“ふつう”になれると思っていた頃

社畜になりたかった。
ふつうに新卒で会社に入って、ふつうにそのまま中年になって、
「いつの間にか歳をとってた」
なんて、いかにも終身雇用的な平和な台詞を吐いてみたかった。

「年々体が衰えていくのが分かる」
それって笑って言うこと?
知らない。私は抗うつ薬を飲んだら一気にお腹が弱くなって記憶力も消えた。それしか知らない。

本当のつらさなんて私は何も知らないのかもね。
案外ふつうの社畜さんも、内心のつらさを飲み込んでおどけているだけなのかも。
あるいは、つらいことがあっても何となく流して、流されていく生き方が板についている?
……それなら私と同じだ。
同じ、なのに、何が違うの?


本当に、絶対に働きたいと思っていました。
ありふれたスーツ姿の社会人。私もその一人になれると信じてた。

新卒で内定した企業に出社できなかったあの日、
私は“ふつう”の人と決定的に違うのだということをようやく悟った。


メジャールートを外れた私は当然のように路頭に迷う。
何もかもを転々とした。私の外側で変えられることは全てを変えた。
それでも変えられないことがある。
そして気づく。
苦しみも恐れも
私を縛っているものは、全て私の内面にあるってことに。

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