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トラウマ関連の読書記録⑪「ボディ・コネクト・セラピー、ホログラフィー・トーク」

日本発の心理療法についての本を読む

三森みささんのトラウマ治療漫画を読むと、EMDRやSE(ソマティック・エクスペリエンシング)以外に聞きなれない治療の名前が出てくる。三森さんが実際に受けていた「ボディ・コネクト・セラピー(以下BCT)」だ。

また、私が受けているEMDRのセラピストのプロフィールに、扱える心理療法として「ホログラフィー・トーク」とある。おそらく治療時にEMDRと合わせて使ったりしているのだろうけど、もちろん私にはさっぱり分からない。
どちらもトラウマ治療として有効なものらしく、どんなものなのだろうと気になっていた。

BCTもホログラフィー・トークも公式のウェブサイトがあり、資格保持者などの情報も載っている。

臨床家に向けての内容も多く、一体どういう治療なのかがイマイチよく分からない。そもそも、クライアントはそこまで知る必要は無いのだろう。
さらに、書籍を探してみるとEMDRやSEのような詳細なものは見つけられなかったが、この本がヒットした。

日本発の現代の心理療法9つ紹介しており、それぞれの提唱者が執筆している。これを読んでみた。


ボディ・コネクト・セラピー(BCT)

三森さんの漫画を読むと分かるが、自分の指で膝をトントンと叩き、心理士さんの持っている指示棒の方向に目を向けながら、心の中で決めたことを思い浮かべている。最初に漫画を読んだ時は、これがEMDRなのかと思っていた。

BCTには、EMDR、SE、TFT(思考場療法)によるツボのタッピング、タッチやパーツワークなどが取り入れられている。
眼球運動は、EMDRのように左右に動かすのではなく、楽に動かせる方向に動かす方法になっている。東洋医学でも目にするが、眼球の運動は身体や脳に繋がっている大事な動きらしい。
ツボのタッピングは基本7か所で、クライアントが自分でタッピングを行う。合谷や足三里などを指で軽く叩く。
BCTの技法は準備やトラウマ処理、リソース開発、安定化などの5種類ある。

受けているところを想像すると、大忙しな感じがする。身体感覚を感じたり、決めたことを頭の中で思い浮かべたりしながら、指示されたツボをタッピングしつつ、指示棒を目で追う。でも面白そうだ。
EMDRではうまくいかない場合に試すこともあると書いてあった。


ホログラフィー・トーク

ホログラフィー・トークは、ざっくり書くとこんな流れになっている。
1. 困りごとを外在化する
2. 問題が発生した起源に退行する
3. 今のクライアントが過去のクライアントの話や望みを聞く
4. 過去のクライアントが完遂したかった行動を完遂させて、過去の苦痛の伴う場面を望ましい形に置き換え、今のクライアントに安堵の気持ちを体感させる
5. 過去のクライアントの望みを叶えていく
6. 安定化とリソースの獲得を行う

軽い催眠でトランス状態に入ったクライアントを誘導していく形を取る。
イメージを使い、クライアント自身が過去の自分と対話したりイメージの中で解決したりして主体的に関わっていく。

これはEMDRのセッションの中で毎回やっているような気がする。4については、オソノさんを登場させたり、過去の私を今の私が助けたりすることで、安心感を得ていることと共通しているように思える。

セラピストは、ホログラフィー・トークもEMDRの治療に取り入れているのかもしれない。イメージの中で過去の私の望みを叶えてあげて安心させるというのは、私にはとても効果があると感じている。


その他にも興味深い心理療法がある

トラウマ関連の心理療法で私が知りたかったのは上の2つだが、それ以外にも解離などを扱うUSPTというのがあった。トラウマからの解離を統合する治療法で、開発した経緯が「こんなことある?」というびっくりするものだった。

なかなか回復に向かわないクライアントが、自称霊能者の除霊で一発で回復したと聞き、霊能者に会いに行き、除霊は霊能力が無いと無理だけど、タッピング(のようなもの)なら教えてやると言われて教わった方法をもとに開発したそうだ。

治療の際には、心理療法だと言うよりも霊能者に教えてもらった方法だと言う方が抵抗が少ないクライアントもいるため、状況によって説明を変えているとのこと。回復すればいいのだ、オカルトを否定することもオカルトを認めることもしない、というスタンスで、腹が据わっている…と感動してしまった。確か河合隼雄も同じようなことを書いていた気がする。

そして壮絶…と思ったのが条件反射制御法だった。いわゆる依存症治療のために開発されたもので、パブロフの第一信号系と第二信号系という反射の仕組みを利用している。

内容は気が遠くなる位のステップがあるので割愛する。が、こういった反復と継続を繰り返しながら、症状が安定したらそれを維持をする行程を「一生続ける」とあって眩暈がした。これを一生続けるのか。でもそうでもしないとなかなか戻ることはできないのだろう。

あと、P循環療法。わかる。結局そういうことなのだと思うし、トラウマから回復したらこうなるんだろうというのもわかる。円環的思考法を元にしているのもわかる。でもこれ「引き寄せ」じゃん…と困惑した。
これは解離がひどかったり、パーソナリティの問題を抱えていたり、複雑性PTSDのクライアントには効かないのでは…?


スッキリした

知りたいことをある程度知ることができたので、スッキリした。
心理療法の世界は広くて奥深い。オチなし。


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