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とらやの夜の梅

とらやの羊羹。
黄門様の印籠みたいなものですね。
私の祖父母もむちゃくちゃありがたがって
食べていた記憶があります。
私はこのとらやの羊羹の季節限定の味が好きで、
夫の出張のお土産によくねだっていました。
で、その時ちょうど季節の味がなかったとのことで、
小形羊羹6本入を買ってきてくれたのを、
やっぱりありがたがって食べそびれていて、
ようやく食べました。
夜の梅を母と2人で。
美味しい、美味しいに決まってるんだけど。
最初は重い甘さ。
黒いびろうどのような、滑らかで重たい、
自分の中のどこにもない何か。
いつのまにか恐怖を抱かせる、正体不明の美しさ。
小豆のほつほつでようやく知っている美味しさが現れてホッとする。
飲み下してから、コーヒーをひと口含むと、
とっても美味しい。
力のある美味しさは、
あと味を受け止めるくらいが私にはちょうどいい。
口の中から消えたあと、やっとうれしい。


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