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この本を読んで抵抗を感じたら

話題のベストセラーを読む

旧Twitterで話題になっていたこちらの本を読んだ。感想を読むと「私のための本だ」と思ったからだ。

この本は、子どもの頃に親や周囲の大人との関わりで傷ついた経験があった親たちのために書かれている。ということはほぼ全てかもしれない。

「子どもは何歳になろうと、あなたがその子どもに近い年齢だったころに経験した感情を、体感できるくらいはっきりと思い出させる」

そして、親になった(あるいはなる予定の)読者が子どもを育てる過程で不快感を感じる時は、自分自身の過去に反応していることが多く、その過去の物語を知ることが必要である、ということが一番最初に書かれている。

「自分が受けた扱いを次の世代に伝えないようにするのは難しいことです。正体不明の感情にもとづいて反射的に行動するのではなく、自分がどう感じているかを自覚し、じっくり考える必要があります。」

「内なる批判家」についても言及している。親の持つ「批判家」は子どもにも受け継がれる可能性がある。子どもの人生に大きな影響を与えてしまう。怖い怖い怖い。

この本では子どもとの関わりを中心にして書かれているので、回復について詳しいことは書いていない。気づくこと、自覚することというところまでが書いてある。

私が思うに、著者はイギリスの方なので、あちらでは何かあるとセラピーやカウンセリングを受けることに抵抗がないため、本書を読んで自覚できたら、親たちは自分のセラピーを受けに行くのではないかと思う。日本ではなかなか難しいのかもしれない。

「問題を直視することを親が恐れると、子どもにも良い影響はありません。」


今自分がやっていることそのままが書いてある

この本の文章はほぼキラーフレーズなので、刺さったところを引用するとえらいことになってしまう。
ざっくりまとめると「子どもの感情はどんなものでも寄り添え、決めつけるな、子どものニーズを受け入れろ、力関係を手放せ」という感じ。

じゃあどうやったらいいのか。
妊娠中の時期から赤ちゃん時代、思春期やきょうだい関係など、いろんな場面での向き合い方が書いてある。

で、これをする大前提として「自分の親から受け継いだ障害物を取り除く」とある。これができていなかったら、子どもにできるわけがない。まずは自分のことから。

読んでいて気づいたのが、私が今自分のインナーチャイルドに対してしていることとほぼ同じだということだ。感情をどんなものでも受け止め、寄り添い、決めつけない。私の本当のニーズを受け入れる。まるっきりそのままだ。私は自分自身の育て直しをしているのだから当然なのだけど。

そして、そういった適切な関わりをされなかった場合に子どもがどう振る舞うかということが書いてあり、それがそのまんま子どもの頃の私だった。これは効いた。
こんな風に適切な関わりをしてもらっていなかったんだもの、ぐずぐず言ったり不適切な行動で親に見てもらおうとするのは当然だし、私が悪い子なんじゃないよ。読みながらそうやって再確認していった。

「何か問題が生じたとき、原因が子どもだけにあると思わないようにしましょう。」


断絶と修復

この本を読むのは出産前や赤ちゃんの親だけではないので、すでに「やっちまった」という後悔や不安を抱えている親もたくさんいるはずだ。もちろん私も同じである。

著者は何度も「修復はいつからでもできる」と書いている。完璧な親などいない。
「関係の修復をするには、まず対応を変えること、つまり自分の引き金を意識して、いままでとは違う反応をすることです。」
「親からの修復の働きかけは非常に大きな意味を持つのです。」
「子どもに必要なのは誠実で信頼できる親であって、完璧な親ではないのです」

自分の行動を変えること、修復する勇気を持つこと。そのためには自分自身の感情を自分で受け止めて、過去の感情についても自覚すること。


リトマス試験紙かもしれない

この本を読んで、今の私は深く納得したし「自分はもう自分にも子どもにもそうしているし、これからもできる」と確信を持てた。
前までの自分なら、読んでいてしんどくなったり「こんな風にするにはどうしたらいいのかがわからない(やり方は書いてあるけれど、気持ちの持って行き方がわからない)」となってしんどくなって終わりだったと思う。

という訳で、この本を読んでの自分の反応が「受け入れられない」「訳がわからない」「腹が立つ」「不安で仕方がない」などなど、ネガティブな気持ちになって途方に暮れたとしたら、それはもう何よりもまず自分自身のことをしっかり見つめることが必要だということなのではないかと思う。

「私も辛いのに」とか、そういう自分の感情を免罪符にするのは本当に意味がない。
親だろ。親ならやるんだよ。つべこべ言わずに向き合えよ。子どもにこんなキツいものを受け継がせてもいいのかよ、と思う。
私は絶対に絶対にゴメンだ。



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