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7年の積み重ねからRushGaming新ロスターに。Current「実況が驚く選手」目指して 。

「気づいたら、選手になっていました」

現役大学2年生のCurrent(20)はサラッと答えた。とはいえ、eスポーツ選手と学業との両立は簡単ではない。昼間は学校で勉強し、夜通しCall of Duty(CoD) をプレイする生活を中学2年生の頃から7年重ね、移籍を続けてきたという経歴を持つ。

トライアウトから2ヶ月、先日開催された「Rush Battle Tournament Ⅱ」から正式に選手として活動を開始し、やっと勝ち取った初優勝を「結果が出せなかったらファンの人から一生認めてもらえないと思っていたので、本当に勝ててよかった」と振り返り、喜びを噛み締めていた。

「Sirius君も嬉しそうだったし、負けるとすごく落ち込むWinRedが嬉しそうだったのが、ほんまによかったなって思いますね」

自分よりも他の人のエピソードがすぐに出てくる様子は、3つ下の弟をもつ兄として過ごしてきたことがうかがえる。加えて、弟がいることを聞き手が当てると「正解です。ただ、弟とゲームを一緒にはやらないですね、殴り合いの喧嘩するんで。たぶんしないんですけど(笑)」と関西弁のボケが次々に出てくる。

最近では、その髪型からNHKプチプチアニメの「カペリート」に似ていると親しまれたり、試合中の爆弾を投げ入れたときの自爆クリップをいじられたりと、ファンから愛されている様子が垣間見える。

歴代のRush Gamingどのメンバーにもない新しいキャラクターで、「クールさとひょうきんさ、どっちも見せつけていきましょ。あっはっは。」と笑う、今シーズンからRush Gamingの一員になったCurrentの背景に迫った。

WinRedからのDM Rushのトライアウト受けて

ーー新ロスターとしてさっそく活躍されていますが、Rush Gamingに入るまでの経緯を教えてください。

きっかけは、BO4シーズン(2018年)から交流のあったWinRedから来た突然のDMです。

元々MWシーズン(2019年)前にどこのチームにも所属していなかったため、いろんなチームに「トライアウトを受けさせてほしい」と連絡した1人がWinRedでした。返信を全然期待していなかったので、今シーズンのCoD:CWが発売されてすぐの12月に「Rush Gamingに来てくれないか」と声をかけられたときには驚きました。

実は、このときちょうどLuster7という別チームのトライアウトを受けていて内心では迷っていました。メンバー3人が決まっている中で自分が抜ける申し訳なさもあったのですが、Luster7のメンバーやマネージャーに相談したら「Rushから勧誘されているんだから行ってきなよ!」と送り出してくれて、正式にRushのトライアウトを受けました。

今はSMG(サブマシンガン・近距離特化型武器)を持っています。
ちなみに、詳しい話を聞こうと思いDiscordに行ったところ、なぜか選手のGorouさんとくるたみさん(監督兼マネージャーの久留宮誠也)もいて圧迫面接みたいでした(笑)

ーー当時、Rush Gamingにどんなイメージを持っていましたか?
「CoDといえばRush」というイメージでした。1年前のMWシーズンから選手が配信するときや大会ごとにサムネイルがいつも新しくなっているなど、デザインにこだわっていたのが印象的です。目につくので、全員の配信に注目していましたね。

所属してからもHuntさんが前回のプロ対抗戦壮行会で「なんかあったら俺に頼ってこい」とイケメンコメントを残してくれたり、今月一緒にファニコン(RushGamingの公式ファンクラブ)の担当をしているGPさんがサポートをしてくれたり、ハセシンさんはコラボ動画で宣伝してくれたり、いい人ばかりだなと思っています。

友達の家で触れたCoDで「負けたこと」がきっかけ

ーーそもそもCoDに触れたきっかけは?
2014年からなので、7年前の中学2年生のときです。友達の家にCoD Advanced Warfare(CoD:AW)があったんです。

一緒に遊んでいくうちに勝てないことにイライラしてきたので(笑)、すぐに自分で買って練習しました。そうしたらハマってしまって、学校から帰ってすぐにCoDをプレイして、晩ご飯を食べてから朝までゲームをやって、学校で寝る生活を送っていました(笑)。

単純にCoD自体が面白いからというのと、学校の友達と集まって遊ぶWiiなどのゲームとは違う、会ったことのない人と通話しながら遊ぶ感覚が面白くて、過去作に戻ってBO2、IW、BO3と遊びまくりました。

当時、小学4年生から中学2年生まで野球をしていたのですが、「部活をしていたらゲームができない」と思って野球を辞めました。

高校生になって若干ゲームの熱が薄れたときに剣道部にも入りましたが、ゲームの大会と被って練習時間も取られてしまって。「この時間をゲームに回したい、ゲームのほうが面白い」と思って、結局1年くらいで部活を辞めちゃいましたね。

