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オノマトペを駆使して表現する

私たちセラピストは、リハビリで「痛み」の評価を行います。

痛みは自覚的なもので、第三者にはわからないので、本人に尋ねないといけません。
客観的な評価がしにくいです。

痛みの表現は様々で、人それぞれです。
特に、痛みの「どのように」という部分には、擬音語がよく使われます。

「ズーン」という擬音語は、重たい感じがします。

実際には、体の中のほうに痛みがあることが多いです。

「キーン」という言葉は、頭が痛いときによく言っています。

痛みは、「ズキズキ」「ジンジン」「ピリピリ」などで表現するオノマトペを使うと表現しやすいと言われています。

オノマトペを使うと、相手によく伝わると同時に、痛みの種類の違いも上手く表現していることが分かってきました。

痛みをオノマトペで表現してもらい、病名と照らし合わせます。

炎症による痛みは「ズキズキ」が圧倒的に多く、慢性痛に多い神経性の痛みは「ジンジン」「ピリピリ」「チクチク」などが多かったようです。

痛みの表現を「キョクンキョクン」と言っている利用者さんがいました。
94才のフミさんです。

「キョクンキョクンって、どんな感じですか、それは」

とビックリして聞き返しました。

フミさんは、擬音語で表現する名人でした。

その他にも、「グワ~」「グエ~」「ゴゴゴゴ~」と言っていました。
その擬音語で、フミさんの何となく痛そうな雰囲気が、すごく伝わってくるから不思議です。

フミさんの擬音語は、通常会話にもよくありました。

「もう~、カンカラカンや」

「カンカラカン」と言われても、普通は意味がわかりません。

その時は、スッカラカンという言葉と掛けて、何もしようのない状態のことを意味していました。

「タッタカタッタカし~や」

これは早くして欲しい時に、急かすように言っていました。
血圧計が見当たらず、僕が必死で探しているときに言われました。

ある時には、低い声でこう言っていました。

「何か昨日の夜は、どこからともなくギッタンバッタンって音が聞こえてきてん」

これは恐怖でした。

「ギッタンバッタン」って、誰が何をしているのか想像できませんが、何か怖いような感じがします。

擬音語名人のフミさんの会話には、いつも引き付けられました。
擬音語を使いこなすことで、表現豊かにいろんなことを伝えていました。

聞いている私はいつも、「ほー、それでそれで」と、話が聞きたくなる相鎚を自然としていました。

長生きで元気な人は、楽しい伝え方を知っています。
その人が思ったこと、感じたことを楽しげに伝えるのが、フミさん特有の伝え方でした。

フミさんは、擬音語を使ったコミュニケーションをすることで、その場の雰囲気を明るくしていく大切さを知っていたのです。

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