【歌詞批評】恋の枯渇: Mr.Children『渇いたkiss』
「渇いたkiss」の歌詞は傑作である。
それは、恋の枯渇を見事に描き出しているからである。
「もう うんざりしてるのは僕だって気付いてる」
ここでは、「うんざりしてる」という表現を用いることで、恋人への飽きや疲労感が鮮明に描く。自身の感情に気付くことで、内面的な葛藤が示されている。
一方、
「君が最後の答えを口にしてしまう前に
渇いたキスで塞いでしまう」
恋人から何か決定的なことを告げられることを恐れ、形式だけのキスでその言葉を遮ろうとする姿を描く。ここでの「渇いたキス」は、もはや本来の愛情や熱意が失われ、感情が枯渇し空虚な状態に陥っていることを示唆している。
「それでなんとか今をしのげればいいのに」という言葉は、形式的なキスが一時的な逃避手段となるものの、それが本質的な問題解決には繋がらないという歌い手の無力感と途方さを象徴している。
「渇いたkiss」は、終わりを迎えようとしている恋愛関係と、その中で感じられる感情の枯渇を巧みに描き出す優れた作品である。
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