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過去の自分と、スポーツと向き合う

「#スポーツがくれたもの」を開催します!たくさんの投稿お待ちしております!!」

この募集を見たとき、なにか書かなきゃって焦った。眠れない深夜2時に。
別に誰かが私の記事を心待ちにしてるとか、私がスポーツ界に精通しているとかそんなんじゃないけど、これを書かないと自分がスポーツしてきた意味はないと直感で感じた。

そうだ、ずっと書いてみたかったけど、記憶を蒸し返すのが少し怖くて避けてたあの頃のことを書こう。

高校の陸上部時代のこと。



私は一般的な公立高校に進学した。
中学校のころから陸上を始めて、最終的には全国大会に2回出場し、決勝にも進出できた。そんなこともあって、高校の入学式が行われる前から、先輩に誘ってもらって、同期よりも一足先に陸上部に練習に行かせてもらったりもした。

陸上を始めるまで大した特技がなくて。勉強もかけっこも半分より上を目指してきた。そんな自分が中学校でふとした理由で始めた陸上で全国大会にでて、さんざん家族や周りから持ち上げられたもんだから、高校に入学したときはえらい調子に乗っていたと思う。

「公立高校のスターになる!」

こんなことをTwitterでつぶやいてた気がする。

もちろんただの公立高校なので、猛烈に熱い顧問や、劇的に強い選手はおらず、私だけが「インターハイで活躍する!」「この陸上部を変革する!」って盛り上がってた。



2016年 1年目のインターハイ。
1年生ながら決勝に進出できた。でも、近畿大会には出場できなかった。
1年目だからあと2回チャンスがある。受験が終わって練習が積めていない中でこの結果は合格点だ。
2017年 2年生でのインターハイ
去年に引き続き決勝に進出。しかし、近畿大会には届かなかった。去年から記録が3㎝上がった。確実に仕上がってきている。大丈夫、今年で強い世代は抜ける。来年、絶対に勝てる。
2018年 高校3年生 ラストインターハイ
予選落ち。


全く勝てなかった。今まで通り、頑張ってれば3年目には絶対次のステージに進めるとどこかで思ってた。だから、悔しいとかじゃなくて衝撃だった。

自分が決勝に出れないと分かった瞬間、夢を見てるんじゃないかと思って。
落ちたバーは自分を驚かせるための偽物なんじゃないかって。

中学から切磋琢磨してきた友人は軽々と超えていった壁が、自分の前だけ砕けていった。


母親が平日にも関わらず、試合を見に来てくれていて、人目を気にせず母親にすがって泣いた。悔しいわけではなかったし、自然と涙が出てくるわけでもなかった。自分が大きな大会に出場するほどの人間ではなかった、それだけのことだ。
だけど、泣く以外にこの気持ちの消化の方法がわからなかったから泣いた。


午後からは決勝が行われた。中学から仲良くしていた友人がたくさん出場していたが、自分にはもう関係ないことだと思って見なかった。

どこか自分は神様に選ばれた特別な才能がある人間だと勘違いしていたんだ。そんなことを考えながら、競技場の外で座っていた。



私はその試合を最後に競技を引退した。

引退してしばらくは文化祭の準備等もあって、毎日楽しく過ごせていた。あっというまに時間が過ぎていった。
こんな風に時間がすぎて、あの試合の日のことが過去になって、あんな真剣にやってたのにこんな結果だったことを笑いとばせるようになればいいと思った。



大学受験に向けて学校と塾を往復する日々。
SNSも受験のためにやめていたので、その後陸上の情報が私に入ってくることはなかった。




文化祭が終わり、夏休みの勉強予定を立てるために携帯のカレンダーを久しぶりに開いた。
そしたら、6月のカレンダーに「近畿インターハイ」とでかでかと予定が入っていた。
8月のカレンダーには「全国インターハイ」の予定も。

数か月前の自分はこの大会に出るつもりだったんだなあ。そんな器の人間じゃなかったのに。

かつての自分を客観的にひややかに見る反面、今にも心から飛び出しそうな、でも言葉にできなくて心の中でうずうずとしてる気持ちもあった。



見るのがなんか怖くて、一旦忘れてしまいたくて、ほとんど消してしまっていた自分の競技動画を久しぶりに見たくなった。

ほとんど消してしまったなかでも残していたのは、自分の跳躍がうまくいってみんなの喜んでいる声が入っている動画。
思い出として残していたのだ。


それを見たとき、引退してから自分の心の中でうずうずしていた気持ちが全部外にでて、一人で部屋で泣いた。声を上げて泣いた。



私は神様から選ばれた人間じゃないかもしれない。日本代表として世界と戦うなんてそんなことはできなかった。近畿大会に進むどころか、それを決める決勝の舞台にすら立てなかった。近畿大会に進んで、全国大会で戦った人からしたら私の存在はゲームの序盤ででてくる雑魚キャラ程度だったかもしれない。こんなエピソードだって日本中にあふれかえっているはず。


でも、確かに私も陸上してた。
陸上のことが好きで、それが青春だった。

それは紛れもない事実。
動画には、バーを越えて楽しそうに喜んでいる私と、よっしゃと声を上げるチームメイトの姿があった。



勝てると思っていた試合で惨敗を喫してから、「自分が陸上をしていた」という事実からどこか離れようとしていた。負けた自分と向き合うのが怖かったから。
でも、動画に映っていた私は、とても楽しそうで。それを跳んだからといって優勝がきまるわけじゃなかったし、ベスト記録でもないのに、やけに楽しそうで。ついでに、周りの応援団も自分のことはないのに、やけに喜んでくれてて。


そこでやっと、私も、世界で戦うプロのアスリートも、最近陸上を始めてon your marksも知らないちびっこも同様。みんな同じ陸上というスポーツをしている。みんなただ、そのスポーツが楽しくて、一生懸命走ったり、跳んだり、投げたりしているんだと気づいた。自分もその一員だったんだと思った。


ずっと勝利にこだわって、自分のプライドのために努力していた。それが強くなる効率のいい方法だと思ったから。

陸上をしている=全国大会を目指していて、勝つことを目的として努力する
と勝手に思い込んでいたから。


でも陸上っていうのは、スポーツはそういうものではないとやっと気づいた。

スポーツに「特別」は必要なくて、下手くそでも、ぼろ負けしても、”ただ楽しい!”、”なんかおもろい!”っていう気持ちがあれば、スポーツをやっていると胸を張って言って良いんだ。


そんな当たり前のことを楽しそうに競技している自分の姿を見て、思い出した。







これに気づいてから、「生涯スポーツ」、「ユニバーサルなスポーツ」、「平和のためのスポーツ」、「教育としてのスポーツ」に興味がわいて、それらを今は専攻として大学で勉強している。
大学生アシスタントとして中高の部活動に入り、指導の経験もさせてもらう予定だ。かつての自分みたいに窮屈にスポーツをするのではなく、「楽しい」を軸にして活動するのをサポートしたいと思っている。





こんな風に、これからも競技者としてじゃなくてもスポーツに関わり続けれたらいいな。
そして、いつか、自分がスポーツで社会の幸せをたくさん作れる人になれたらいいなと思う。



おわり

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読んでくれてありがとうございました!!!
コロナで運動不足なので、おもしろくて楽しいスポーツあったら教えてください全力で楽しくやります^^


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