遺された五線譜①/12 謎解きIQ150
朝の言弾(ことだま)
鉄骨階段を歩く時のカン、カンという独特な音が好き。上る時よりも下りる時の方が響くのは気のせいかな。
部屋を出て愛車に跨り、事務所を目指す。
ゴールデンウィークも終わって穏やかに晴れた朝は、風を切って走るのが心地いい。見馴れた景色も新鮮に感じる。
十五分ほどで大通りから一本入った道を右に曲がり、しばらく行った十字路を左へ進むと右手の角に煙草屋が見えてきた。珍しく人影はない。
しめた、と通り過ぎようとしたら無警戒の左側から声を掛けられた。
「おはよ