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何故モダン入力はかくあるのか ~モダンを嫌い憤る君に

当noteは、相互フォローのとあるnoter(そんな語句が存在するのだろうか?)の方が執筆されたあるnote記事に触発されて執筆しました。
影響を与えてくれた彼に多大なる感謝を。
最初は返歌のつもりで書き始めていましたが、気がつけば筆が乗り、ネット上から掻き集めたモダン入力への不満を解消する内容になっていました。
正直結構toxicになってしまったので、なんというか申し訳ない限りです。

私は彼に「書くよ」と宣言してからなんと七時間もこのnoteを書き続けていたみたいです。本当に文章を書き始めると私の脳は麻痺するらしい。体感上は二時間くらいしか経っていないんだ。
彼が言った内容に限らず様々な意見を参考にして書いたので、中には理解できるものから愚の骨頂に思えるものまで混在している事と思いますが、まあなんというか生ぬるく見守ってくださいな。

ヘッダー画像は公式サイト内コンテンツ「ストリートファイター6のススメ ニューファイターさんいらっしゃ~い」のスクリーンショットを使用させていただきました。

はじめに

モダン入力。
入力の手間を劇的に省き「最低限」に辿り着くまでの距離を最小化したそれが、ストリートファイター6がここまで売れた、初心者の流入量を増やした最大の功労者である事については今更疑いの余地すら無いだろう。

しかし一方で、この入力形態は同時に初心者層を中心とした不満も多く生んでいる、というのも事実だ。
まあ当然といえば当然だろう。前作までは四割コンボを入れるにも数時間の練習が必要であった所が、今作では2秒である。真空波動拳一つ出すにも一ヶ月掛かった人もいるだろうに、ポチのポチのポチである。

とはいえ、ここまでやり込んで言語化を繰り返していると流石にそういった部分の自分なりの答えは見えてくる。
恐らく全体でコンセンサスの取れる完璧な答えにはならないが、私一人でいける限り紐解いていこう。

注意点として、主張を取り上げてそれを解説しつつ否定するという構成上、どうしてもかなり攻撃的に感じられる内容になってしまっている。
もちろん罵倒表現の類は極力使わないように心がけているが、自分の主張をこっぴどく否定される事に耐えられないのであれば、その余裕を作るまでは読まないでいて欲しい。

ありがちな批判

初心者帯で無双しすぎる

超・当たり前である。

モダン入力は確かに上級者帯でも使い続けられるシステムとして作られているが、それでもやはり根幹にあるものは初心者を支援するシステムとしての性質だ。
冷静に考えて欲しい。初心者支援システムを使った初心者が、初心者支援システムを自ら断った同格の初心者より強く戦えないなんて、そんな事が本当に存在して良いと思うだろうか?
自転車に補助輪を付けても初心者が転んでしまうようなら、補助輪に存在価値など無いのではないだろうか?

例えば、「自転車に初めて乗った時から補助輪無しで真っ直ぐ走れないとおかしい」などと言えば、誰からも相手にされなくて当然だ。
「初心者帯でモダンが強いのは良くない」というのは、一見初心者という最も大切にすべきものを尊重した言葉に見えるような形を取った事で批判しづらい雰囲気を作っているだけで、本質的にはそれと全く同じ主張であると断言して良いだろう。
自転車の補助輪があれば左右のバランス調整の練習を後回しにできるように、初心者にいきなり全要素を考えたプレイを求めてもどだい無理なのは当たり前だ。まずは技を当てられる、そこから順を追って始められるのは大切な事だろう。

そして初心者帯で活躍する補助システムであるという事は、中級~上級者帯になって初めて差が埋まる前提のシステムである、とも言い換えられる。
これはCAPCOMの方針がどうこうという話ではなく、そういう概念である以上仕方ない、必ずそうなる、という話だ。
であれば、モダン入力のバランス調整はまさにあるべき姿で成功しているか、或いはまだ少し弱すぎると言えるのではないだろうか?
基本的にはクラシック入力が優勢でありながらも、直近のesports world cupでモダンエドを使用した立川/席立ち川/キー断ち川があれだけの素晴らしい戦績を残した事を思い出そう。
優勝こそ逃したが、彼の活躍は紛れもなく、かの大会の真の主人公と言えるものだった。

