【エッセイ】フラウミュンスター教会 ステンドグラス

 スイス、チューリヒの街角に佇むフラウミュンスター教会。その建物は中世から連綿と時を刻み続け、歴史と静寂が刻まれていた。石畳の道を進み、教会の扉を押し開けた。

 この教会に訪れた理由は一つ、シャガールのステンドグラス。その驚異的な色彩とフォルムが、世界中から人々を引き寄せている。

 教会の内部には、聖なる空気と深い静寂が満ちていた。目を上げると、そこにはシャガールのステンドグラスが静かに佇んでいた。その光は、太陽がキラキラと輝き、ゆらゆらと教会の中に溶け込んでいく。

 ステンドグラスの前で立ち止まり、その色彩に満ち溢れた光を、全身で感じとる。真紅、深紫、明るい緑、深い青、金色…それらはモザイクのように繋がり合い、神秘性を持って迫ってくる。その光は、生命そのものを表現しているようだった。

 シャガールの光は心に直接触れ、内側から震えを走らせた。それはまるで、創造力が心の奥底から甦り、新たな光を見つけ出すような感覚だった。一瞬の光景が永遠に刻まれ、その美しさが心を満たし始めた。それは、芸術とは何か、創造とは何か、ということを思い起こさせた。

 何を求めていたのか。それは「光の美」だった。

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