【歌詞批評】反抗から肯定へ: 尾崎豊『卒業』/ YUI『My Generation』に見る自由

 尾崎豊の「卒業」とYUIの「My Generation」は、青春期の自由をテーマに扱っているが、両曲の自由の解釈には大きな違いが見られる。

 尾崎は社会への反抗を、YUIは自己肯定を描いている。
 
 尾崎の「卒業」を見てみよう。

「夜の校舎 窓ガラス壊してまわった」

 彼の抱く未来への不確実性や社会への反抗心が感じられる。「この支配からの 卒業」をキーフレーズに、彼は青春という時期を、自己と社会、そして権威との闘いとして描き出している。


 一方、YUIの「My Generation」は、自己肯定と希望に満ちたメッセージを通して聴き手に訴えかけている。

「窓ガラス 割るような 気持ちとはちょっと
違ってたんだ はじめから自由よ」

 自分の内側から湧き出る自由への欲求と自己表現の重要性を歌っている。

「描いた夢を強く信じきれた時から変わるGeneration」

 と歌う彼女は、自己の夢を信じることで、自分自身の時代が変わると表現している。


 共通しているのは青春というテーマであり、それを通じた自由と人生の選択についての探求だ。     しかし両曲には、それをどう捉えているかに大きな違いがある。
 
 尾崎豊は「窓ガラスを壊す」というイメージで、社会の制約からの解放を表現することで、自由への切望を示している。これは一種の物理的な解放として描かれている。
 一方、YUIは窓ガラスを壊さず、自由を内側から見つけ出し、自己を肯定することで自由を得るという視点を提供する。

 この差異は、物理的な解放と精神的な解放、外部からの自由と内部からの自由という、自由についての異なる解釈を示している。

 それぞれの曲は青春の体験を通して、自己を理解し、社会とどのように向き合うべきかという重要な問いに対する独自の解答を提示している。

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