ系の照明が光るステージで「ベーコンエピ」が始まった。
曲振りでTOMOOとバンドメンバーの関係性が垣間見えたこともあって、ステージ上がとても暖かい雰囲気になり、それが演奏と相まって弾き語りとはまた違った幸福感があった。
これまで「ベーコンエピ」は音源・弾き語り・連弾と聴いた。どれも素敵だったけどどちらかというと音源のバンド編成よりもピアノと歌の方が好みだと思っていた。「わたしときみ」の物語なのでシンプルな構成の方が曲に似合っていると感じたからだ。
でも今回は「わたし」(=TOMOO)にたいして「きみ」(=バンドメンバーの4人)が複数にもなるのかもしれないと思えてとても良かった。
ところで、個人的にベーコンエピの歌詞の世界観は「ロマンスをこえよう」に通ずるものがあると感じている。
この2つのフレーズがプロポーズに感じられるのはぼくだけだろうか。「好き」とか「愛してる」とか直接言わずに(ロマンスをこえようでは1回言ってるけど)、情景描写や日常生活を切り取って伝えるこらこそ「愛」が強く伝わるように感じられて大好きなフレーズだ。本当にTOMOOは稀有な才能の持ち主だと思う。
他の曲・雑感・余談など
実は初めは時系列で全曲感想を書こうと思っていたのですが諦めました笑。その名残で印象に残った曲や雑感をつらつら書きます。
恋する10秒・HONEY BOY・酔いもせす
曲間をシームレスに繋いで一気に駆け抜けた。この1年でどんどん増すTOMOOの勢いを表しているようだった。
序盤のブロックは個人的に「Estuary」序盤のような緊張感みたいなのを少し感じたけど、そういうのもライブの醍醐味の一つだし、曲繋ぎのアレンジのようなものも今後もっと充実してくるかもしれないと楽しみに感じた。
ライブの次の日が1月末なのに春みたいに天気が良くて、酔いもせすの「もうすぐ春だね」が実現てしまったと嬉しくなった。
Grapefruite Moon
フル編成の「Grapefruite Moon」は本当に素晴らしかった。サビの「Grape ~ fruite ~ Moon」後の「タッタラララッタ」てホーンの音めちゃくちゃ好き。「這って這って〜」のところの歌声が良すぎていつも「嗚呼ーーーー!!最高!」ってなってる。
Mellow
曲終わりに観客全員がピアノの音に全神経を集中させて最後の最後まで耳を傾ける。ピアノの音が止むと短い静寂があり、それを破って大きな拍手が鳴り響いた。TOMOOのライブのこういう瞬間が大好きだ。
レモン
なんとも瑞々しい歌詞。10代後半~20代前半のときに出会いたかった!
Cinderella
今回のライブで一番多くの人に言及されていたかな。もともと冷静な前半から激情を歌う後半への展開が劇的な曲だけど、今回はフル編成だったこともあって後半の歌と楽器の迫力がものすごくてぞわぞわした。今回のハイライトだと思う。
シリアスな雰囲気でもの凄い演奏だったけど、まっすぐな平面の照明がでっかい滑り台みたいだなと思ってちょっとだけ笑ってしまった。
POP'N ROLL MUSIC
イントロを聴いた瞬間心がはじける。タオルを持っていなかったので着ていた黄色いセーターを脱いでぶん回した。めちゃくちゃ楽しい曲なんだけど、油断するとあっという間に終わってしまうから2回やってほしい(いつも言ってる)
Super Ball
フル編成で初めて聴いた。「君の強さはとんがってる〜」がとても力強くて痺れた。ベースもめちゃくちゃかっこ良い。「好きを手放さないで〜」の「ドコドコドッドコドッドコド」のドラムが音源より重ためなの好き。ステージ上の虹色の光が歌詞を連動しているようで素敵だった。
Present
全曲のGingerでホーン・ストリングス隊を紹介せずに曲が終了、衣装も変わっていなかったので「ダブルアンコールかな?」と思っていたら、そのまま新曲が始まって驚いた。
陰と陽が入り混じるTOMOO曲の中では珍しい陽に振り切った賑やかでハッピーな曲。「的外れ」しか聞き取れなかったけどきっと歌詞を読むと印象が変わってくるのだと思う。皆さんスーパーボールみたいに跳ねたり揺れたりしてたのがとても良い光景だった。
ライブのピークが3度もある
一般的にライブのセットリストは序盤と終盤にアップテンポな人気曲が置かれることが多い。すると盛り上がりもピークも最初と最後の2回になりがち。
