ベセスダ『Fallout3』

 やろうやろうと思ってやっていなかった名作RPG。自由度の高すぎるゲームシステムは、ある種あるべき“ロールプレイングゲーム”を体現している。

 ポストアポカリプスを描いたSF作品。メインのストーリーラインは非常にシンプル。核戦争後に放射能から逃れ、vaultと呼ばれる地下シェルターで生活をする人々。そこで生まれ育った主人公だったが、ある日父がvaultから脱走する。父を追うようにしてvaultの生活と決別し、そして、ウェイストランド(多分現在のワシントンあたり)の命運を揺るがす旅が始まる。脚本も数多のSF小説からの影響が窺える。

 この作品の真価はストーリーラインそのものではなく「体験」としての、プレイヤーによって唯一無二・一人一人「物語」が生まれる事だ。まるで機械仕掛けの神(ゲームマスター)と機械仕掛けの友人(登場キャラ)とTRPGをやっているような感覚。やることなす事なんでもあり。街にいて、話して気に食わなかったらその場で殺したって構わない。人の持ち物で欲しいものがあったら奪ったって構わない。ただその代償(カルマ)は背負うこととなる。名前のないキャラあるキャラ関係ない。そう、ここはウェイストランドというゲーム上の現実なのだから。

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