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ロマンポルノと対峙した日々(「あの頃、文芸坐で」外伝)【6】愛獣シリーズ、泉じゅん復帰に微笑む「愛のぬくもり」「愛獣 悪の華」「制服体験トリオ わたし熟れごろ」「下半身レポート 熱く感じる」

1981年6月13日。江古田文化で観た4本立て。観たかったのは、泉じゅん主演の「愛獣 悪の華」と、スキャンティーズとしてにっかつが売り出していた寺島まゆみ、太田あや子、北原理絵のそろい踏みの映画「制服体験トリオ わたし熟れごろ」だったと思う。あと、田中真理主演の「愛のぬくもり」は、いわゆる日活ロマンポルノ裁判で猥褻とされた作品で、前年に無罪判決があり、再映されたものが、名画座に降りてきたものである。

「愛のぬくもり」(近藤幸彦監督)

田中真理主演のロマンポルノをこの日初めてみる。ほとんど内容は覚えていないが、調べると、真面目な学者がバーで拾った女を愛人にする話だったらしい。監督近藤幸彦ということもあり、たいした作品では無い。この作品が猥褻に訴えられたのは、ロマンポルノが興行的に上手くいき出したことでの、警察の警告だったのだろう。田中真理という女優は、初期のロマンポルノ主演女優の中では別格に印象的だった。当時、中学生だった私が東スポに載っている彼女を見てそう思ったのだから、…。そういう意味でも、摘発するには相当だったのだろう。

「愛獣 悪の華」(加藤彰監督)

泉じゅん主演の愛獣シリーズは4本ある。1本目「百恵の唇 愛獣」はロマンポルノの百恵ちゃんと言われた、日向明子主演で、泉は助演である。日向はこの後、テレビドラマなどに出るようになり、泉は、デビュー「感じるんです」の後、一般映画やテレビドラマに出ていたが、ここでロマンポルノに戻ってきた。ある意味、デビュー作は処女をなくす話だったが、見事に女になって戻ってきた。そして、愛獣シリーズの中ではこの作品と、黒沢直輔が監督した「愛獣 襲る!」がなかなかの作品。

この作品、男優が、内藤剛志と林ゆたかという豪華さ。内藤は泉の夫で、林は泉を誘拐し性的調教する男。まあ、エロ漫画によくある話だが、泉が調教され変容するところが見所。とにかくも、当時、泉じゅんの裸体が見られることが嬉しかった。ロマンポルノ女優美女ベストを今、投票しても彼女は上位に入ってくるだろう。ちゃんと芝居もできる人だった。

「制服体験トリオ わたし熟れごろ」(西村昭五郎監督)

スキャンティーズとは、当時、もう解散していたキャンディーズをもじって、にっかつが寺島まゆみ、太田あや子、北原理絵を売り出そうとしたユニットだ。しかし、結果的には、男性雑誌のグラビアを飾ったりはしていたが、映画でのそろい踏みはこれだけで、すぐにフェイドアウトしてしまった。この映画にしても、西村昭五郎監督ということで特に面白くない話だったと記憶する。資料を見ると春休みのセックス体験ドラマだったようで、最後には、お仕置きされた年寄をSEXで轟沈させる話だったようだ。全然、その辺りは覚えていない。寺島は実家の焼き鳥屋さんで今も元気なようだが、太田は時代の中で消えていったし、北原も作家としてデビューして注目されるも、そのままフェイドアウト。ロマンポルノの女優たちは、はかなく散っていった感じもそれらしいという趣である。でも、これ以降、ロマンポルノのアイドル路線は明確になり、その流れでAVが作られていったという古音だと思う。

「下半身レポート 熱く感じる」(高橋伴明監督)

記録を見ると、私的に結構いい点がつけられている。日野繭子主演、香川瑠美と忍海よしこが助演。男優は大杉漣、下元史郎という作品。内容を全く覚えていない。資料を見ると、ストリッパーの話だったようだ。それを読んで、なお思い出せず。にっかつで封切られたピンク映画はネガは残っているはずだ。高橋伴明監督のにっかつ封切り作品は、全て見直したいというのが本音である。

この4本の並びが、混沌としていて、実にロマンポルノ的である。4本立てというシステム自体が今は理解されませんものね…。そういう、今は亡き世界の表情をここに書き残しておきたいのですが、なかなか記憶が混ざっていてしっかり書けないのが事実。ごめんなさい。


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