被告人 "日の丸ウイスキー(木内酒造)"


まあタイトルだけ過激にしてみた。
もちろん冗談である。
反省はもちろんしていない。


いや、知らんし。という方のために
ざっくり説明すると、日の丸ウイスキー
というのは茨城県に本社のある、
創業が1823年(文政6年)の老舗の
木内酒造が作ったウイスキーブランドだ。


ウイスキーに詳しくなくとも、
ちょっとした酒屋やデパートで、
ふくろうのマークのビールを
見たことがないだろうか?


常陸野ネストビールとしてクラフトビールの
世界ではもうすでに国内では
トップクラスのブランドを確立して
いると言って構わないだろう。
いや、実際うまい。おすすめだ。


その木内酒造が満を持してリリースした
ウイスキーブランドが日の丸ウイスキー
なのだ。


材料に米やそばを使ったり、
発酵に使う酵母を自前で培養してみたり、
非常に実験的で面白い試みをしているようだ。

それがなんと早くも第2リリースである
ボトルで日本最大のコンペで部門一を
獲得した。


これは言ってみれば、甲子園で大活躍した
ドラフト1位の選手が
デビュー年に新人賞を取った感じだろうか。
すくなくとも期待のルーキーで
あることは間違いない。



ただ、一部ウイスキーファンに
過激ともとれる批判を見かけたので
書いてみたくなったのだ。

論旨はこうだ。

1.日の丸「ウイスキー」を謳って
ニューポット(原文表現です)を販売
するなんて、不誠実だ

2.酒税法で許されているからといって、
3年も熟成もされていないスピリッツを
「ウイスキー」として販売するなんて
脱法行為(原文以下略)ではないか


以上が見かけた意見だった。

だがちょっと待ってほしい。
まず酒税法上のウイスキーの定義については
この記事では触れない。
それだけで3本は記事が書けてしまう。

知りたい方はググれば簡単な
説明がのっているサイトが山程ある。
調べてみてほしい。

結論から言えば法律上は間違いなく
日の丸ウイスキーは"ウイスキー"だ。
そこについては言外に1も2も
認めているのだろう。


まあ1に関してはニューポットと
ニューボーンの区別が付いていないようだ。
ニューポットは熟成を全くしていない
スピリッツを指す。
色が透明で要するに焼酎、ウォッカみたい
なものな為、着色がなければ一目瞭然だ。


木内酒造はHPで商品ページで
「3年未満」、「ニューボーン」と
はっきり書いているので、
1については的外れだと言えるだろう。


問題は2の方で、“ジャパニーズウイスキー”の
定義なのだ。
これについても詳細は省くが、
最低3年の熟成がなければ
ジャパニーズウイスキーを名乗ることは
出来ない。
まあ自主的な規制なので別に破っても
特に問題ないが。


そうすると
日の丸ウイスキー(ブランド)
the 1st edition(商品名)
と聞いて「ジャパニーズウイスキー」
だと思うか、思わないか、という話になる。
2の人はいや、ジャパニーズって
半分言ってるやんけ、と思ったのだろう。

ちなみに2ndリリースのボトルは
はっきり商品名にニューボーンを
謳っているため無罪だ。


この問題についての意見は
"ジャパニーズウイスキーの定義"に対して
各々がどう思っているのか、という問題に
どうしてもひっぱられてしまう。


木内酒造の商品名、あるいは
ラベルの文言(あるいはデザイン)に
脇の甘い所があったように思えなくもない。


ただ、HPの説明文や、ウイスキーへの
向き合い方、理念、商品の価格などを
考えた時に、故意であるとか、
悪質であるとは全く言えないと思う。
確認したわけではないが輸出もおそらく
なく、完全に国内向け商品で
海外で騙すような意図もない。


まだまだルーキーなのだ。
ましてやこれからしっかり熟成をした、
もっと美味しいボトルのリリースが
沢山期待できる。


下手にスノッブにならずに
暖かく見守りながら
味、価格、リリースの仕方には
しっかりと相応のリアクションするのが
ウイスキー愛じゃないだろうか。


ジャパニーズウイスキーの定義自体が
スコッチウイスキーの定義に
強い影響を受けているが、
その両方の定義から外れたウイスキー
が世界中で楽しまれていて、
多くの人々の人生を大いに豊かに
している現実も忘れてはいけないだろう。





……どうせみんな大して味なんてわかって
ないんだからさ(小声)




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