わたしはファンを愛し、自らを削って与え続け、ついに消滅するVtuberを見送った

Vとしての誕生の瞬間は見ていない。どんな活動をしていたかもよく知らなかった。しかし、わたしと彼女はふたたび出会った。ここではその名をユウとする。

わたしは自らゲーム配信をするが、趣味程度のお粗末なものだしそれ以上を望んだこともない。他人の配信を見に行くことはほとんどない。友人知人の配信をのぞき見ることで興味は満たされ切っている。わたしにとって、どんな有名人の配信よりも、自分の世界に交わる者の配信の方がおもしろく、価値が高いのだ。ほかにやりたいこともたくさんあって、赤の他人の配信を見る時間なんてない。なので巷ではやりのYouTuberや、ゲーム漬けの自分により近いVTuber(本エントリでは雑にVと約すことが多くなる)の配信を見に行くことも、知ろうとすることすらも、なかった。

が、2019年の今になって、突然わたしはVTuberたちの世界に関わりだすことになる。細々と続けていた継続的な仕事の契約が終わり、「はて、やることがないぞ」と思ったとたんに、だ。何者かの采配によってものすごいタイミングで「お前は今こそVを知れ」と、これらの案件が差し込まれたようにしか思えない。この何者かは、きっとおもしろ半分で人間をいじるのが大好きな存在であろう。そのおもてなしに乗ってやろうじゃないか。

ガチ恋視聴者の嘆きと絶望、消滅寸前のVとの邂逅、新人Vとマネージャーとしての奇妙な二人三脚。わたし自身が「替え玉」になることすらあった。そうして彼らの「世界の内側」に触れる機会を得た。V本人でもない、視聴者でもない、おかしな立場として。いろいろ約束事があって話せないことも多いが、半分生身、半分幻想存在であるVとの接触からわたしが学んだこと、経験したこと、考えさせられたことを記していきたいと思う。このエントリは生まれて、そしてわずかな時間で消えてしまった優しく弱いVとの別れの話。

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