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魂の記憶 シリウスの小さな治療院

こんにちは。
ヒーリングアーティストの瑠莉です。


昨年くらいからヒーリングアートを描いている時に、頭の中で音楽が聞こえたりすることがありました。
その音楽をかけながら絵を描くと、少しスムーズに書けるようになったりしてきたり。
もしくは違うものをかけたりすると違和感でモヤモヤしてくるのです。

そうだその曲もつけよう。
Instagramでアップしてる絵に音楽をつけました。
今日は音とのマリアージュを楽しむきっかけになったかもしれない。
どこかの星であったかもしれない魂の物語です。

今回は今世生きてる人はまだ未登場です笑
過去最長になったので、お時間ある時にどうぞ。



シリウスの小さな治療院

私はティアーチェ
シリウスで看護の勉強をしています。
いわゆる留学生みたいなものかな。

17歳(地球年齢で)
私の住んでた星は12歳の頃に汚染が進んで、住めなくなってしまったの。
勿論他のアルクトゥルスに住むってこともできたんだけど、弟は汚染の影響で病気になってしまって、ママと弟と一緒にシリウスへ来たの。

汚染や遺伝子欠陥の治療はアルクトゥルスでは出来なくて、ここでは最新の手術が受けれるって聞いてやって来たの。
それが今から2年前の出来事なんだけど、私も弟のために何かできないかって事で、一緒にアルクトゥルスから来た親友のミャーちゃんと一緒に看護師学校に通うことにしたのよ。


シリウスってすごいわ!
機械や文化がすごく発展してて、アルクトゥルスではない治療がたくさんあったの。
でもシリウスの人ってなんだかとっても不真面目なの。
お金払って勉強してるのに、なんで遊ぶ事ができるのかしら?
私たちは学校に通えることって名誉なことなのに。文化の違いかしらね。

でもね、その理由がわかったわ。
シリウスの先生ってちっとも性格が良くないの。
隠してるつもりでも適当にやってるの。私たちに心の声が聞こえてるの気がついてないのかしらね?
ミャーちゃんと顔を見合わせたわ。
アルクトゥルスでは人格も頭も良くないと学校に行けないのに、シリウスは頭が良ければそれでいいみたい。
変なの。


私は、村で1番じゃないのに学校に通える日が来るなんて!と胸を躍らせたわ。
でもねそんなに簡単なことじゃなかったのよ。

当然勉強してない人と比べたら、私たちってすごく真面目に取り組んでたから、学校の成績も1番かしらね?なんて話してたのよね。

全然そんなことなかったの!初めてやる数学は難しいし、物理の授業なんて本当に意味がわからない。
でも機械が使えないとシリウスの医療はダメだったのよ。

しかもなんで遊んでばっかの人に、成績が抜かされてるのよ!!
私達こんなに勉強してるのに!

そんな中でシリウス人の心の声が聞こえるの。
もっと手抜けばいいのにって。

正直ムカついた!シリウス人ってなんで意地悪なのかしら。馬鹿にしてるのかしら!!
こんなんだったらもうアルクトゥルスに帰ろうかな。パパもあっちにあるし。
弟もママがついてるから、いいかなって。


————————————

はぁ、、。
私は公園のベンチで、周りの人全員に聞かれるんじゃないか?ってくらい大きいため息をついていたわ。

「やぁお嬢さん悩み事かね」
そうしたら豆みたいな小さいおじいさんが私の隣にいきなり居て、私に話しかけてきたの。
私は心の声が聞こえるから、気配とかすぐ分かるのに、このおじいさんったらいきなり隣にいるんだもの。びっくりしちゃった。

「びっくりしてる顔をしてるね。こりゃ傑作だ。」
おじいさんは、かかかっと笑って楽しそうにして話しかけてきたの。

「なに驚くことはない。アルクトゥルス人以外でも心の音が聞こえる人がいるということさ。
ぼくは散歩をここにしにきてるから、君にまた会えるのを楽しみにしているよ。」

————————————
それから私は公園へ通ったわ。
勉強が行き詰まると公園へ行って、黄昏ていると、どこからともなくおじいちゃんがやってくるの。
そして取り止めもない話を沢山したわ。
だって心の声どうせ聞こえてるんだから、隠し事なんて意味ないでしょ。
私、きっと家族と離れて寂しかったのね。