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アマチュアからプロへ「勝たないといけないプレッシャーに負けていた」

ーーeスポーツ競技にハマったきっかけはなんでしたか?
17歳のWW2シーズン(2017年)からeスポーツにハマりました。BO4シーズンでmoke(現CYCLOPS athlete gaming所属)を含めた同世代でアマチュアのKBPSというチームを作り、CWL日本代表決定戦では4位になりました。

当時のメンバー2人がSMGの撃ち合いに特化していて「自分がSMGを持つよりメンバーに持たせたほうが勝ちを目指せる」と思ったので、メインARを持っていました。「probably7」というアカウント名で「プロ」と呼ばれることが多かったのですが、ちょっとだけダサいなと思って「proc(プロシー)」というIDで活動していました。

元々は「撃ち合いに勝てば、試合で勝てるでしょ」という考え方でした。ただ、Currentという名前で活動をし始めたBO4シーズンで考え方や動き方を学び、それがなければ優勝を逃していたこともあり、研究や考え方の大切さを感じました。

ANOTHER TOURNAMENTで優勝できたとき、また一段とCoDにハマりましたね。あのときのことは忘れられないです。ただ、チームを作ったとはいえ、プロになる考えはなくて、プロゲーマーはまったく目指していませんでした。

ーーでは、プロになったきっかけは?
2019年MWのプレシーズンマッチの1ヶ月前くらいにCAGから勧誘をいただいて、気づいたときにはプロになっていました(笑)。

プロシーンで活動をしていくうちに「プロでやり続けたい」という意識が徐々に芽生え、自分から海外の動画リンクを持ってきて「この動き良さそうだからやってみよう!」と提案をしたり、試したりしていましたね。

ーープロシーンに入ってから変わったことはありましたか?
緊張感が明らかに違いました。アマチュアのチームだと気負う必要がまったくないんですよ。もちろん勝ちたいと当時から思っていましたが、プロは「勝たないといけない」。そのプレッシャーをすごく感じて、キツかっただけでなくいい成績も残せませんでした。

BO4シーズンの頃は「自分が強い」というある程度の自信があったのでそこまで緊張しなかったのですが、MWシーズンはあまり自分に自信を持てなくて思いっきり緊張に負けていました。

11月に入ったCAGが12月半ばで部門ごと解体してしまったんですが、自分はCoDをまだやりたいという気持ちがありました。なのでNQCさん(現Rush Gamingコーチ)がリーダーを務めるMVP.japanというチームでSonyの公式戦CoD challengers springに出場しました。ただ練習に打ち込めず、あまり結果を残せないまま一度CoDから離れました。

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今シーズンは大好きなBOシーズンというところでモチベーションが戻りました。BO2、BO3が元々好きな作品だったので、同じBOである今作を「やるしかない」と戻ってきました。

Rushメンバーから刺激 負けてすぐ、次の試合に

ーー紆余曲折あってから所属することになったRush Gaming。他のチームとの違いは感じましたか?
コミュニケーションをすごく大事にしていると思いました。

大会や交流戦でも負けて雰囲気が落ち込んでしまうことは、どのチームにもあることだと思います。ただ、Rushはメンタルづくりに力を入れていることもあって、大会が終わった瞬間から次の試合に向けての反省会をして「次はこうしよう!」と、チームの雰囲気がどんどんよくなっていく。他のチームとは違うなと思いました。

あとは、Rushメンバー全員が本当にずっと練習をしているので「俺もやらなきゃな」と思わされて、CoDに対しての向き合い方や「毎日動画を上げよう!」という意識が高まりました。

意外とプロチームでもCoDだけをずっとプレイしている人はそこまで多くなくて、別のゲームを並行して遊ぶ人もいるし、俺も昔はシーズン中にNetflixで動画をよく見ていました。

でも、GorouさんもWinRedもCoDしかやっていないし、Siriusくんは海外の動画を見て勉強しているし。「みんなやってるから俺もやらんとな」という気持ちの変化がありました。

16時から18時まで毎日2時間くらいチームミーティングをして、1日10時間くらい、ひたすらCoDをプレイするようになりました。やってない日も動画編集をして、本当にCoD漬けですね。

ーープロ対抗戦に向けて、意気込みをお願いします!
試合中はSMGの後ろについていって、やりきれなかったところをカバー・サポートしたいです。グランドファイナルにはめちゃめちゃ行きたいですね。賞金もおいしいし、焼肉をみんなで食べたいです(笑)。

自分個人の目標としては1回でもTOP 5 PLAY(*)に入りたいです。ただ、意識的に狙ってしまうと逆に自分のプレイに集中できなくなると思うので、無意識にそういったプレイができるくらい上手くなりたいです。

