シングルモルトに見る"絶対的評価"



ネットを彷徨っているとよく見かける
レビュー。

☆で表したり、100点満点で採点したり
と皆さん結構手を尽くしている。

だが考えなければいけないことが
無数にあると思うのだ。


まず考えうる問題点は、
ウイスキーが好きで、
ある程度の期間飲んでいる
人間なら必ず感じたことが
あるであろう、以下の問題だ。


体調、気分、なにかに対する飽き、
季節、グラスや氷、果ては割り物、
飲んでいる場所や一緒にいる人間まで、
本当にありとあらゆることに味が影響を受ける点だ。


これはもしかすると本当に鋭敏な
舌と鼻をもち、常に心身を律した
完璧な人間にはないことかもしれないが、
私程度の人間には避けられない。

この問題について、あまり考えた
ことのないあなた。
今日のその一杯、昨日のと、
または去年のと、初めて飲んだ時の一杯と、
果たして完全に同じ味だろうか?


魅力的な異性と一緒に傾ける一杯と、
仕事でミスをした日の晩酌の一杯、
完全に同じ味だろうか?


ましてや言語化しようとでもしようものなら
ほぼ確実に迷子になる。

あれ?なんかひらいてきたな?
(もうこの表現自体話半分にしか聞けない)

ん?今日はなんだかピートが妙に効いてるな

うわ、やたら若さが強調されてるな
ビリビリきやがる

etc………


こんなの日常茶飯事だ。
ここを強調する人をごくたまにしか見ないため、
たぶん私は人より振れ幅があって、
味音痴なのだろう。
それもあって人の評価を
ほとんど信じない。
というより参考にならない。


もう1つの問題は好みである。
人間誰しも好みがあり、
当然私もある。


それ故に☆7!95点だ!
とか言われても、「この人は」
好きなんだろうなとしか思えない。


ましてや個性やアク、クセ、アルコール度数
が強いことの多いシングルモルトとも
なれば、何をか言わんやだ。


結局、コンペにしてもどこまでいっても
評価を下すのはあくまで個人の舌だと
考えればその評価は確率的にしか
正しくはないだろう。


そう考えた時に個人的には
絶対的評価を断じるのは非常に怖いことだ。
もし万が一にでも
「こいつの言う評価はあてになる」
と考える人間が地球上で1人でもいたら、
軽々に書いたりはできない。
(それだけに、わかった上で発信している
人は大いに尊敬に値する)


人間のリソースは有限であり、
それこそウイスキーに人生をかけるのでも
ない限りは、ボトルへの評価や、
あるいは購入の是非について
簡単な結論は出せないのではないか。



あなたが周りの初心者にオススメした、
またはツイッターで褒めた
そのボトルは本当にその価値が、
あるいは本当に適当であったのか、
もう一度改めて考えてみる機会に
本記事がなることになれば光栄だ。




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