「おじいさん。今週も宇宙工学のテスト全然ダメだったわ。
私ってなんでこうなのかしら。難しくて勉強してるのに、ちっともわからないのよ。」

「君はなんで、シリウスの学校に通っているんだい?」

「えっなんでかって?言ってなかったかしら。私は弟がいてねー。超可愛いのよ?あっ写真見る?
あっ要らない?でも見てよ!可愛いでしょー。

でね弟はシリウスに遺伝子異常の治療を受けにきたのよ。アルクトゥルスではそういう子も多いからね。
で手術してもらったのよ。それが大成功!アルクトゥルスの治療じゃ考えられなかったの。
これは奇跡だって思ったわ。
だから私もオペ室の看護師になって、弟みたいな子を沢山助けるのよ!!」

「オペ室じゃないとダメなのかい?」

「えっダメってことはないけど、、でもせっかくシリウスで勉強するんだもの。シリウスでしか学べないことやりたいでしょ。」

「ふむ。でも君の心の音はちっとも楽しそうじゃない。」

「そうなのよ。数学も、宇宙工学、物理も全然分かんないのよ。
こんな向いてないんだと思って、勉強して見てるんだけど、ほんとわかんないのよー。
こんなんじゃオペ室勤務は出来ないわ。」

「オペ室じゃなきゃ君の弟のような子は助けられないのかい?」

「えっでも、、」

「じゃあ毎週金曜日、授業が終わったらここに来てくれるかい。」

そう言っておじいさんは私に一枚の名刺をくれたの。

心療音楽研究所
  心の治療室 
   音楽治療家
      ザック 

おじいさんの名刺



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そこは古びたちょっと街の外れにある植物の生い茂った家だった。

カランカラン
ドアを開けるとベルの心地よい音が響いた。
素敵な音。少しその音に聞き惚れていたけど、静かに音楽が奥の方から流れていたの。
おじいさんだけじゃないわ。
そう感じたので、私は入り口にあるソファーでちょこんと座っておじいさんが来るまで、ここの部屋でゆっくりさせてもらう事にしたわ。
テレパスでそこで待っててって聞こえたんだもの。


「お嬢さんお待たせしたね。」
そう言っておじいさんは、奥の部屋から出てきたの。男の子と一緒に。
男の子は手話でこんにちは。と挨拶しようとしてきたわ。
そして脳内にあなたは誰?って聞こえたの。

「こんにちは!私はティアーチェ。チェチェって呼んでね。そしてごめんなさい。私は手話は分からないの。でもテレパスで伝えてくれればある程度お話はできると思うわ。
あっもちろんあなたの心の気持ちは、私の中に留めておくからね。安心して!」

矢継ぎ早に男の子に告げると、男の子は少し驚いた顔をした後にこってわらったの。

「あら!あなた笑うと可愛いじゃない!ボッチェって言うのね。
いくつ?10歳?私にも同じくらいの年頃の弟がいるのよ!
ちなみに私は17歳!今日はこちらのおじいさまにこちらにご招待頂いたの。
改めてよろしくね。」

そう言ってちょっと赤い顔したボッチェと握手を交わしたわ。

「さて、君は毎週金曜日にこの子と治療の後お話ししてくれるかな?もちろんバイト代は出すよ」
「えっそれはいいんだけど、ボッチェあなたはそれでいいの?いきなり連れてきたうるさいアルクトゥルス人と毎週話すことになるのよ?」