頭を冷やそう。
初心者は初心者支援システムを使った方が強いのは、当たり前の事だ。
自転車に真っ直ぐ乗れるようになって、初めて補助輪を外して公道に出られるようになるのは、当たり前の事だ。
でなければ何の為の初心者支援だ。実態の伴わない売り文句を作る為か?
それと戦うのが嫌ならば、自分が初心者の領域を脱するか、或いは自分もそのシステムに手を出すか、このゲームを辞めるか。

もっとも、仮にこれを嫌がって辞めたとしても、「初心者が初心者支援を受けて強くなるのはおかしい」という考え方を辞めない限り、多分何処に行っても同じような事を言って逃げ続ける事になるだろう。
初心者が初心者支援を受けた方が楽で強いのは、そもそもりんごが木から落ちるよりも、1と1を足したら2になるよりも当たり前の事だからだ。

この点は最も重要な要素なので、この記事内でも何度も何度も掘り起こされる事になる。どうか前提として覚えておいて欲しい。

弱点が分かりづらい

たまに話すモダン入力アンチの人物が言っていた意見の一つがこれだ。(私は彼の事を不安に思いつつも非常に気に入っている)
「豪鬼は何でもできるとはいえ体力が無くてすぐ死ぬ。そういう分かりやすい欠点があれば、多少は受け入れられる。」
成程、理解はできる。弱点の見えない対応型キャラほど戦っていてつまらないものはない。いやまあ私にとっては豪鬼の方が立ち回り面であまりにも弱点が見えないのはさておきだ。

こういった認知が生じる原因は単純だ。
「キャラクター」という極めて小さな単位と「入力方法」という極めて大きな単位を同等に認識、比較してしまっている。
それによって、「モダン入力全てに共通する致命的弱点」という、そもそも存在し得ないまるで無謀な命題を探してしまっているのだ。

一度、考えてみて欲しい。
「クラシック入力全体に共通する致命的弱点を突く」という攻略方法など、まず存在しないのではないだろうか?
「クラシックエドは昇龍が遅くて短いから透かし飛びに弱い」だとか、「クラシックキャミィは弾抜けSA3を狙う時に屈伸するからそれを見て歩く」だとか、そういったキャラクター単位の対策が基本ではないだろうか?

CAPCOMは、モダンとクラシックを上位帯において同格のものとする事を目標としている。
それはつまり、対モダンも対クラシックも同じように一つ一つ対策をする必要があるという事であり、「対モダンお手軽インチキ滅殺ムーブ」のようなものがコンセプト上存在し得ない、という事をも意味する。
同じ「モダン入力のキャラクター」でも、それらの得意とするところ、苦手とするところは全て別なのだ。
サボらずにきちんとキャラクター別に見ていかないと、「豪鬼は体力が低い」のように明確な弱点が浮かび上がってくるという事は無いだろう。

モダン入力自体、考え抜いて作られて完成した一つの入力形態である。なにか致命的な欠陥を晒したまま公開する、なんて真似をするほどCAPCOMも愚かではない。(まあ最初期verはモェイミーに4F技が存在しないとかいう酷いミスがあったがそれはそれ)
どだい無理なものを探して、無理なものを探せなかったと文句を言った所で、それに意味がない事は言わずとも分かるだろう。

例えば、モダンジェイミーやモダンケンはしゃがみ中Pが無いのでラッシュ止め技がクラシックより明確に弱い。
モダンリュウは立ち回りで振れる技全てが高リスクで火力もないので、期待値で技を振ればだいたい競り勝てる。
モダンエドは恐らく最も完成度の高いうちの一人だが、5Fの反撃として非常に優秀なしゃがみ弱Kが無い為一部の技の反撃(特にダブルニープレス)が非常に困難であったり、ノーキャンセルでコンボ可能かつ差し返しにも優秀なしゃがみ中Kが無い等、上級者帯で非常に重要な部分にかなり痛い弱点が存在している。
こういったモダンキャラクター固有の弱点とは別に、そのキャラクター自体が持つ弱点が存在し、それらを合わせて考えて対策していく事になる。

