見出し画像

蠍座の満月(真の私)

4月24日 8:49 蠍座の満月です。

蠍座の神話


ジェームズ・ワード(1769-1859)「パエトンの墜落」


太陽神アポロンの息子にパエトンという青年がいました。
パエトンは父が太陽神であることを誇りに思っていましたが、友達は誰も信じてくれません。
そこでパエトンは父に会いに行き、太陽の戦車を貸してほしいと頼みます。
アポロンは当初はこれを拒否しました。
すぐに根負けするだろうと思ったアポロンは、
ムリそうな課題をパエトンに課し
「もしこの課題をこなしたら、ステュクスに誓って戦車を貸そう」
と約束してしまいます。

ステュクスは、冥界を流れる
オーケアノスの流れの十分の一を割り当てられている支流で、
地下の冥界を七重に取り巻いて流れ、
生者の領域と死者の領域とを峻別する女神です。
ステュクスの支流には火の川プレゲトーン、
忘却の川レーテー、
悲嘆の川コーキュートス、アケローン川があります。
そんなステュクスは、ゼウスから「神々を罰する」という特別な権限を与えられており、
オリュンポス山の神々は、誓言をする際にステュクスの水を飲んで誓言をします。

ステュクスとの誓いにより、パエトンはアポロンの戦車を借り受けます。
そしてパエトンが手綱を握った、4頭だての戦車は順調に走り出します。
しかし、行く手には、夜空の星座達があります。
蠍にパエトンが怖くなってひるむと、(または馬がサソリに刺されたため)
馬車はとたんに暴走をはじめ、地上や天空を滅茶苦茶に走り回りました。
太陽の戦車が近づいた地上は火事が起こり、天空も焦がしてしまいます。
アポロンは、ついにゼウスに息子の暴走を止めるよう懇願します。
ステュクスに誓った約束をアポロンは自ら反故にすることはできず
ゼウスはやむなくパエトンを雷光で殺しました。

蠍座の中の月

蠍座の中での月は、12星座の中でも居心地が良くない状態であって、
月が自己表現することをある意味困難にさせているとされています。
それは、蠍座パエトンの神話にも包含されているように、
自分の目的(感情)を表現しようとすると、蠍によって阻止される、
という矛盾を突きつけられてしまうためです。

なぜなのでしょうか。

月は本来、自分自身の感情を表現するものと解釈されています。
太陽に照らされて日々変化している「感情という生き物」そのものであるとも思えます。
牡羊座で生まれた「私」という感情が蠍座にさしかかると
「蠍」という死を司るものに「初めて」対峙します。
それまで、感情を表現することを多少たしなめられたことはあったにせよ、
「蠍の毒」ほどに強い抑制(すなわち死)は経験がありません。

月が体験するもっとも大きな困難が
蠍座による「感情の死」なのだと「体験」するのです。

パエトンが乗っていたアポロンからの借り物である馬車は壊され、
パエトンは、自分で立ち向かわなかった報いがゼウスによってもたらされます。
そして父アポロンにも、愛息を神の雷によって失うという大きな代償を払うのです。

蠍座の支配星である冥王星も死と再生の天体ですが、
これも「偽りの真実」を破壊します。
借り物や偽りの感情は壊され、自分のものになっていたと思っていた「感情」が、
自分の根源から湧き上がってくるものであるかそうでないか、シビアに振り分けられるのが蠍座という場所になります。

そんなシビアな状況にある月を、牡牛座の太陽が真正面から照らすのが満月です。
牡牛座の中での太陽は、物質的な面に関心を向けて経験を積みます。
五感を研ぎ澄まし、形や構造との一体感を持つようになります。

蠍座での満月は、満月本来が持つ『形』に加えて、
シビアな感情をもっと昇華させたものとして注意深く観察した結果、
偽りや過去を手放し、存在の中に平和・平安を見出します。

それは、無私の心が真に望むものであり、暗闇を光に変えるものとなります。
蠍座が持つ深い繋がりも照らしますので、大切な人との関わりにも思いをはせるようになります。


満月図

月は5ハウス、そして、太陽は11ハウスにあります。
満月には、水瓶座の冥王星が関わるTスクエアとなっています。
冥王星は、蠍座の支配星であり、破壊と再生を表します。


Tスクエアは、厳しいけれどもこの厳しさを超えた後には
広い視野が広がるものと考えています。

私はTスクエアは弁証法(アウフヘーベン)だと考えています。
物凄く短く説明すると
ある考え方を、テーゼ
それに対抗する考え方を、アンチテーゼ
テーゼとアンチテーゼから生まれた新たな考え、ジンテーゼ
このジンテーゼを導くための考え方全体をアウフヘーベンと呼びます。

テーゼからアンチテーゼを導くのは
脊椎反射的なものも含めて、普段よく接しますが、
このアンチテーゼ自体も、きちんと導くにはかなり大変です。

テーゼに対しアンチを考えるだけで解決し得ない困難が
Tスクエアがもたらす困難ではありますが
テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼと
すべてを自分事として向き合って取り組むべき時と捉えて
腰を据えて取り組むときです。

この満月のTスクエアにより問題点がこれでもかと提示され
2週間後の牡牛座新月からの新しいサイクルに備えていきます

さらに、太陽のある牡牛座には21日に重なった天王星と木星があります。
天王星は、ハプニングや突発的な事柄を表し、
木星は物事の拡大を表します。


びっくりするようなことが起こるかもしれない、
心が乱されるようなことが起こるかもしれない
期待していたサプライズは起こらないかもしれない
都合のよい波乱は起こらないかもしれない

月並みですが、
些末なことに動じない、びっくりしない
というのがやっぱり落としどころなのです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?