ボッチェは私と、おじいさんの顔を交互に見た後にこくんと頷いたわ。

「じゃあ決まりね!おじいさんは何をしたいのか分からないけど、任せて!
私、新しい小さい可愛いお友達が増えたのね!」


————————————

カランカラン。
診療所に心地よいベルの音がなる。
私は心の中で2人にこんにちは。と挨拶をして、勝手知ったる感じでお茶を入れた。
コポコポっとお湯の音がなり、カラカラと乾いたお茶っぱの音がした。
ゆっくりとぷくぷくっと膨らんでいくお茶っぱを眺めながら、2人が終わるまでお茶を準備するのが私の習慣になっていた。
お茶のリサイタルみたい。とそんなことを思って1人でくすくすって笑ったわ。

キィー。
ドアの軋む音が聞こえて、2人が出て来た。
「さて、今日のおやつは何かな。」

おじいちゃんとボッチェが出て来たわ。
最近は毎週お菓子を焼いて持ってくるのが習慣になって、そのお菓子を食べながらお茶をしてお話をするの。
まぁ見た目は悪いんだけど。味がいいからいいのよ。

「今日はねマドレーヌ。
素敵な音が聞こえる魔法をかけたのよ。と言っても、ボッチェにもこの心地よい日々の音が聞こえますように。って思ってつくっただけなんだけどね。
見た目はさ、あんまり綺麗じゃないんだけどさ。
普段はさミャーちゃんが盛り付け担当で私が食べるの担当なんだけど。ふふふ。
すみれの精霊が夢に出て来て、願いを込めて作ってねって言ってたのよ。
アルクトゥルスではそう言う話聞くんだけど、まさかシリウスで過ごしてて、精霊と出会えるなんて!
あらボッチェ信じてないわね!
信じたものにしか道は見えないんだから、話はこれくらいで食べましょ」

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「ボッチェ。こんにちは。
この前のお菓子どうだった?美味しかったかしら。」

こくん。ボッチェは小さくうなづいた。

「君のお菓子は不思議だね。紫色の夢を見たよ。ボッチェは、夢で音が聞けたみたいだよ。」

「えーうそうそー!ミャーちゃんにもあげたけど、紫色の女の子が夢に出て来たって言うのよー!」
「信じてたんじゃなかったのかい?」
「そうなんだけどね、アルクトゥルスに住んでないから無理なのかなって思ってたの。
そっかー。そうなんだ。私とうとう植物の精霊とお話出来たんだわ。
アルクトゥルスでは、精霊に認められるとお話ができるっていわれてるのよ!」

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気がつけば私、ここで過ごすのが楽しくて、それで私の話を楽しそうに聞いてくれる人が居るだけで、なんか勉強出来なくてもいいや。
ってだんだんなって来たの。
と言うか楽しく過ごしていくうちに、勉強も苦じゃなくなって来たのよ。
どうして音が鳴るのかとか、物理とかも知ると、この心地よさの理由の入り口をしれた気がして、本を読むのも楽しくなって来たの。
あとシリウス人も悪いやつばっかじゃないってね。
しわしわのお友達と、ちっちゃいお友達のおかげかしらね。


どんなお菓子を作ろうかなーとか。これあげたら喜ぶかなーとか。この器に盛ったら可愛いかも!とかね。
その作ってる時の音もすごく心地よくて、私幸せだなって思うんだ。

楽しいティータイム


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「さて突然だがこの集いも、今日で終わりなんだ」

開口一番おじいさんは言ったわ。

「えっどういう事?
ねぇボッチェ。私のこと嫌いになっちゃった?
うるさいから?」

ボッチェは、私の質問にふるふると小さく首を振った。
そしてボッチェは私の心に話しかけてきたの。

——僕、チェチェと話してる間に、僕の声で話してみたいって思うようになったの。
実は手術の影響か。ここの治療の影響か。なんなのかわからないけど、前より少しだけ音が聞こえる気がするんだ。
人と話すってこんなに楽しいんだって思えたんだ。
あのね、遠くの街に耳の悪い人でも喋れる様に教えてくれる人がいるんだって。
僕、そこに行ってみようかな。って思うんだ。
これはチェチェのおかげなんだ。
チェチェのお菓子ってとっても不思議で、食べてるとなんだか、力が湧いてくるんだ。
チェチェが、苦手な事も頑張って取り組んでる姿を見たら、僕もやってみようかなって思ったんだ。——



