見出し画像

カウンセリング/27回目

自分の内面を細やかに観察する

思ったよりも風邪が長引き、ようやく回復に向かってきた。夫は海外に出張中で、気ままな1週間を過ごしている。

ここで気づいたのは、夫は「ちょうどいい気を逸らせる悩み事」になってくれているのだなということだ。夫がムカつく、夫のこういうところに腹が立つ。そうやって夫に意識を向けていると案外楽で、もっとしんどいところに目を向けずに済むこともあるかもしれない。

そして夫が不在の間、私は自分の中をもっと細やかに観察できるようになった。夫で気を逸らせない分、自分の些細な心の揺れなどが見えるようになった感じがする。そして、それは少し心もとない感覚がする。夫の存在は私をある意味助けてくれていたのかもしれない。

河合隼雄の本に、「老後に備えて一生懸命貯金などをして、結果何の苦労も無く過ごせるとしても、そうなると今度は老いや死に対する恐怖に向き合わないといけなくなる。老後の苦労があるとそちらに気を取られて向き合わずに済んだかもしれないのに」という話があった。悩み事が人を助けてくれている時もある、と。悩み事は無理に解決しない方がいいのでクライアントから取り上げないとあった。

河合隼雄は常に判断を読者に委ねる書き方をするので、この時も「悩み事があった方がいいのかどうか」ということについての答えははっきりと言及してはいない。そういうところがとてもいい。
さて、悩み事はあった方がいいのか悪いのか。どっちなんだろうか。


自分の恥の感覚に向き合う

先日、仕事でミスというほどではないが「ちょっと気を回し過ぎてしまった」という案件があった。やんわり指摘され、特に誰に迷惑をかけるわけでもなく、そこまでしなくてもよかったんですね、で終了した。

自分の内面を観察すると、やはり動揺していた。恥ずかしいと思っている。「こんな風にやりすぎてしまった私をみんな笑っているんだろうか」という気持ちがあった。

普通に考えたら、そもそも誰も私のことをそこまで考えていないし、例え誰かが笑っていたとしても、私には知る由も無いしどうということもない。クビになる訳でもない。頭では分かっているけど、気持ちが反射のように動いてしまう。
自分の内面を観察していなければ、特に気づくことなく「やっちゃった」で終わりだったと思う。実際、しばらくしたら何とも思わなくなっていた。

もうこの恥の感覚がどこから来ているのかはわかっているのだけど、何度でも向き合う。その子どもの頃の私が「どう感じていたのか」「本当はどうしてほしかったのか、どうしたかったのか」を感じて受け止める。

母から言う事を聞かない悪い子で恥ずかしい子だと言われたくなかった、そのままで大丈夫と認めてほしかった、自分はダメなんだ、悪い子だから恥ずかしいんだ、みんな笑っているに違いない、怖いという気持ち。
これが辛かったんだよね、嫌だったんだよねと自分と対話する。

そして「これって本当に私悪くないじゃんか、恥ずかしくもないじゃん」と急にすとんと思った。本当に何もしていないのだ。なのに恥や罪悪感を感じている。本当にひどい話だ。


仕上げにイメージワークをする

自分と対話して向き合い、当時の感情を受け止めることをしてから、イメージワークをやってみましょうと言われた。イメージは得意だ。
マインドフルネスの「葉っぱのワーク」をするということだった。

まずは、このいろんな時に出てくる恥ずかしい気持ちに名前を付ける。
何でもいいので、ニックネームのようなもの、とのこと。カウンセリング後に「治」にしようと思いついた。太宰治の治だ。
太宰治の「人間失格」や「トカトントン」を読んでいて、ものすごく共感したというのがあるからだ。太宰治の描く人物にも恥の感覚があるし、それは私の恥の感覚にとても似ていると思う。複雑な幼少期を過ごしたみたいだし、太宰治自身もトラウマを抱えた人だったのだろうなという感じがしている。なので、申し訳ないけれどこの恥の感覚を「治」にさせてもらう。

そして、葉っぱのワークのイメージをする。森の中にいて、せせらぎが流れている。とても気持ちのいい空間にいる。そのせせらぎに葉っぱが落ちてくる。私はその上に「治」を乗っけて、流れていくのを眺める。「治」、さようなら。こうやって、恥の感覚「治」を感じるたびに自分の気持ちを受け止めて対話したら、最後に葉っぱに載せて流れるのを見届ける。私の中からどんどん「治」が無くなっていくことをイメージで実感する。

EMDRでも実感しているのだけど、イメージワークを軽く見てはいけない。うまくやれたもの勝ちだと思う。右脳に残っていることを扱うのだから、言語よりもイメージと感情だ。

次回以降は2週間に1回となる。
小さなことを少しずつでもおろそかにしないで丁寧に向き合っていくと、全然違うことを実感している。それを続けていきたい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?