ロマンポルノと対峙した日々(「あの頃、文芸坐で」外伝)【27】中原俊監督「犯され志願」&美保純「セーラー服鑑別所」
今年初めての「ロマンポルノの思い出」。時は1982年、5月27日。高田馬場東映パラス「犯され志願」「セーラー服鑑別所」「OL日記しゃぶり攻め」の3本立て。「犯され志願」は中原俊監督のデビュー作。「セーラー服鑑別所」は美保純がにっかつ作品で初主演した映画だと思う。そう考えるとロマンポルノ的には重要な2本を観たということだろう。
「犯され志願」(中原俊監督)
後に「桜の園」などを撮って有名になる、中原俊監督のデビュー作。「天使の欲望」(関本郁夫監督)の有明祥子主演にして、唯一のロマンポルノ出演作品。脇に夏麗子、風祭ゆきという豪華な作品だが、デザイナーの主人公が不倫に右往左往する話で私的にはあまり評価は高くなかった。だが、巷ではロマンポルノらしさがないのがいいのか、結構評価を受けていた印象。有明祥子はロマンポルノはこれだけなのだが、私的には「天使の欲望」の方が印象深い。でも、「桜の園」を撮った監督のデビュー作という意味で結構上映機会は多かった作品だと思う。
「セーラー服鑑別所」(川崎善広監督)
今は、多くの日本人に認知されている美保純も、この当時はロマンポルノを見る一握りの人に知られる女優だった。そして、これが買取ではない初主演作なのだが、まだ中川みず穂とのW主演的な扱い。そう考えると、彼女、買取りピンクから始まって、一歩一歩着実にステージアップされた感じがある。そういうのは、ロマンポルノでは彼女だけなのではないか?ピンク映画からスターになったのは、白川和子も宮下順子も同じだが、最初からにっかつが育て上げた女優でそういう人はいないと思う。そして、未だ映画に気がついたら出てるみたいなことが多いわけで、美保純には、ぜひ、一代記を書いて欲しいものだと思ったりする。で、この映画のタイトル、まだ「セーラー服」というタイトルは正々堂々と使えていた。(今は成人指定の映画では無理らしい)映画は、監督はうまいとは言えない人だったが、脚本は西岡琢也ということで、当時の私の評も全くダメにはなっていない。私服の高校で部室が鑑別所にされ、教師たちにセーラー服を着させられ犯されるという話。こんな題材は、ロマンポルノという隠れ蓑の中で撮れた話ですな。そう考えると、今も残るピンク映画の存在意味もわかってはくる。私的にはどうでもいいのですが…。とにかくも、この頃の若き美保純は魅力的ではありました。
「OL日記 しゃぶり攻め」(山本晋也監督)
この当時、山本晋也監督はもう「トゥナイト」の仕事で食っている人だった。でも、まだピンク映画撮ってたんですよね。とはいえ、一時期のパワーはそこにはなかった。主演 松原玲子、美野真琴。内容は覚えていないが、題名の通り、お口でやることが好きなOLの話だったらしい。松原玲子という女優の顔はなんとなく覚えている。
この頃も、結構面白くロマンポルノを見ていたが、本当に傑作に辿り着くには量を見るしかない、なかなか苦行が続いていた感じがする。でも、AVなどない時代、まあ大切な空間でもあったのは確かだ。