パレードを見送る

意外に思われるかもしれないが、私にとって櫻井さんは、あたたかくて穏やかな陽の光のような人だった。

じっくり考える。じっくり考えられるくらいには、外側にいると思っているからだ。私は90年代を伝説でしか知らないし、BUCK-TICKを聴き始めたのも2014年頃からだ。

櫻井さんは孤独を肯定してくれる人だった。孤独を愛する人だった。

孤独っていいもんですよ。僕は一人で飲んでますから、どうぞあなたたちお好きにやってください

https://www.nhk.jp/p/switch-int/ts/K7Y4X59JG7/episode/te/P2VQK9YPKW/

これはある番組内での本人の言葉だが、これは櫻井さんが作詞した曲で度々登場する『孤独』にも表れているように思う。

世には部屋に一人きりでいる時に孤独を感じる人と大勢の中にいる時に孤独を感じる人がいて、私は完全に後者だ。
まず家族という集合体の中に入れられ、学校では友達を作ることが推奨され、とにかく人と繋がることが是とされる世の中は息苦しい。まるで水の中にいるようだ。

あなたが紡いだ孤独の数々は、私を内から支えてくれた。それもとても静かに。私はあなたに救われたのではない。あなたの描いた孤独の数々によって、私は自信を持って孤独を愛せるようになったのだ。

私がBUCK-TICKで一番好きな曲は『LOVE PARADE』だ。これは終わりの歌であり、続いてゆく命の歌だと思っている。年末には毎年のように聴いている。

パレードはゆく。二度と帰れない。パレードを見送っても人生は続く。パレードは続く。