その言葉を聞いて、本当は。
物理の先生とか、もうハゲあがっちゃえ!とか。
数学なんてなくても生きていけるわ!この世の常識なんて知るか!!とか。
どうやってこの授業をサボるかを昨日も考えていた事を伝えようかと思ったけど、そこはおじいさんがやめときなさいと話しかけてきたから
我慢したわ。

「ほんと?ありがとう。
私もね、ボッチェのおかげで楽しかったわ。
実は、私も少し決めたことがあって、いつかその話、話せるようになったら夢を語り合いましょう。その声でね。
あっ寂しくなったらまたいつでも来ていいからね。
ふふっ私が寂しくなったら、呼んじゃうかも。そしたら、おじいさんと一緒にまた笑ってね。」


そう言ってギュッとボッチェを抱きしめました。
そして彼の夢が叶いますようにと、このシリウスの自然へ祈りました。

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「さて。お嬢さん。
君は、シリウスの医療じゃないと、君の弟のような子を救えない。
そうはじめ言っていたね。」

「ええ。本気でそう思ってたし、シリウスの医療というか、手術に携わってみたかったの。
それで弟が助かったんだもの。私もそうなりたかったのよ。」

「ボッチェ。かの少年は、手術は成功して実は、微かではあるが音が聞こえるようになっていたね。
君もそれはわかっていたね。」

「うん。本当は聞こえてそうだけどな。と思っていたけど、実際話せないし。どこかで手術が失敗したとばかり思っていたの。」

「さて。お嬢さん、本当にシリウスの医療じゃないと彼は救われなかったかな?」

「ううん。そんなことなかったわ。
そんなことなかったの。」

「人ができないと思っている要因は、実は一つではない。体がそうである可能性もあるが、心が要因のことも沢山あるということだね。
これは君の故郷である、アルクトゥルス人の友人が教えてくれたことなんだ。
楽しいと感じること、それが人の力になるという事だ。」

「そう。そうよね。」

「さて、君はもう分かるね。道は色々あるという事。
君は人の話を聞いてる時、何かを作ってる時、人と話してる時。
とても楽しそうにしているのを知っているかい?
感情にも音があって、物理の勉強や数学で頭が硬くなってる君の音は、とてもごちゃごちゃしている。楽しくない音がしているよ。

楽しいという気持ちや、君の真心が彼の心を溶かしたことを。」


「そうなの、内心向いてない、楽しくないって思う事を続けていたら、私の心と行動力がどんどん無くなっていったの。
出来るようになっても、実はそんなに楽しくなかった。
最近ね、やっぱり私もっと人と触れ合いたいな。人の話を聞きたいなって思うようになったの。

だから私、転科してもう一個学校に通うわ!放課後心理学科に行く事にしたの!!」

「てっきり辞めるのかと思ったよ。」

「いえ、だってこの知識も必要だと思うもの。知っておく必要はあるなと思ったの。私って欲張りだから!!
でももっとやりたいことが出来たの!
そのために時間が欲しいから、教授と相談して必要な学科だけ残して、別の学校と並行する事にしたの。
シリウスってそういう相談にはすぐ乗ってくれるのよね!びっくりした。
そんな自由がきくなんて。相談してみるものね!!」



こうして私は、シリウスで看護師ではなくて、小児科医を目指す事になったのでした。


——————

研修先の病院にて

私は無事学校を卒業し、経験を積むために病院へ無事配属になりました。

もちろんミャーちゃんと同じ病院なの。
ミャーちゃんは結局看護師の道を進むことになったんだけどね。
でも大好きなミャーちゃんが同じ病院に居るって心強いんだよね。



「あれお前?」

研修先の病院で廊下を歩いていると、少し懐かしい声が聞こえました。
私は、その声の方向を振り向きます。

「げっ。」
その声は、私のことをたまに馬鹿にしてくる遺伝子工学のラボにいたあいつでした。

「ふーんお前、ラボ辞めたと思ったら、まだなんだかんだでここにいたんだな。」

「そ、そうよ。なんか文句でもある!?」

「いーや。ふーん。小児科ねぇ。
お前にこの病院が務まるかなー。まぁ精々頑張るんだな。」


そう。彼はいつも通り憎まれ口を叩きながら、廊下を歩きながら手をパタパタとしながら、歩き去って行きました。

なんなのよあいつ!!!!ほんとなんなのよ!!
あのもじゃもじゃ頭!!!



