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#5. 海外に行きたかった少女の話

あんな事やらこんな事から1年経った供養も込めて。

私は飛行機が上空を通るような田舎の、世界史と歴史が好きな少女でした。

田舎から抜け出したくて世界を股にかけたかったし、高校1年生で行った3週間のニュージーランド生活では見るもの全てが新鮮で、楽しくて仕方がなかった。

就活期間はせこせこ毎週羽田に通い、ぼやーんと展望デッキの見えるカフェで黄昏ていた。

航空会社には入れなかったけど、念願の海外に確実に関われる会社に入れた。

新入社員配属は管理部門で英語を使う日々とは程遠かったけど、異動が見えてきた時期から異動を見越して英会話に通った。ルンルンだった。

きっとそのまま上手くいってたら、こんなに頻繁に文章を書くことも、noteを書くこともなかっただろう。

あれから1年。

後輩が海外赴任した。残念ながら私の中の少女は、昨年のあの期間に殺されてしまって、今は海外で働きたいという気持ちはこれっぽっちもない。

今週火曜。東劇に訪れた。

ブロードウェイの劇場の何倍もしっくり来た。

去年のあの時期に気付いてた。私が海外に行きたかったのは、国際的に活躍したかった訳でもなく、国際協力をしたかった訳でもなく

その国の文化を楽しみたかっただけだということに。

田舎で特に娯楽もなかった中で、世界史の教科書を貪って色んな時代の文化に想いを馳せていた。刺激のある文化、憧れの文化は海外だった。

だけども今、こうして都内にいさえすれば1人でどこでもいつでもなんでも劇場に行ける。

今こうしている東京での本当にやりたかった楽しみ方をやっと覚えた。

海外に行きたかった田舎の少女は、東京を知り、満たされました。

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