そもそも論として、豪鬼の体力の低さは特例中の特例で、「いくら体力の数値が小さかろうが立ち回り自体には影響しない」という特殊な弱点であるが故にあれだけ分かりやすいものが許されているだけだろう。
そんな超例外と同等のものを探すというのは、流石に我儘が過ぎるのではないだろうか。

とはいえ、モダン共通の弱点が絶対に無いという訳では無い。
まず一つは、ワンボタンの強みを活かそうとした際に生じる釣り行動への弱さ。
そして、モダン入力の強みを活かしている間は火力が劣ってしまう為、しっかりと練習しているとモダンを使う理由自体が失われる事。
これらだけが、モダン入力全てに共通して上級者帯まで存在し続ける弱点だ。たぶん。

そして、初級者帯でこれらの問題が発生せず単に強いのは「当然のこと」という話は、つい先にしたばかり。

待ちが強すぎて面白くない

正直、(部分的には)分かる。弾しか武器のないリュウを使っていると、モダンキャミィ戦は本当に地獄だ。
でも、それは仕方がない。スト6はかなりの相性ゲーで、リュウキャミィはそもそもがリュウ側に強みを発揮するチャンスがかなり少ない地獄めいたマッチアップで、単にそれがちょっと加速しているだけだ。

……そして、こういった一部の異常なカードを除けば、他にはここまで酷い事態が発生する事は無い。
リュウ対モダンキャミィは確かに酷い。これは相性として致命的に終わっている。だがこれはモダンの問題ではなく、そもそもリュウの弱いコンセプトにキャミィの強いコンセプトが相性的にやたら噛み合っているというだけの話だ。仮にキャミィ側がクラシックでも、いずれにせよこのカードはキツい。
先にも述べた通り、スト6はかなりの相性ゲーだ。キャラクター間の相性によっては、実力差が容易く覆るような試合展開になる事も珍しくない。
これはモダンがクラシックがどうこうではなく、このゲームの性質そのものでしかない。キャラクターの基礎性能が統一されていないというのはそういう事だ、嫌ならApex Legendsにでも行こう。詰まないだけマシである。

では、他にモダン特有のワンボタンSAの影響がここまで大きいカードが存在するだろうか?これは、恐らく否だ。
モダン特有の要素を除けばザンギエフなども同じような不利カードの苦痛を経験するが、モダン固有の要素だけでここまで酷い目を見るのはせいぜいが弾に主軸を過度に置きすぎているリュウとガイル程度だろう。
つまりこれはモダンどうこうの問題ではなく、単に我々リュウ使いが自ら地獄に足を突っ込んだだけ、という事を意味していると考えられる。このしんどすぎるキャラを選んだのは、残念ながら使い手である自分自身だ……

そして、そもそもの問題としてだ。
モダン入力の強みを活かして戦うという事は、その間常にモダン補正80%を受け続けるという事。
もちろんリュウ対モャミィはリュウ側が非常に不利だ。それでもしっかり総合的な内容で操作方法を度外視した対キャミィの相性不利分を覆す程に勝っていれば、ワンボタン技を押す度に20%も無駄にしている相手に負ける理由は無い。
逆に総合的な内容で同格ながらモダン相手に負ける事があるのであれば、それは相手がモダンのシステムに過度に頼らずに勝っているという証拠だ。
その時はもはやモダンがクラシックがどうこうではなく、「うわ相手上手いしキャミィしんど」でしかないだろう。本当にしんどい。リュウでキャミィとは本当に一生戦いたくない。技相性も全体的に悪いので本当に戦いたくない。

……とはいえ、待ち以外で殆ど強みを発揮できない今のモダン入力のシステムは歪なのではないか、とは私も思う。
例えばラッシュ攻撃からのヒット確認を絡めた攻めが簡単になるような、そんなシステムでもあれば「攻めモダン」に価値が生じてみんな笑顔になれるのだろうか。割と良いアイデアの気がする。
まあ、現状でも前作よりは遥かに攻めが強いので、十分この程度で良いという判断なのだと思われるが。

モダン補正80%は足りない

これも件の彼が言っていた事だ。
「SAを使うチャンスが何回かあったとして、クラシック側がだいたいモダンの81%の確率で成功させないと割が合わない。ワンボタンSAが活躍する場面の81%をクラシックで返すなんて不可能じゃないのか?もしこれが不可能なのであれば、モダンのワンボタンSAは80%補正があって尚強いという事になる。」と。

