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憧憬と箱庭
第1志望の高校受験会場で「ごめん、シャー芯貸してくれない……?」と言われた。ふんわりした長い髪の可愛い女の子だ。大事な受験でシャー芯が無くなるなんて相当焦っていたと思う。受験生が沢山いるなかで、わたしを選んで話しかけてくれたことが少し嬉しい。すぐに渡して、一緒に通えたらいいなあと思いながら試験を解いた。
結果は不合格だった。
第1志望校で直接受け取った封筒の感触や、合格者と不合格者で別れる順路をまだ覚えている。忘れたいような、忘れたらいけないような変なかんじのまま。
併願の私立高校に入学したら、偶然あの可愛い女の子と同じクラスだった。わたしもあの子も第1志望校に落ちていた。とても驚いたことを覚えている。嬉しかったのか悲しかったのか、どんな感情だったのかは覚えていない。
そして同じクラスだったものの、高校受験の話をしたのは1度くらいで、仲良しグループにもならなかったし、部活も別々だった。
結局わたしは高校を辞めてしまい、あの可愛い女の子は早稲田に進学していた。フォローしていないInstagramのプロフィール欄で知った。
今はどうしているかわからない。
わからないけれど、今でもふんわりした長い髪だったら、少し嬉しい気がする。
追伸
この記事のタイトルを好きだったバンドの曲名から借りたのでMVを貼っておきます。今は活動していないバンドです。
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