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君と僕の行方 ~Prologue~

___恋とは、苦しみだ。


しかしそれを得たことのない者は不幸であると思う。

___そして、それを失ったことのない者もまた...不幸であると思う。

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『ごめん、〇〇の事は好きやけん...友達以上には考えられない...これからも友達じゃ...だめ?』


脳内で何度もフラッシュバックする言葉。


今日、ずっと大好きだった人に告白した。しかし結果はこの通り惨敗。


思い描いていたものとかけ離れていた彼女の答えが与えたダメージは想像以上に深刻だった。


〇〇:...好きなのにだめって...どういうことだよ...


ベッドの上で呟く。返答などあるはずもない。


__嗚呼、この世は無情だ。欲しいもの一つ手に入らないとは。


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君と僕の行方
~Prologue~

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翌朝。いつも通り登校し、ある場所へ向かう。放送室だ。


放送委員である僕の朝の仕事。鍵を開け中に入り、機材を操作して音楽を流す。


この空間が好きだった。昨日までは。


〇〇:...そろそろかな。


時計を見るのと同時に背後の扉が開く音がする。



____彼女だ。



ひかる:...おはよ。




〇〇:...おはよう。


彼女は森田ひかる。同じ中学校に通う同級生で、同じ放送委員。







__昨日告白して惨敗した相手だ。






ひかる:今日も寒いね...来る時大丈夫やった?


彼女はそう言うと僕の隣に腰かけ、ヒーターに手を翳し、こちらを見て微笑んだ。


〇〇:うん...今日は厚着してきたから。


いつもの何気ない会話。まるで昨日の事などなかったかのように進む時間。


今の僕には苦痛でしかない。


ひかる:...昨日はごめんね?


そんな僕の気持ちを悟ったかのように彼女が言う。


ひかる:...恋人にはなれないけど...〇〇の事は大好きやけん...本当だよ?1番の友達やと思っとる。


〇〇:うん...分かってるよ...


彼女の言葉が嘘でないことなど分かっている。


分かっているから、辛いのだ。


ひかる:...〇〇にはきっと、私なんかよりもっといい人が見つかるけん、きっと大丈夫。


これを本心で言っているのなら逆に悪意だ。もちろん彼女はそんな人ではないが。


〇〇:ひかるよりいい人なんて...いないよ...


思わず口をついて出た言葉に彼女は困ったように笑う。


ひかる:〇〇...


〇〇:...ごめん、困らせるつもりはなかった。ただ本当にそう思っただけ...


ひかる:ふふ...いいんよ?その気持ちは嬉しい。


彼女には1番の友達ではなく...恋人であって欲しかった。しかし彼女がそう思えないのなら仕方ない。燻る気持ちを必死に抑える。


予鈴が鳴る。そろそろ朝礼の時間だ。


ひかる:...行こっか。


〇〇:うん。


僕達は放送室を後にし、教室へ向かう。


席に着くなり、隣が騒がしい。


??:おっ、〇〇おはよ!今日も仲良く登校か?


ニヤニヤしながら話しかけてきたのは親友の京介。幼稚園からの幼馴染だ。


〇〇:別に...そんなんじゃない。


京介:おいおい...そんな顔すんなよ...冗談だって...それより隣のクラスの‪✕‬‪✕‬、藤吉さんに告白してフラれたらしいぜ!


〇〇:まぁ...藤吉さんは鉄壁だしな...


京介:‪✕‬‪✕‬モテるからいけるかと思ってたんだけどなー。ところで、そういうお前はどうなのよ?


〇〇:何が?


京介:とぼけんなよ...森田と最近どうなの?


〇〇:どうって...別に普通だよ。


平常心を保てた自分を褒め讃えたい。今1番聞かれたくない話題だ。


京介:普通ってお前...毎日一緒に登下校して、あんなに仲良さそうにしてて、付き合ってないって...正直変だぞ?


〇〇:いいんだよ...このままで。


変だよ。そんなこと僕が1番わかってる。


実際僕は彼女のことが好きで、告白してフラれているのだ。悲しい事この上ない。


京介:まぁ...お前がそれでいいならいいけどさ...


つれない返事に飽きたのか、京介は大人しく席につく。ちょうど先生が入ってきて、朝礼が始まった。


___今日も退屈な一日が、始まる。



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授業も終わり、放課後。僕は1人放送室にいた。もちろんこれも放送委員の仕事なのだが、部活に所属していない僕は放課後ここで本を読むのが好きだった。


いつもならひかると2人で談笑したり、オススメの本を教え合ったりして過ごすのだが、今日は僕ひとりだ。鍵のかかっていない扉を開け、中に入る。


機材を操作し、下校の音楽を流す。もの寂しい音楽と雰囲気のせいで、昨日のことがまた思い出される。


〇〇:...何が足りないんだろうな...


ひかる:...何か足りないん?




〇〇:わっ!?ちょ...いるなら言ってよ...


物陰からひかるがヒョコっと顔を出す。


ひかる:びっくりさせようと思って。


〇〇:おめでとう...大成功だよ。


ひかる:...えへへ。


彼女は嬉しそうに僕に抱きついてくる。これは幼稚園の頃からずっとそう。嬉しい時も悲しい時もこうしてくる。


しかし、思春期真っ只中の中学生男子にこれはなかなかキツい。しかも彼女には昨日フラれている。


ひかる:...そう言えば、言わないけんことあるの。


〇〇:なに?


彼女は僕に抱きついたまま、少し俯く。


ひかる:...私...その...彼氏...出来た。


〇〇:...えっ!?




__僕の心臓は今までで1番大きな音で鳴った。


_____________be continued.

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