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20代にオススメの映画

私は映画が好きだ。そして好きだと公言しているため、よくオススメの映画を聞かれる機会がある。
今日は、同年代の人たちに(今まであまり会話してこなかった人たちに)自分が何をオススメするのか、まとめてみようと思う。

オススメの基準

20代にオススメ、ということで今回は次の基準で選ぶことにする。

・表現、演出が古さを感じさせないこと
・退屈しないこと
・考えるきっかけを与えてくれること

インセプション

2010年公開 クリストファー・ノーラン監督

ターゲットに、とあるアイディアを植え付けることをミッションとした、チーム強奪系映画。
主人公たちは、夢の中に入り込み、アクションあり、ミステリーあり、それぞれの特技を生かした戦略で、ターゲット近づく。
世界観に没頭させてくれる超現実的な映像は目を見開いてなんとか全て吸収したくなる新しさを持った美しさがある。

個性的なキャラクターが織りなす、ストーリーや、映像美が魅力的なのはもちろんだが、物語の世界観そのものの理解こそがこの映画の魅力だと思う。
刺激的でワクワクする。
インセプションの世界では、夢の中に新たな人生を築くことができる。
睡眠薬で深い眠りにつき、好みの家、街、世界を創造する。やってはいけないのは、現実に存在するものを夢の世界で再現すること。なぜなら、どちらが現実でどちらが夢か分からなくなってしまうからだ。

ここで投げかけられるのは、現実が大切だと言い切れるのか、ということ。
夢の中で過ごす時間の方が楽しく魅力的なのであれば、なぜ現実を捨て夢に生きてはいけないのか。
"リアル" であることの意味、意義、何を大切に時間を過ごすのか。
ぜひこの作品の感想をベースにいろんな人の考えを聞いてみたい。

アデル ブルーは熱い色

2013年公開 アブデラティフ・ケシシュ監督

高校生のアデルが、ブルーを纏った女性 エマ に出会い、恋を知り、自分を知るフランスが舞台の美しい映画。

エマは芸術家で、自分の考えをちゃんと伝えることを大切にする荒々しい一面がある強い人だ。家族にも女性が恋愛の対象であることを伝えており、良い関係を築いている。友人も多く、輪の中心になれるような、自分の魅力を知って光を放つ眩しい存在に思う。
一方で、アデルはまだ自分の魅力に気づいておらず、外向的でもない。ただ、だからこその人を惹きつける穏やかな光を秘めている。彼女の一つ一つの感情、選択が、確かに彼女自身のアイデンティティを構成していく、その濃縮された時間を写していて、とっても見応えがあり、芸術ってこういうものを言うのかもしれない、と言う気がする。

人と出会い、交わることで、相手を知り、自分を知り、自分自身を愛することができるようになる。自分と向き合うことの楽しさ、愛することの強さについて、インスピレーションを得られると思う。

メッセージ

2017年公開 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督

突然地球に現れた宇宙人の調査を依頼された、言語学者が主人公のSF。
主人公は、チームメンバとともに、どうにかして、吸盤なのか、真っ黒な墨のようなものを自在に変形させる宇宙人との対話を試みる。
宇宙人は敵なのか、何を目的に地球に来たのか。
テッド・チャンの小説を原作とした、作り込まれた世界観を映像的にこれ以上はない説得力を持って表現しきった、すごい作品。

物語の本筋は、世界平和、いかに戦争を起こさず、人類を平和に導くのか、これが主人公に課されたタスクのように、序盤話は進んでいく。
ただし、実はもっと普遍的な、何に価値を感じ、どう生きるかという、誰しもが考え得るテーマについてのお話だと気づかされる。

最後に、主人公は、我々の価値観からすると、理解が難しい選択をしていたことが明らかになるのだが、その選択の正当性を、表現としてこれまでになく美しく写しきる。頭では即座に理解しがたくても、心で納得させられてしまう不思議な感覚だった。

自分の価値観は、FIXされたものではない。そこの揺らぎこそが可能性で、他者とコミュニケーションをとることで、新たな可能性への武器を得ることができる。

最後に

今回あげた3作は、自分の中にある考えや価値観を、見直すきっかけになったり、他者とのコミュニケーションに興味を持つきっかけになり得ると思う。
それこそが私が映画を好きな理由の一つかもしれない。
ぜひ、映画の感想やそこから連想するあれこれについて、いろんな人たちと話してみたい。

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