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君と僕の行方 第4話

麗奈が姿を見せなくなってから1週間が経った。


携帯での連絡にも一切返信がない。


彼女の痕跡は文字通り




__消えてなくなった。

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第4話
君がくれたもの
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〇〇:麗奈...どこ行ったんだよ...


あれから毎日放課後例の空き教室で麗奈を待つ僕にも、そろそろ限界が近付いて来ていた。


ひかる:...〇〇?


〇〇:っ!?...あぁ、ひかる...


隣にはひかるが。開けっ放しの扉から入ってきたのだろう。全く気付けなかった。


ひかる:...麗奈ちゃん...来ないんやね。


〇〇:うん...あれから連絡も取れないんだ...


ひかる:...何やろ...やっぱり夏鈴が言っとったみたいに体調崩しちゃったんかね。


藤吉さんだけがあの日の麗奈の体調の異変に気付いていた。


〇〇:何だろう...入院...とか?


連絡が取れないとなるともうそのくらいしか思いつかない。


ひかる:...何にせよ無事だといいけん...あれ?


話しながら教室の中を歩き回っていたひかるが、ある机の前で立ち止まる。


そこは…





__麗奈がいつも居た場所。



ひかる:...ここだけ椅子出しっぱなし...あ!中に何か入っとるよ?


〇〇:...!!


慌てて駆け寄る。ひかるが持っていたのは...手紙?


ピンク色の封筒に入れられたそれをひかるから受け取る。そこには『〇〇へ』と書かれていた。


〇〇:これ...もしかして麗奈から...


ひかる:わっ...私も見ていい?


椅子に座り手紙を開く僕の横から、ひかるが身を乗り出してくる。僕はひかるの方を見て頷き、手紙を読んだ。



川合 〇〇様

気付いてくれたんだね、ありがとう。
まずは、勝手にいなくなった事、ごめんなさい。
たくさん連絡くれてたのに、
返事出来なかったことも。

この手紙を読んでくれていると言うことは、
もう〇〇に会うことは出来ない状態だと思う。

この手紙で、〇〇に私が隠していたこと、
全部話そうと思います。
直接言えなくて本当にごめんなさい。


私は、××中学の生徒ではありません。
年齢も〇〇達よりちょっと上です。
もしかしたらバレてたかもね。

私は生まれつき身体が弱くて、物心ついた時からずっと病院のベッドの上で過ごしていました。

両親はそんな私を不憫に思い、
色々としてくれたけど、
私はやっぱり学校に行ってみたかった。
友達とお話したり、放課後遊びに行ったり、
好きな男の子に告白してみたり。

だからお父様に無理を言って、
××中の制服を用意してもらって、
あの教室からいつもみんなの事見てたの。
そうしたらみんなと一緒に学生生活送ってる気分になれるかなって。

でも...あの教室にひとりでいても
そこは病院のベッドの上と変わらなかった。
結局私はみんなのような学校生活を送れない。
すごく悲しかった。

そんな時、君が現れたの。
君は私の嘘に気付かず、毎日会いに来てくれた。
私を孤独から救ってくれた。
本当に嬉しかったよ?
運命の人かも知れないとすら思った。

君には沢山嘘をついたけど、
君のことが好きだったことだけは本当です。
信じてくれなくてもいい。
でも私はあの教室にいる間、本当に幸せだった。

何書けばいいかわかんなくなってきちゃった...

私ね、海外で手術を受けることになったの。
君がこれを読む頃にはもしかしたらもう手術が終わってるかもね。

それが終わった後も、日本には多分帰れない。
海外の先生にしか、治せない病気なんだって。

だから、お別れです。本当にごめんなさい。
私が普通の女の子だったら...
もっと楽しいこと沢山出来たのにな。

悔しいな。悲しいな。

短い間でもすごく楽しい想い出をありがとう。
ひかるちゃんや夏鈴ちゃんとお喋りしたのもとっても楽しかった。
あの時みんなで撮った写真は私の宝物です。

長くなっちゃうからそろそろ終わりにしたいと思います。

川合〇〇君。本当にありがとう。大好きでした。元気でね?"本当に好きな人"のこと...諦めちゃダメだよ?麗奈との約束!

それじゃ、バイバイ。幸せになってね。

麗奈


手紙の字は見てわかるほど震えており、所々染みが出来ていた。


ひかる:...うぅ...〇〇...こんなのって...


ひかるが僕に抱きつき、泣いている。


麗奈と一緒にいる時にいつも感じていた胸騒ぎの正体はこれだったんだ。


僕といる間ずっと、我慢してくれていたんだね。


頬を暖かいものが伝う。襲い来る喪失感。


もう会えないんだ。どう足掻いても。


しかし、僕は不思議と晴れやかな気持ちだった。


失った悲しみよりも、彼女がどうか無事でいて欲しいと願う気持ちの方が大きかった。


手紙の最後には、住所が書かれていた。恐らく、海外で過ごす家の住所。


〇〇:...手紙...書くよ。絶対に。


ひかる:私も...


僕達はしばらく感傷に浸り、教室を出た。


ひかる:...こんなことって本当にあるんやね...


〇〇:...うん。まだちょっと信じられないけど。


まだ泣いているひかるの頭を撫で、僕らはいつもの帰り道を歩く。商店街を横切ると、そこはいつも通り賑やかだ。


僕は今、どんな顔をしているだろう?


僕も...彼女の事が本気で好きだった。


しかし手紙の最後には"本当に好きな人"のことは諦めちゃダメだ、と書かれていた。


分かってる。その言葉の意味。


でも今はもう少し君のこと考えさせてくれないかな。


短い間だったけど大好きだった君のこと__


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私は彼の隣で泣きながら、自分の最低さに驚愕していた。



彼女が急にいなくなってしまったことは素直に悲しい。話をしたのは1度きりではあったが、すごく良い子だった。



しかし私は、確実に安堵していた。







___彼がまた1人になったことに。



何故?自分でも分からない。


彼の事はやはり友達以上には考えられないのに、また彼を独り占め出来ることに安堵しているのだ。



私は彼の腕にしがみつきながら考える。



(私ってもしかしてすごく嫌な子なんかな...)


_____________be continued.

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