彼の計算自体は純然たる事実だ。
実際、ワンボタンSAは強い。
これはモダン入力の強みであり、しかし他の点によって結果的に「本来ここのバランスが取れているべきランク帯」でクラシック優勢のバランスが成立しているからこそ、上位にモダン使いが顔を見せないのだ。
つまり、「強くはあるが80%で足りている」という事だと結論づける事ができる。
初心者帯ではバランスが取れていないだろ、とお思いの方はもう一度記事の最初に戻りましょう。

この点を非常に明確に言語化し、モダンにはしっかりと上位帯でも通用する強みがあると嘘をつかない数字で証明した点において、私は彼を尊敬している。

簡単に勝つのは嫌だ

まあ、そもそもこれに関しては良い悪いというより嬉しい嫌だの問題なので、あまり詰めても意味がないだろうとは思う。
格闘ゲーマーは誰しも、何かしら嫌いなキャラクターやなんやがいるものだ。自分の好悪と論理的正否を頭の中で切り離せているのであれば、この項目の文章には全く意味がない。因みに私はJPとホロライブが嫌いだ。

さて。私はモダンに対してそうは思わないとはいえ、難易度差にキレるというのは気持ちとしては非常に分かる。
こっちは一々リスキーな牽制技を振って戦っているのに相手の牽制技は長くて硬直も短い、なんてシーンは私だって嫌気が差す。
こっちはリュウのラッシュが遅すぎて相手に一生触れないのに相手は上から横からローリスクで何度も何度も突っ込んできて負けた暁には中指がピンと立つ。

では、モダン入力は何を簡単にしているのだろうか。
言わずもがな、コマンド入力と基礎コンボである。

はっきり言おう。これは基礎の基礎の領域だ。
「格ゲーを始めるのが怖い」という人を取り込む為のレベル、「面倒なトレモ籠もりをしなくても格闘ゲームを始められるよ!」というパフォーマンスこそが主体であり、モダン入力使いであっても最終的にはそれ頼りは卒業するか、或いは対空の時だけ使うという形になるレベルである。

正当な文句を言えるレベルで理解するまでこのゲームをプレイして、それで今更「昇龍拳コマンドが使えて上手いね~^^」なんてレベルの低い煽りにしかならないだろう。
コマンド入力はこのゲームにおいて基礎の領域であり、基礎を身に着けずにゲームをプレイして負けるのは当たり前の事だ。ましてやスト6、格ゲー史上トップクラスにコマンド入力が簡単なゲームである。

モダン入力のアシストコンボはごく一部を除きダメージ効率かダメージのどちらかが意図的に悪く作られている。
まさかダメージ優先の基礎コンボを安定させるような練習すらしていない人間が「簡単に勝つのは嫌だ」なんて言える訳が無いだろう。

つまり、「モダン入力で簡単に勝てる領域」というのは、そもそも「難しい事をする必要が無い領域」なのだ。
昇龍拳コマンドで格差ができる?今作はそんなに難しくないし、そもそもその練習をサボるようじゃ自分でやりたいと言っているような難しい事なんてできやしない。
コンボ締めは大抵波動か竜巻コマンドの技で代替できるし、更に根本的な話をするならば、安全弾を撃った後のギリギリの飛びでもない限りはアッパー対空で妥協しても何の問題もない。
アシストコンボはズルい?大抵のキャラは難易度を優先して簡単な妥協コンボをしても同じくらいの火力は出せる。
この程度で「難しい事をしないで勝つなんて!ズルい!」と憤ったところで、それは理屈として通らないだろう。

それに、格闘ゲームは「難しい操作をするから上手い」のではない。
前後の歩きなんて、操作だけを見れば凄まじく簡単だ。ただレバーを前後に倒す、それだけである。しかし実際には、ただ前後に歩くだけでもそこには深い駆け引きが存在している。
それを実際に勝てる形で組み立てる、その能力こそが格闘ゲームの上手さであり、真の難しさだとは思わないだろうか。

基礎の基礎すら安定しないうちから、「私は難しい事をしているのに!」と言ったところで、そこに論理的正当性がある訳も無いだろう。単に基礎練が足りないだけである。頑張れ。私は常に皆を応援している。

結局上級者は使っていないのなら、初心者が上達しないまま楽に気持ちよくなる為だけのシステムなのではないか?

