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「文化芸術」で喰っていけない日本という国の未来に、私たちはどうしたら良いのか?

少し前、2月2日のネットの記事で『音楽では食えない――メンバー脱退直前、神聖かまってちゃんが語った「現実」』というのを見つけた。

それなりに私も名前を知っているようなバンドが金銭問題でまともに子育てもできないということに結構な驚きとともに、日本の音楽ビジネスのお金の流れが利権者だけに滞留しているということなのだろうか?と思ったからだ。一方で昨年のクリスマスには下記のようなニュースもある。

そう、日本著作権協会としては、集めたお金が増えているのだ。JASRACは一般飲食店や美容室など、一般に販売されているCDをBGMとして流している場所から集金をしている。そして、音楽教室などからも徴収するシステムを確立して、とにかく多くのお金を懐に入れようとしているのだ。

これは、音楽産業を推進するという名目としては、私は間違っていないと思う。CD自体が売れず、曲がサブスクリプトサービスに移管している中、確実に獲れるところから獲るという考え方は正しい。ただし、使われた曲の著作権者に確実に著作権料が払われてのことである。お店が流した曲をチェックさせるとか、書類を提出させるとかは一切ないのである。そんな中で、ちゃんと著作権者に還元できるわけがない。今の時代、ネットをそれなりに駆使すれば、完全でなくてもそれなりのデータは集められるはず。本当にNHK以上に謎の多い日本著作権協会というところである。

ということで、それなりのヒット曲があり、サブスクでもそれなりの聴取があって、ライブを開けばそれなりにファンが集まるだろうと一般の人は考える「神聖かまってちゃん」クラスの歌手で、メンバーが子供育てられない状況というのは何なのだろうか?

今まで、映画産業に関しては、語ってきたが、昔はそんな映画人が羨ましがっていた音楽産業も、歌手という商売も印税生活するにはかなり厳しいということなのだ。ましてや、テレビの歌番組もない。プロダクションは営業しているのだろうか?

とにかく、私が学生から社会人の初期にコンサートに通っていた時は、3000円くらいでチケットは買えたと思う。5000円で高いと思ったものだ。そして、いわゆるダフ屋を使っても人気のステージは1万円くらいで購入できた。今は、8000から10000円が当たり前のライブ価格。映画の高騰の比ではないし、世の中は不景気、こんな高い文化に金を流す人は、「本当に歌を必要とする人なのか?」とさえ考えてしまう。

ステージが高いのは、会場費が高いのと、派手なステージをやろうとすると人件費もかかる、様々なシステム費なども含め、お金がかかるということだと思う。そして歌手が稼ぐためにライブが重要であり、付随するグッズ販売なども侮れない状況ではある。いろいろ初期経費を確実に取り戻そうとするとこうなる?

つまり、CDを出し、100万枚売れば(今は売れるわけもないが)喰っていけるような世界ではないのだ。そう、ある意味、映画業界と音楽業界はともに横並びになりつつある。

私が、映像を撮ることで関わっている「演歌」の世界も同じで、歌う場所、CD を手売りする場所が、カラオケ喫茶のような小さい場所しかないのである。昔はよく「キャバレーまわり」というのがあったのだが、キャバレーという場所さえ皆無に近い。そして、流しをやって稼ぐなどという場所もあるわけもない。歌うステージがない…。

一方、小さなライブハウスの話を聞くと、アーティストを集めるのも結構大変で、その客を集めるのはもっと大変というのを聞いたこともある。もちろん、そうでないところもたくさんあると思うが…。時代が、人が集まるところを分断し、求める歌も分断した感じがするのである。

日本の文化産業で、潤沢なのは「歌舞伎」と「宝塚」くらいである。スポーツもそこに含めれば「野球」や「大相撲」は変わりなく収益を挙げているだろうが、他のスポーツは安心して経営できる基盤はまだできていないのが現状だろう。

そう考えると、映画産業などは「シネコン」という武器を持って、他の産業ともクロスする形がとれているのはありがたいことだと思う。また、今度書きたいと思うが、シネコンの1スクリーンか2スクリーンをライブハウスに使えば、また新しい音楽ファンも集まると思うのだが、そうはできないのだろうか?昔は、映画館で歌謡ショーとかもやっていたんですよね。

そして、日本の古典芸能や、クラシック、ジャズの方面もなかなかそれだけで喰っていける人がいないのが、今の世の中、日本の文化産業は、興行をやってもプレイヤーにお金が回らない構造になってしまっているんだと思う。

最初に示した記事のようなことは、毎日、日本のどこかで起こっていることのように感じる。私が学生の頃から、日本に文化が宿らない問題はあった。バブルの頃、猫も杓子もスキーだテニスだと浮かれて、それが今の日本になんの役にも立っていないのを考えれば、日本人に自ら文化を発信しようなどという人は本当に少ないのだ。この、SNS時代の周囲の人の発信を見ても、どうでもいいものがほとんど。まあ、今日も甘利明氏が弁当のツイートして、皆さんにボコられていたが、そんなレベルなのである。そして、首相は漢字が読めない。そこに、文化が栄えるとは思えない国の状況である。

とにかくも、カルチャーとビジネスと人の幸せがもっと一緒に大きくなる推進力が欲しいと思う今日であります。

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