『ダンデライオン』
はじめて人を好きになったのは、小学生の頃だった。その人のことは、中学生になっても変わらず好きだった。
中学3年になる頃、突然、醒めた。
何があったわけでもなく「あ、もう、好きじゃないかも」と、ただ、感じた。
私は、私に裏切られた気がした。なんの前触れもなく、心変わりをした私のことが信じられなくなったし、怖かった。
昨日まであんなに夢中になっていたのに、今日の私はまるで別人だ、ということを受け入れるのが難しかった。
最近、毛皮のマリーズの『ダンデライオン』を聴いていて、そんなことを思い出した。言葉が悪いかもしれないけれど、あの曲を聴いていると「恋人たちの本気の戯言」だな、と思う。
お互いにここで間違えたら終わる関係というのもあるだろう。
そして、もし、次の瞬間もう愛していないとしても『愛してるわ』と言った瞬間は、本当に愛しているのだ。
切り取った場面が、あの中にあって、やっぱり心を動かされる。