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終日鉄道界隈 2番線

高らかに詠うドレミファインバータ赤い翼で駆ける海空

さびしがりなきみへ届けるプレゼントサンタとしての京浜急行

全身で光を放つ誰一人迷わぬように電車は走る

座席にてミカンを剥けば立ちこめる夕日の匂い「次は湯河原」

それぞれにときめく星を包みこみ列車は結ぶ光のリボン

平常は魔法ではない一つずつ安全の星灯す指差喚呼

山間に汽笛一声澄み渡り鳥の心地で想うふる里

それぞれの命を運ぶ路としてどこまでもゆけ銀の血脈

真っ青な電車に乗れば観覧車、高層ビルも海原に浮く

帰るべき場所を探して夕暮れに跨線橋から見る二重虹

静岡の星も横たふ長き夜我も一筋ひかりになりて

桃色の雲間に富士の峰聳え窓辺沸き立つホリデー快速

彼方へとまっすぐ伸びる銀色の道が私の頭を上げる

うすれゆくあなたも信じ続ければテールライトはポラリスとなる

7並ぶ切符しまった定期入れカバンに今日もきみと登校

落日と車窓のきみを追いかけて列車と並び走る沿線

イヤホンの片方ずつを分け合ってガタンゴトンと湖渡る

薬指にシリウス灯し深呼吸 0番線の朝霧に立つ

黄昏れに遮断機下りて彼岸花揺れる後ろの正面だあれ

ゆりかもめふ頭を出でて旋回しきらり羽ばたけ夢の島へと

きみといた夏の海への乗車券入鋏印はあの日のままで

切り離す運命の先待っているまた逢う日まで命灯して

シースルー改札口は水槽で行き交うスイミーたちを見守る

黄泉路ゆく列車の中は懐かしく車窓に淡く映る景色も

「秋宵に宿る星まで」きみ想ひミルクティー手に各駅停車

身も心も鉄路を駆けて高揚す行く手は万里鉄道の旅

恋心一つ、固めのアイスのせホームに響く乙女の祈り

遺失物取扱所やってます 地蔵、宵闇、流れ星とか

海風を受けてホリデー快速の半袖羽ばたく色とりどりに

美しさとはと車輪の傍らに灯る一輪見て考える

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 順不同で2020年までに詠んだ鉄道短歌を掲載しました。

 実景しは少なめ…ですが、どれも下地となる景色や体験の記憶があって作歌したものばかりです。

 作者の力不足によりあまり評価される機会もありませんが、中にはうたの日で薔薇を頂いたり青春短歌甲子園でランクインさせて頂いた歌もあり、少しずつ皆様のお目に留まるような歌が詠めているのかもしれないと思っております。

 身近で、しかし非日常でもありえる鉄道という存在を今後も詠み続けていきたいです。

(はーとや感想を頂けると嬉しいです…!この路線や車両、駅で詠んで欲しいというリクエストもございましたらお気軽にどうぞ)

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