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2019年5月の記事一覧
「ポリティコン」桐野夏生/さくっと感想(ネタバレあり)
前半は、東一という、山形県に80年前に造られた、唯腕村で生まれ育った青年が主人公。たくさんの憤懣をかかえ、見栄っ張りで激情家で、誠実でもない、つまり、全く感情移入の出来ない主人公。
この男が、好きな女を借金のかたに売り飛ばすところで前半終了。
言い方はスキ。
「そう答えた途端、目の前に黒い緞帳が下りた気がした」
で、後半は、売り飛ばされた、マヤという女性の目を通して描かれる、10年後の世界
前世への冒険-ルネサンスの天才彫刻家を追って-ネタバレあり感想
タイトルだけみるとスピリチュアル系の本みたいだけどそんなことはない。
作者は、森下典子というノンフィクション作家で、仕事の取材で出会った「前世が見える人」の言葉に疑問と好奇心を持ち、調べ始めることからこの本ははじまる。
作者はイタリアへ飛び、前世と言われたイタリアルネサンス時代の彫刻家・デジデリオという人について調査してゆく。
霊能者(前世が見えるという人)の言葉を徹底的に疑い、そうした上で文
灰の月(木原音瀬)ネタバレ多少あり
木原音瀬/灰の月 上下巻。
登場人物をここまでいじめつづけることができるのは、作家として得難い才能なのかもしれない。
桐野夏生先生も、書く動機として冷酷さ、冷徹さをあげておられるし。
ただ、文章が幼く思え、私には読みづらい。
あちこちで「?」と引っかかる。
細かいことではあるが、
「雨が葉を弾く音が聞こえてきた」
とか、ダメなんだよね。
(葉が雨を弾くんだろうと思ってしまう)