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解せぬ

私は今某定食屋のカウンターにいる。

あと少しで空腹を凌げるという高揚感を他所に、別のことでもテンションが上がっている。

そう。

隣の席の女性がタイプだ。

女神だ。

いくつになっても可愛い女性が隣にいるとテンションが上がるというのは漢の性だ。

今回は更に偶然という巡り合わせつきだ。

しかも後入りしたのは僕だが、女神側からわざわざ現世に現れてくれるとは。

運命かもしれない。

間違いは犯すが、日々信念に従って凡事徹底してきた甲斐があったなあ

としみじみ思い老けっていた束の間、

先に女神の定食が到着。

いただきますと手を合わせることもなしに、納豆を箸も割らずに、2本重ねたままドラえもんの手で掻き回し、

ブロッコリーを刺して口まで運び、食器と箸でカチャカチャとこの世で1番耳障りの悪いオーケストラを奏でながら食している。

解せぬ。

僕はこれがいかんせん許せないのだ。

いくらタイプだろうと、可愛くとも、子供の頃からこっぴどく父親に教育されてきた僕からするとこういった食べ方が許せないのだ。

自分の価値観を人様に押し付けるのはどうかと思うのだが、どうしてもこれはなんともならん。

女神の姿をした地獄の老婆であったとは。

また1つ世の見てはいけないものを見てしまった気持ちになった。

そうこうしているうちに僕の定食も到着。

きちんと1人でもいただきますをし、千利休のお茶捌きの如く、丁重かつ繊細に箸捌きをを披露し綺麗に完食。

店員さんに

「ごちそうさまでした、美味しかったです」

と当たり前の一言を添えて、店を後にした。

今日も僕は本物の女神に会うために街に繰り出すのであった。


大戸屋美味しいよねぇ。
#某とは

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