確かに、確かに上級者のモダン率は非常に低い。それ自体は事実だろう。
だがそれは一部を除いたモダンキャラクターの調整の微妙さや「上位勢の大半は古参=クラシック慣れしている」という構図が原因であり、モダンキャラクターで上位勢になる事ができないという訳では無い。
「やる人があまりいない」は必ずしも「できない」とイコールという訳ではないのだ。

esports world cupの立川モダンエドの大活躍を見れば分かる通り、適切に調整されたモダンキャラクターを極めれば世界クラスに手が届く。この大会の規模と戦績を考えると、今現在において世界最強のエドは立川のモダンエドである。一番笑えるのも席立ち川でありキー断ち川だ。
結果的にはNoahTheProdigyはじめクラシックだけが残ったとはいえ、今のルークはモダンの方が強いと唱えるプレイヤーも少なくない。私もこれに賛同する。
モダン使いと言えばかつて格ゲー五神に名を連ねたハイタニのモダン春麗も忘れてはならないだろう。
Shuto氏のようにモダンとクラシックを使い分けるプレイヤーだって世の中には存在している。
旧来からの格ゲーマー特有の慣れやバランス調整の不足が祟って比率としてそうなってしまっているだけで、今でもモダンキャラクターで最強格を張るプレイヤーは存在しているのだ。

結局のところ、上位モダン勢の少なさなんてものは、他のモダンキャラクターが調整を重ねてこのクオリティに届けば解決する問題だ。
もっとも、現状の多くのモダンキャラクターの調整が弱く結果的に使い続け辛いものになっているのは、私としても非常に憂慮するところであるという事については述べておきたい。
そうでなければ、モダンリュウの弱さをこき下ろすnoteなんて絶対に書いていないだろう。
また、最近登場したベガはモダンタイプの完成度の高さが評価されているキャラクターでもある。恐らくこれは開発チームのノウハウが成長しているという事(のはず)なので、モダンの未来には高い期待を持って良さそうだ。

個人的に最も思うこと

私がこの対立について思うのは、「アンチ層の練度が総じて低い」という事だ。

……これは決して「雑魚は黙ってろよwww格ゲーは実力がなきゃ人権がねぇんだよwwww」といった阿呆な事を言いたいわけでは無い。
っていうかそんな事を言う奴は直接タマを砕いてやる。閑話休題。
「いやそういう話じゃん」と途中で思うかもしれないが、とにかく最後まで聞いて欲しい。

初心者帯で強すぎる。
「モダン入力固有のデカい弱点」を狙えない。
モダンの待ちが強すぎる。
ワンボタン補正80%は足りない。
モダン入力は簡単に勝てて嫌だ。

はっきり言おう。
こんな物はある程度上手ければ元から抱かない不満なのだ。
こんな負け方は、実力が身についていればまず殆ど見る機会も無いのだ。
つまり、これらの不満はその殆どが実力の伴っていない層から発せられているという事になる。

では、上手くないプレイヤーがこれを言うという事が何を意味するか?

答えは単純明快。
「初心者補助システムの意義と性質そのものを理解していない」のだ。

初心者補助システムである以上、一定以上のキャラパワーを安定して引き出せる実力にならない限りはクラシックがモダン入力より弱くて当たり前、という話は先にした通り。
そういった性質を、そしてこのシステムが根本的に初心者の補助をする事を第一目標としているという意義の部分を理解していれば、初心者クラシックが初心者モダンにボコボコにされる事なんて当たり前でしか無いと理解できる筈なのだ。

これはスト6に限った事ではなく、初心者支援システムを使うかどうかを選べる物事全てに当てはまる話だ。
そんな性質が当たり前のように存在して、それでもそれがしたいのであれば、残された解決方法はただ一つ。

めちゃくちゃ頑張る。それしかないのだ。

モダンでもクラシックでも何でも食って、基礎の実力を身に着けよう。そうすれば補助輪が無くても本当に真っ直ぐ走れるようになって、世界は変わる。
はっきり言って、コマンド入力なんかよりも大事なところで良い感じに通常技を当てる方が、試合展開を見通してSAゲージを管理する事の方が、相手との体力差を見て立ち回りを柔軟に変化させる事の方が、そういった要素の方がこのゲームにおいては遥かに大事だ。
これらはモダンであろうがクラシックであろうが学ぶ事ができる。

