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この俺様に負けたら+1000m

時は、2019年12月31日。

グラウンドにひとりの男が現れた。
その男のゼッケンにはこう書かれていた。

『この俺様に負けたら+1000m』

はい、カットーっ!🎬

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この男の名は『ニム』こと鈴木ニムラ(4年)、イケメン男子です。
(愛称:ニム につき、以下『ニム』)

彼は今回の箱根駅伝で裏のサポートにまわり、特に力を尽くしてくれた一人であります。

3000mタイムトライアル

箱根駅伝の2日前、大晦日の日。

箱根エントリーメンバー16名以外の選手による、3000mタイムトライアルが行われました。
ポイント練習の一環であり、箱根に向かうメンバーに刺激を与え、後押しをする目的もありました。

そのタイムトライアルの会場に、
『俺様に負けたら+1000m』
というゼッケンをつけたニムが登場したのです。

彼はもともとチームでもトップレベルのスピードスター。

ただ、箱根のエントリーメンバーが発表されてからは、サポート役に徹し、寮周辺の環境整備や奉仕活動に力を注いでくれていました。
(それはニムだけでなく、4年生みんなでやってくれていました。)

そんな背景もあり、
十分な練習も積めていない俺に負けてるようじゃダメやろ!
と後半たちに喝を入れる目的であのゼッケンを着用。

軽快にスタートしていきました。

ニムに負けたら、3000m全力疾走のあとなんて関係なく、追加で+1000m。
緊迫感が出てこないはずがありません笑

☝️練習不足を感じさせない勢いで、先頭を突っ走るニム。
最初の1キロは2分40秒ちょっと。

☝️ところが1キロ過ぎ。あれ!? ニム!? キツそう...!?

(☝️後半。動かないっ!ニムの、脚が、動かなぁーい!)

練習不足がたたったのか、ズルズルと後輩たちに抜かれ、吉田泰樹主務と並ぶ形でFinish!
(記録は8分台に食い込むくらい。主務がそのタイムで走るのも驚きです。)

結局、後輩たちの中にも『この俺様』に負ける人はいなかったので、誰も追加練習を課せられることなく、無事にタイムトライアルが終了しました。

タイムを狙う為には、牽制していてはいけません。
ニムは自分の失速を覚悟でハイペースで集団を引っ張り、後輩たちにタイムを出させ、さらに『負けたら+1000m』と言ってはいても、しっかりと後輩を見送る最後尾でのゴール。

もはや、これはアイツの作戦なのか?と思うほどの仕事っぷりです。

本当はこんな美談ではなく、本人が無謀に突っ込んで、ただブチタレた(大失速した)だけかもしれません。

でも後輩たちにとって最高のシチュエーションを作り出し、さらに言えば箱根を控えたチームの勢いを加速させる、めちゃくちゃ良い仕事をしたのです。

念のため。本人がただただブチタレただけかもしれませんが。

『伝説の男』を支えた男
彼の仕事人ぶりはそれだけではありません。

箱根駅伝の当日、僕がウォーミングアップを始めようとしていた時に、5区の中継所にニムがやってきたのです。

やってくるやいなや、僕の肩をモミモミ
そして、ひと言。なんて言ったと思いますか?


お前の肩が、いちばん硬い!いっちばん硬い!!」

これから箱根の厳しい山へ挑んでいく仲間に向けてです。
もう、笑ってしまいました( *´艸`)

彼はもともと1区・米満の付き添いが仕事でした。
(そうです。区間賞、伝説男の付き添いをしていたのです。)

充分過ぎるほどに役目を遂行した彼は、もともと自分に任された仕事に飽きたらず、移動車両に乗り込み、全区間をまわって全選手に声をかけ、肩をモミモミしてきていたのです。

そして5区の僕の所に来て、さっきのひと言です。
ニムのいつも通りのキャラ・雰囲気に巻き込まれ、ぼくもリラックスして準備、スタートすることができました。

(ちなみに一番肩が柔らかかったのは米満らしいです。さすが。)

そして僕は、先回りしていたニムと吉田主務に迎えられ、ゴール。

1区のスタートから5区の復路ゴールまで、各選手に、箱根路に元気を撒き散らしながら精一杯のサポートをしてくれました。

(☝️ニムと吉田主務に迎えられてゴール。)

そんな彼の最近の悩みは、女性ではなく男性からモテてしまう事だそうです。

分かります分かります。
僕もニムにゴールで抱えられた時、恋に落ちそうになりましたから。

冗談は置いておいて🙇

今日の話は、あくまで僕が知っている彼の取り組みの一部に過ぎません。
そして彼でさえも、我がチームの仕事人のうちの一人に過ぎません。

走ったメンバーは取材やらインタビューやらで陽の目を浴びますが、それ以外の、陰で支えてくれたメンバーの取り組みも少しでも知って貰えたらと思い、ついつい長話をしてしまいました。

おーっと、こんな時間。
ニムとご飯に行く約束してたんだった💋
もうそろそろ行かなきゃ💋
...それでは、また。

今回も、つっきーの無駄話を聞いてくれてありがとうございました。

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