TOMOOも例に漏れずに序盤と終盤にアップテンポな曲が配置されるけれども中盤にも盛り上がりのピークが来る。個人的にはむしろ中盤が一番盛り上がる。今回の「窓」もEstuaryの「泳げない」もWalk On The Keysの「ベーコンエピ」もそうだった。こういうライブは珍しい。
当日までの盛り上げ
数日前からTwittre上では『Walk On The Keys』のライブ映像が毎日投稿されてTL上を賑わせていた。ぼく自身も毎日仕事終わりにTwittreを確認するのを楽しみにして、動画を見るや否や反射的にRTしていた。ライブの数日前から熱量を高めてくれてとても嬉しかった。
ハマったきっかけとか
ついでにTOMOOを知りハマったきっかけを書いておく。
2022年の1月にYou Tubeで「ginger」のライブ動画を見たのがきっかけでTOMOOを知り、一聴してすぐライブに行きたくなった。
翌月に予定されていたライブは売り切れていたのでそれから毎日リセール情報をチェックしてなんとかチケットを譲ってくれる方を見つけ、入手することができた。
初ライブ@WWW Xではとにかく「ginger」を聴きたいというモチベーションだったけれど、その他の曲も素晴らしくて特に「POP'N ROLL MUSIC」の楽しさにやられた。さらにライブ帰りに音源で「泳げない」を聴いて衝撃を受けた。
それからは過去の音源や映像を追いかけて、関東のライブには大体参加した。歩いている時やシャワーを浴びている時など日常生活の中でTOMOOの曲を口ずさむようになった。
ぼくにとって邦楽のアーティストを好きになるのは宇多田ヒカルと椎名林檎以来で、TOMOOは両名に並ぶくらいビッグになる可能性を持っていると思う。
Twitter上で見かける限りTOMOOを好きな人は「Official髭団dism」「緑黄色社会」をはじめとした邦楽ロック好きな人が多そうだ。
ぼくは邦楽ロックに疎いので、Twitterで繋がった方々から自然とおすすめの曲が流れてくると少し世界が拡がにように感じられて嬉しい。
おわりに
TOMOOのライブは6回目になるが、歌声が最高なのはもちろん、毎回曲の新しい一面を発見させてくれに本当に素敵なライブだ。このnoteを書いている間に、残念ながらFCライブは落選してしまったが、ZeppのステージでTOMOOの姿を観れることを楽しみにしている(当たればだけど)
プレイリスト
余談
※TOMOOほとんど関係ないです。
ツアーファイナルの週にはたまたま参加予定のライブが3本集中していて、そのうちの2つ目がTOMOOさんのライブでした。ライブ後の感想を出し切らないまま次のライブとなってしまいこのnoteも遅くなってしまいましたが、3本のライブはどれも素晴らしく、幸せな一週間でした。
どれも最高だったので残りの2つも軽く紹介します。もし興味があったらおすすめを紹介するので声かけてください笑
1/27(日)Elephant Gym
台湾のインスト3ピースバンド「Elephant Gym」。メロディアスなベースが中心という珍しい編成です。浮遊感ある曲もあれば激しい曲もありますが総じて美しくて心地良く感じます。日本語で原稿を準備してMCをしてくれるのも嬉しかったです。
ファイナル公演のサウンドプロデューサーでもあり「Super Ball」「Grapefruit Moon」「窓」編曲もされている小西遼さんも出演されていて、終演後物販の際に全部大好きだと直接伝えられたのが嬉しかったです。
おすすめ「Finger」↓
The Chemical Brothers
UKの電子音楽ユニットThe Chemical Brothers(ケミカルブラザーズ)。ダンス・ミュージックをロックと繋いだパイオニアです。ライブは初めてだったのですが尋常じゃない量の音と光をはじめとしてVJや演出が凄まじく、とんでもない満足感でした。
これの終演直後にTOMOOさんの弾き語り生配信があって「Grapefruite Moon」の途中からリアタイすることができたのですが、前のライブが超爆音だっただけに弾き語りのピアノが染みること染みること…。
おすすめ「Star Guitar」↓
こんなところまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!
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