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オーキッドピンク

人からの好意を受け取ると、とびきり嬉しい気持ちと同時に後ろめたくなって、わたしはそんな大それた人間じゃないと逆説的に自分を否定されたような気持ちになる。もちろん、否定なんかされていない。大好きな人に大好きと言われる、そんな流れ星のようなまっすぐなきらめきが、わたしのフィルターを通り過ぎると埃だらけの隕石になる。

それでもわたしは、大好きな人に大好きな気持ちを何度でも伝える。伝えないと伝わらないから。高所恐怖症の人を気球に乗せ、花瓶のない家に大きな花束を贈り、ブラックコーヒーが飲めない人にハンドドリップで丁寧にコーヒーを淹れてしまっている。そんな気がする。わからない。

そういうことを考えると目の奥が痛い。病院で貰った花粉症の薬はよく効くので、目の痒みもくしゃみも減ったけれど、目の奥の痛みはなかなか減らない。痛みは、苦痛と安心感という2つの要素をあわせ持つ。わたしの痛みは、あなた由来ですが、あなたの痛みにわたしがいたら、やっぱり申し訳ないです。

ネットで簡単に検索できるバースデーカラー診断の、自分の生まれた日付に「代償を求めない献身的な愛の持ち主」と書かれていた。最初、それがとても嬉しく誇らしい気持ちだったけれど、今は本当に恐ろしいと思う。

空中で美しい光を放ちながら燃え尽きていく流れ星と、ガラスケースに閉じ込められたまま半永久的に保管される隕石。わたしの目の奥には、どちらも確かに存在している。

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