コロナになった話 2022年3月
昨年の3月に発熱して検査したところコロナ陽性の結果が出ました。
今とはずいぶん状況が違いますが、その時の思い出を書いておこうと思います。
2022年3月23日の日曜日、私はBunkamura Galleryで行われていた江口寿史さんのRecord展に行こうと思っていました。
実は前日も会場には行くことが出来て展覧会自体は見ていたのですが、サイン会の整理券をもらうことが出来ず、この日朝早くから行って並ぶつもりだったのです。
しかし、なんとなく身体が重く計ってみると微熱があったため、残念ながら諦めることにしました。
そしてしばらくは家で静かに過ごそうと思っていました。
ところが、そろそろ寝ようと思ってベッドに入っていたら、当時飼っていた猫が珍しくおなかの上に乗ってきました。
その顔を見て私は衝撃を受けました。
この猫はとても大きくて綺麗な目をしていたのですが、左目だけが真っ赤、というより真紅になっているのです。
一瞬悪魔が取り憑いたのかと思いました。
また、この赤くなっているところから映画の「スキャナーズ」のように爆発するのではないか?というような恐怖も感じました。
猫は当時18歳という高齢で持病もあって定期的に通院していたので、月曜日になってから病院に行くことにして、ドキドキしながら夜が明けるのを待ちました。
次の日は3月にしても冷たい雨が降っていました。
私は車を持っていないためお天気の悪い日は猫との外出を避けていたのですが、まさに緊急事態ということで手提げタイプのキャリーバックに入ってもらって連れていきました。
ところが、いつもの病院では目の検査は出来ないということなのです。
一駅先の専門の病院を教えてもらい、そこは予約時間が決まっているため、一度家に帰ってから再度出かけることになりました。
その頃から私の方の体調がジワジワと悪くなって来ました。
教えてもらった病院は思った以上に駅から遠く、雨もどんどん強くなってきました。
ようやく到着して検査してもらっている間、多分熱が上がってきたためか貧血状態になり、暖房に耐えきれず外に出てぐったり倒れ込んだりして、もはやどちらが患者かわからない状態になりました。
検査の結果は高血圧から来る眼底出血で、既にもうかなり前から視力はなくなっているということでした。
いつも私の顔やテレビの画面をじっと見たりしていたし、猫じゃらしでも遊んでいたので驚きましたが、確かにライトを当てても瞳孔は開いたままでした。
すぐに大変なことになるわけではないということだったので少しホッとしましたが、やはりショックは大きいまま、雨の中キャリーを持って家に帰りました。
帰ってからは猫に高血圧の薬を飲ませるというタスクがひとつ増えました。
猫はもともと腎臓が悪くて、高血圧の薬は腎臓と相性が悪いと言うことで、無理して飲ませなくてもよいということが後でわかるのですが、この時点では飲ませることに必死でした。
そして予想通り全く飲んでもらえず、猫との投薬バトルで私の体力はどんどん削られていきました。
次の日は朝から38℃くらいの熱がありました。
雨の中猫を連れて歩き回ったから当然と言えば当然だなと思いながら、今度は私が検査のために病院に行くことになりました。
ちなみに猫の時には有給を使いましたが、自分の時はテレワークのお昼休みを利用しました。
病室には入れずガレージのようなところでPCR検査をしてもらって、陽性だった場合の連絡先をもらい、次の日のお昼休みにコロナ陽性の結果が出たという電話をもらいました。
その頃には熱も下がりテレワークで普通に仕事をしていました。
当時は外出に対して今よりものすごく厳しくて買い物に行けない代わりに東京都からいろいろなものを送っていただきました。
私自身は東京都からの頂き物やネットスーパーを活用して普段より豊かな食生活を送っていたのですが、ここでまたしても猫のことで問題が出てきました。
当時私は猫の腎臓病用の療法食をいつも病院に注文していました。
これはネットスーパーでは買うことが出来ないものです。
ところがこの療法食が当時世界的な在庫不足で入荷を待っているうちに自粛生活に突入してしまったのです。
そして家にあるものも僅少になってきて綱渡りのような気持ちで日々を過ごしていました。
解除間際に病院から入荷の電話があり、まだ家からは出られないので送ってもらえませんか?とお願いしたところ「誰か近所のお友達に頼めませんか?」と言われました。
勇気を出してジムで出会った方にお願いしてみたところ、快く引き受けてくれたばかりか豪華な差し入れまでいただきました。
自粛が明けて外に出た時に咲いていた桜がとても綺麗でした。
私にとって2022年のコロナはスリリングな体験でしたが、家族、友人、会社の人、東京都など沢山の人に気遣っていただいたことに対して感謝したいと思います。
ちなみに猫の目はほんの少しの出血がレンズの効果で拡大されていただけだったようで、自粛中に綺麗に元に戻っていました。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
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