——————
「って事があったわけ。」

私はストレス発散に食堂でご飯を食べながら、ミャーちゃんに話を聞いてもらってたわ。

「うちが思うにさー。その男。チェチェのことが好きなんじゃない?あ、ご飯粒落ちたよ。」

落ちたご飯粒を食べながら、ビックリして顔を見上げたわ。

「えっ、、まさか。だってあいつ会えば嫌味しか言わないのよ。そんなわけないじゃない?」

「でもさー。うちも会ったことあるけど、すごく紳士だし、勉強熱心でいい感じじゃん?
それにほら。彼ってすごくイケメンじゃない?
なのにチェチェにだけそんな口聞くじゃない?ほら男ってバカだからさー。気を引くためにやってるのよ。ほんとバカよねー。」

「そんなことないわよ。だって先週も街で女の子と歩いてる姿見かけたのよ。彼女。居るんでしょ。」

「えーでも、あなた。入学した時にイケメンがいるって騒いでたじゃない?目がサファイヤのようで吸い込まれそうで。ってうっとりしてたじゃない?」

「うっ、、それはそうなんだけどさ。見た目だけよ。好みだと思ってただけ。
私は仲良くなりたいと思って話しかけたのに、そんな問題も解けねぇのかよとか。
おいデブとか、おいブスとか言うのよ?信じられる?
でも他の女の子には、そこの可憐なお嬢さん。とか言うのよ。喧嘩売ってるとしか思えなくない?
ちょっと顔が良くて背が高くて、家も裕福みたいだし?頭もいいからって調子乗ってんのよ。」

「あはは!それ。めっちゃ褒めてるー。チェチェは可愛いね。好きなのね彼の事。相手にされなくて悔しいのか。可愛いー。」

ミャーちゃんは口元に手を当てながらくすくすっと鈴のように笑うのよ。

「違う!!!」

「はいはい。そう言うことにしておこうか。私は両思いだと思うよ。あっ違う腐れ縁ってやつ?」

「そんなことないわよ。あいつ美人が好きなんだって。」

「そうー?好きな子いじめるタイプだと思うんだけどなー。だって興味ない人に構うタイプじゃないもの。
うちたまに廊下で会うけどさ、うちの名前はよく覚えてないみたいだけど、あいつ元気か?って聞いてくるんだよ。
うちの事はチェチェの友達くらいしか認識してないみたい。知らなかったでしょ?」

「知らなかった。」

「チェチェは人の気持ちはわかるのに、全然自分の気持ち分かってないのね。というか言葉通り受け取りすぎ。
シリウスでは切り分けて考えなきゃダメよー。
自分知った方が良いよ。」

「なにそれ。私やっぱり小児科医向いてないかなー。」

「やだ。何それ。話が飛躍してる。チェチェは凄いんだから、研修でも評判だって聞いたよ?」

「たまたまじゃない?私は、妖精が夢に出て来て勝手に教えてくれることをやってるだけよ。 
夢に見ればみんな出来ることだから。
そしてちょっと声が聞こえるだけ。でもその区別はなかなか付かないし。
私の実力じゃないのよ。」

「うちはそれ出来ないけどなー。話を聞くのだけは得意かも。」

「ミャーちゃんは、可愛くて気も利いてさ。数学も工学も得意なのに、なんでお医者さんにならなかったの?看護師でいいの?」

「そうねー。なんでかって言われると、好きだからかも。好きなんだよね。人の手伝いがさ。
チェチェの手伝いがしたいのよ。
チェチェの話って面白いし、可愛くて大好き。ほんと飽きないもん。
だから先生。頼みますよー。うちらの夢叶えようね。」