アシストコンボなんて、最大コンボを確実に成功させられるようになってから喰らえば「わー安いコンボでゲージ使ってくれてありがとうね」とすら思えるのだ。
文句無しに強いのはザンギエフの弱アシストとブランカの中アシストとエドの強アシストぐらいなものだが、それだって手動で出せるコンボでしか無い。
ちょっとでも難しい部分があるものは、この中ではエドの強アシストただ一つだけだ。
そもそも、ターンを継続して攻め続ける方がこのゲームにおいては殆どの場合重要である。アシストコンボに頼り切っていては、強攻撃始動からターンを継続する事はできないだろう。

モダン昇龍なんて、「わーい200ダメージ伸ばすチャンスを捨ててくれてありがとうね」というレベルなのだ。
そもそも、モダン昇龍キャラはエド以外みな普通の飛びを落とすだけならアッパー対空で事足りる(逆に言えばここがモダンエドの唯一性であり強みだ)。安全波動の後に上が出ない事があるのは純粋に私が悪い。

そして、こういった「上手くないが故の敗北」が生じるのは、初心者がクラシック入力を使おうとする限りは当たり前だ。同じ初心者なら、初心者支援システムを使った初心者の方が強いのは当たり前なのだから。
クラシック使いと推察される読者のあなたも私も、いつでもイージーモードを使える権利を持っていながら、それでも!と上級者モードを選んだのは自分自身だ。
その事をよく肝に銘じておこう。

結論

初中級者帯でモダン入力が猛威を振るうのは、そもそも論として「初心者を支援する為に新しく開発したシステム」という性質である以上、水が下に流れるよりも当たり前の事だ。
であれば、上位層の勝率を前提とした現在のバランス調整、仕様、システムとしての在り方は極めて妥当だと考えられるのではないだろうか。

もしもこれに対して具体的に反論できると考える方が居れば、できれば丁寧に聞かせて欲しい。
知見は広がれば広がるほど良いものだ、お互いに。

余談:「じゃあモダン使えよ」とは

モダンアンチのプレイヤーに対して、野次馬が集まってきて「じゃあお前がモダン使えよ」と投げかける。そんな光景がSNS上でよく見られる事については、読者の皆もご存知の事だろう。
この「じゃあモダン使えよ」はただの野次馬の煽りなのだろうか?或いは何らかの真摯なアドバイスなのだろうか?

私は、殆どの場合は後者だろうと考えている。

例えば、対象が上級プレイヤーでありながら、モダンの実態をよく知らずに未経験のまま語っている場合。
何故だかそういう場合、実態とは著しく乖離した夢のようなものとしてモダンを語っている事が多く散見されるのだ。
実際には簡単要素頼りじゃ5000点を出すのも難しいのがこの操作形態だが、どういう訳かフルオート即死マシーンめいた認識であったり、あるいはその火力差を完全に埋める最強オート立ち回りマシーンだと認識している事が多い。
正直意味が分からないが何故か頻発するこのケースに対して、「自分で使って実態を知ればそうは思わなくなると思うよ」という意味で「じゃあモダン使えよ」とアドバイスする、そんなシーンが存在する。

その一方で、対象が初級プレイヤーで、モダンに頻繁に負けてそう嘆いている場合。
そもそも、初心者向けのアシストシステムを自ら断ってハードモードの格ゲー人生を始めたのは自分自身である。自らハードモードを選んでおいて「難しいのはおかしい!」なんて言うのは当然道理が通じない。
「そういうあなたのような、基礎がまだできていないプレイヤーの補助こそがモダンの真価なんですよ」という意味での「じゃあモダン使えよ」。これもまた、多く見られるものだ。

もちろん、ただの煽りも存在する。
そういう奴は、まあ、ささくれたタンスの角に小指とかぶつけてばかでかい血豆を作って睡眠中にそれが潰れて血で汚れた布団を泣きながら洗えば良い。
因みに布が血で汚れた時は、油汚れに性質が近いので食器用洗剤を使うとよく落ちる。

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