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一橋大学ジョン・マンキューソ准教授によるハラスメント(7)唯一の著書『恋脳鍛える英会話』がセクシズム本だった件

一橋大学ジョン・マンキューソ准教授が2年半以上続けている深刻なハラスメントについていままで書いてきました(下記マガジンをご覧ください)。

今日はマンキューソ准教授が書いた本についてとりあげます。
題して『恋脳鍛える英会話――You Choose!』(エンターブレイン、2009年)です。

じつはマンキューソ准教授は30年ちかく一橋大学教員でありながら、単著はこの本しかありません。
ちなみに授業はなんと週3コマのみ。しかもほとんど研究していません。それで年収数百万円なので、破格の好待遇といえましょう河野真太郎先生はじめ優秀な語学教員が一橋大学を去ってしまっているのとは対照的です)。

さて、マンキューソ著『恋脳を鍛える英会話』の内容です。

この本は全編にわたり、日本人女性が欧米の白人男性と恋愛するというストーリーを通じて英語を学ぶというものです。これだけならまだありがちな英会話本ですが、マンキューソ准教授が書いているので無数の問題があります。さしあたり言っておきますと、まず同性愛やマイノリティの尊重への配慮はいっさい見られません。タイトルの「恋脳」の「恋」は同性愛の排除を前提としているといっていいです。

この本がどれほど酷い本なのか、今日は一つだけエピソードを紹介します。

まずは21頁のCulture Note「女の武器に気づいて有効活用?」。全文引用します(閲覧注意)。

正直に言いましょう。男性は女性を見つめるものです。これは遺伝学的に正しいことなのです! もし、見つめられて不愉快だったり、やめてくれと言うつもりなら、男性の立場から言わせてもらうと、それは大きな間違いです。女性は膨大な能力を賦与されていますが、多くの女性はそれに気づいておらず、彼女らはいとも簡単にその能力を無駄にしているのです。女性らしさを武器にするべきなのです。私は皆さんを洗脳しようというのでも倫理教育しようというのでもありませんよ。ただ、男性は生まれつき、女性に魅力を感じるもので、女性は男性の好きなようにさせてあげればいいのです。とにかくこのトピックは女性が気にしているに違いない、「男性に見られている」ということを取り上げました。食って掛かるのではなく、まずは皆さんが生まれながらに持っている力で、「自分は女性だ」と気づかせてあげましょう。」
(マンキューソ『恋脳鍛える英会話』21ページ、太字修飾は引用者)

これは、「遺伝学」を利用した、セクシズム(性差別)そのものです。

深く分析するまでもなく、いくつもの深刻な問題がみつかります。

まず第一に「男性は女性を見つめるもの」と書いてますが、これは性差別です。昨年ネットフリックスが5秒以上見つめることを禁止したことで話題となりましたが、性的な視線でジロジロ見て相手を不快にさせることも当然セクハラです。

第二に、性差別を「遺伝学」で正当化しています。マンキューソ准教授によれば、男性は女性を「見る」のは本能で、それはDNAや生物学によって証明されています。視線によるセクハラさえ遺伝学的に正しいことになります。

第三に、視線によるセクハラに対して抗議する女性を全否定しています。この『恋脳鍛える英会話』で最も深刻な問題の一つです。あたりまえですがセクハラや差別を受けた場合、だれしも抗議する権利がある。しかしマンキューソ准教授は、男性の視線を不愉快に思う女性に対し、逆に「男性は生まれつき、女性に魅力を感じるもので、女性は男性の好きなようにさせてあげればいい」と諭すのです。

「恋脳を鍛える」なる奇妙なタイトルが暗示しているものが見えてきます。「恋脳を鍛える」とはこういうことなのです。

私は皆さんを洗脳しようというのでも倫理教育しようというのでもありませんよ。ただ、男性は生まれつき、女性に魅力を感じるもので、女性は男性の好きなようにさせてあげればいいのです。

つまり「洗脳」するつもりはないけれど、日本人女性の「恋脳」を「鍛え」たいだけなのです(そうすれば「遺伝学的に」男性が女性をジロジロみるのも正しくやむをえないこと、(日本人)女性がうまれもった「女性らしさ」を「武器」にして(白人)男性をゲットするこそ正しいし合理的なのだとわかるでしょう、と)。

もう終わりにしますが、じつはマンキューソ准教授の『恋脳鍛える英会話』では、(日本人)女性が(白人)男性に対し自分の意思で従属的な態度をとることが期待されています。私には英会話テキストを使った、しかもエセ遺伝学まで持ち出した、一種の「洗脳」に思えてなりません。

ここまで読まれた読者は、これだけで相当不愉快になったことでしょう。

しかしマンキューソ准教授のセクシズムはこんな程度ではありません…。(つづく)

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