私は胸がいっぱいになって、ポロポロ泣きながら立ち上がり、ミャーちゃんに抱きつきました。

「うん。私、、情けないけどさ。弱虫だけどさ。
人一倍情熱はあるの。中々気付いて貰えないけどさ。人よりゆっくりでさ、分からないことも多いけどさ。
頑張って研修勤めあげて、2人で小さな小さな治療開こうね。
だからそれぞれ頑張ろうね。ミャーちゃん大好き。一緒にいてくれてありがとう。
私、ミャーちゃんとシリウスに来てよかった。」

「うん。うちも、チェチェのこと大好きだよ。一緒にいてくれてありがとう。一緒に頑張ろうね。大好き。あっでも、治療院は小さくなくてもいいわ。とびっきり素敵な場所にしようね。」


ちょっと感情豊かな私達の友情と愛。
笑いながら泣いていたね。
私はあの時の誓い忘れないよ。


その後私がその男の親友と出会ったり、ミャーちゃんと小さい病院を開業したり、その男と再開したりして、いろいろあったのはまた別の機会で。



あとがき

一年前に書いていたものに後編の研修医部分を少し加えて公開させていただきました。

ここに出てくる豆のようなおじいちゃんは、私の守護神である天の児屋根なのですが、シリウスでは音楽治療の専門家の時があったようです。

神話内では
「祝詞を美しく奏上すること」言霊の神様と言われていますが、美しい音を作る人から来ているのかもしれませんね。
今もどこかで美しい音楽を奏でているのでしょうか?

なんでこの方が付いてくれてるのかな?と考えていたのですが、このような前世のご縁だったようです。
いつも静かに
カウンセリングの仕方や、音を楽しむことを教えてくださいました。

かく言う地球での私は、実は小学校2年生から中学校1年生までピアノを習っていました。
と言っても全然熱心ではなく、レッスン日当日に軽く練習する程度でしたので、全然ずっとやってても子犬のワルツを半年かけて弾けるようになったあたりでレッスンをやめています。

この時点で譜面記号は読めず、全部にドレミを鉛筆で振っていました。

その後、中1で吹奏楽部に入ります。
テナーサックスでした。
とは言え音楽が好きだったと言うより、運動部に入らないならせめて活発な部活に入ろうかな?と思った次第でした。
手芸部と迷ったのですが、和気あいあいとしたみんなで作り上げる雰囲気と、サックスがカッコ良過ぎて入りました。

中2で不登校になったのですが、たまに放課後に部活だけは行っていたので、受け入れてくださった先生や部活の子などには感謝しています。
確実に何かに参加してる事が当時の私からすると心の支えでした。
当時親は借金してくるし、離婚の危機だし、私は私で引きこもりだし。
このまま人生が終わるのかな、、とベッドの中でいつも震えていました。
もう私はルートから外れて、社会復帰できないかも知れない。


それでも、私の小さな居場所でした。

でも学校行ってないのに部活だけくるあたり、実はやりたい事は突き通すところ昔からあったのかもしれませんね。
でも学校に行ってないのに、、。と思うと罪悪感があり、たくさんの勇気を振り絞っていました。


部活では一体感やみんなが居たから頑張れたのかなと思うので、私は同じ目標に向かう仲間が居ると、成長しやすいのかもしれません。

皆のペースに合わせたり初見で吹かないと行けなかったので、中2の頃には譜面にドレミを振らなくても、読める様になっていました。
ピアノは何年やってもできなかったのに、環境ややる気で形を変える事はありますよね。


すっかり音楽の演奏には興味がなくなり、あの経験はなんだったんだろう?とずっと思っていました。今は、クラシックを親しんだおかげで適した音楽が頭の中で再生されてるのかな?と感じています。

そう思うと遠回りですが、なんだか無駄ではないような気がします。



やれてることが当たり前な世の中です。
それでもあの時生きるのを諦めなかった私を褒めたいです。
他の人に笑われても、大したことないと思われても。
それでもゆっくり生きていける、平和な時代に生まれたこと、自分のペースで進みたいですね。


では長い中、最後までありがとうございました。
続きはまたいずれ。

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