将来的に、解説や実況に「Currentの今の動きやばくね?」と取り上げられるような選手になっていきたいです。

*TOP 5 PLAY: 4日間行われるプロ対抗戦において、6チーム全24人の中から毎回最も魅力的な5つのプレイをまとめたもの。初日では7試合11時間以上の配信からWinRedのプレイが取り上げられた。

それと、WinRedをプロの姿のお手本にしようと考えています。昔からずっと大会に出続けていることもあって一番「勝ちたい!」という想いが伝わってくるだけでなく、練習や大会時の発言や立ち振る舞い、ファンへの対応には見習うべきことがたくさんあります。


ーー最後にファンの方にひとことお願いします。
これからいろんな動画も出して来シーズンまでに1万人の登録者を目指したい......!と思っていますので、よかったらチャンネル登録とTwitterのフォローもよろしくお願いいたします!

【YouTubeチャンネル】

【Twitterアカウント】

#あとがき

インタビューを終えて感じたことは、くるたみさんに「いろいろやっているのに、全然自分のことを話さない」と言われるように、不言実行で黙々と自分の目標に向けてやり抜く選手だと感じた。

2月中旬からスタートしたCurrentのYouTubeのメンバーシップには、すでにファンが加入してくれ、チャンネル登録者数もここ1ヶ月で大幅に伸びている。

照れながらも「自分にファンがつく理由がわからないんですよね。あんまり自分のことになると覚えていないし、自分について話すことも苦手で」とつぶやく。

ただ、REDCLIFF(RushGamingの公式ファンDiscord)で募集した質問に自ら「答えたいです」と取材後すぐに回答を送ってくれたり、配信のメッセージを逃さず丁寧に読んでいたり。「WinRedのように」と話す今、すでにプロとしての行動を身についている。

インタビューのビデオを切るときには「(今飲んでいるのは)ローソンのアイスコーヒーです。田舎なんでそもそもスタバがないんですよね(笑)」と話しながら、着ていた服にこぼしてしまったコーヒーの痕を気にしていた。そんなところがファンに愛されるのだろう。

「俺最近考えすぎて、シャンプー2回くらいしますよ? ようやります(笑)」というCurrentの体調と不眠症を気にしつつ、春休みを存分にCoDに費やし、より成長したCurrentの活躍が楽しみで仕方がない。

【REDCLIFFの皆さんからの一問一答コーナー!】
ー結局髪型はトルネードなのか、ドレッドどっちですか?
どっちでもなくツイストです笑

ーツイストの次にしたい髪型は?
決めてなくてとりあえず伸ばして何でもできるようにしようかなーみたいな

ーCurrentさん的MCニガリのベストバウトはなんですか?
MCニガリ vs 韻マン ADDVANCE STARTOURSのやつ

ー吸ってるタバコの銘柄は?
マルボロメンソール8とIQOS menthol

ー試合前のルーティンは?
コントローラーふいて、固まってる体伸ばす。ストレッチする

ートライアウト期間中にプレーやチームの事でなにか印象に残っていることはありますか?
自爆しまくったこと(笑)

ーメンバーや自分の忘れられない面白エピソードを教えてください。
自爆しすぎてCurrentがどうやったら自爆しなくなるか自爆会議が開かれたww

ーCoD以外の事で、これは誰にも負けない!というものはありますか?
あんまり考えたことないです(笑)。 ないかも?

ーおっぱい派ですか?お尻派ですか?
どっちでも?あんまり見てないかな。

ー感度、操作設定は何でしょうか?
6-6-1 ダイナミック モンハン持ち、デフォルト設定。R1射撃L1エイム

ー休日でゲーム以外だったら何をしてますか?
だらだらyoutubeみたり、スロットいったり。

【Currentの略歴】

■Current(カレント)
所属:株式会社Rush Gaming
生年月日:2000年7月9日生まれ(20歳)
出身地:大阪府
主なプレイゲームタイトル:Call of Duty(CoD)
使用武器:AR(アサルトライフル)

▼主な大会実績

*BO4シーズン
2019/1/18-20 ANOTHER TOURNAMENT in WINTER 優勝(173チーム)
2019/3/9-10,30 第2回CWL日本代表決定戦 4位(96チーム)
2019/4/19-21 ANOTHER TOURNAMENT in SPRING 優勝(150チーム)
2019/4/27-28, 5/18 第3回CWL日本代表決定戦 5位(96チーム)
2019/6/8-9,29 第4回CWL日本代表決定戦 6位(96チーム)
2019/9/27-29 ANOTHER TOURNAMENT in FINAL 優勝(161チーム)

*MWシーズン
2019/12/7 Call or Duty Challengers 日本代表決定戦プレシーズンマッチ 3位

*BOCWシーズン(今期)
2021/01/09-10,17 ANOTHER TOURNAMENT BOCW in Winter 準優勝(113チーム)
2021/2/20-21 Rush Battle Tournament 優勝(20チーム)

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