ブロック注射は効く?効かない?

こんにちは!

 昨日の夜は弊社副社長の深澤よりブロック注射に関する質問をもらいましたので、それに対する質問と回答を共有させて頂きたいのですが、その前にあなたはブロック注射というものをご存知ですか?

 ブロック注射とは神経ブロック注射の略です。そもそもの話ですが、痛みを感じる経路としては痛覚神経というものが全身にあり、そこが危険を察知するとそれを電気信号に変換し、脳へと送ります。そうすると、脳が痛みを感じます。

 これが基本です。これが基本と書いたのはもちろん例外もあるからであり、実際には危険な状態ではないのに痛みを感じたり、戦争や事故で失った脚や腕に痛みを感じたり(幻肢痛)、大根にくぎを指したら痛みを感じるように暗示をかけたり、あるいは逆にかなり危険な状態にあるのに痛みを感じないこともあります。

 後者の例では、戦争で貫通銃創を負っても全く痛みを感じずにそのまま戦い続けたとか、海でサメに足をかまれても痛みを感じなかったなどの例があります。ただ、いずれのケースもいったん正気に戻ると激しい痛みを感じたそうです。

 このように基本的には痛みとは自分の体になんらかの危険や損傷が生じていることを知らせる為の一種のフィードバックなのですが、必ずしもそれがいつも正常に機能している訳ではありません。

 そうなった場合に、意図的に、つまり人工的にこの痛みを軽減させたり、消失させたりする方法があり、そのうちの一つの方法が神経ブロック注射です。

 神経ブロック注射とは湘南内科ペインクリニックのウェブサイトによると「神経ブロックは痛みや痺れ、麻痺などを起こしている神経の周辺に局所麻酔剤を注入してその神経の働きを一時的に止めて痛みを取ったり、神経によっては血流を改善して痺れや麻痺などの症状を改善する治療法です」とのことであり、他の人の説明も似たりよったりです。

 では、このブロック注射私はどう考えているのかということですが、早速質問と回答に進みましょう。


質問

「野洲川練習会に参加している中学3年生の○○さんが現在シンスプリントでなかなか走れない状態になってて、最終手段としてブロック注射も考えているということですが、お父様的には不安もあるようです。

池上さんはブロック注射のご経験はありますか?

もしありましたらどのようなものだったか、教えていただきたいです!」

とのことでした。これに対する私の回答は以下の通りです。


回答

「俺自身は経験がないけれど、理論で言えば、痛覚神経が過敏である状態とか筋肉はしっかりとほぐれて関節も正常に動いて痛みがとれるはずなのに脳や痛覚神経が痛みを覚えているっていうケースにおいて有効な治療であって、根本的な治療ではないかな。

 思いっきり足底、ふくらはぎ、ハムストをほぐしてそれでも治らなければ、ダメもとで使っても良いかなとは思う。ただ、万が一失敗すると神経を傷つけて医療事故的なケースも見たことあるから、そのリスクも0ではない。

 先ずは思いっきりほぐしてみて、ロキソニンを上限いっぱい使用してみて、それでもだめなら最後の最後に検討しても良いかなっていう感じやな。

 また、そもそも筋肉の慢性的なコリ固まりで痛みが出たり、関節の可動域が悪くなって痛みが出ている場合においてはブロック注射やステロイド注射では全く痛みが消えないこともままある。効くも八卦、効かぬも八卦みたいな治療法やから、基本に則って先ずは思い当たる筋肉を思いっきりほぐすことから始めて、同時並行でロキソニン使って、それでもだめなら後悔のないように最後の滋賀県選手権に間に合わせるために使うのも一つなんじゃないっていう感じやな」

 公平を期して説明しておきますが、こういった医療事故的なケースはほとんどないです。効かない場合でもなんらかの副作用はほとんど聞いたことがないです。ただ、一回だけそういう事例を見たことがあるので、そういう可能性も最悪0ではないという話です。

 ほぼないけれど、人生一回きりなので、最悪そういうケースも考慮に入れる必要があるという話であり、確率的にはさすがにそこまでひどいお医者さんはほぼいないことは付け加えておきます。

 また、こういったロキソニンを使ったり、ブロック注射を使ったり、ステロイド注射を使ったり、場合によっては鍼灸院に通わせることすら「中学生にそこまでして無理させなくても良い」という人がかなり多いですが、私は全くそうは思わないです。

 多感な時期の最後の選手権大会というのはその人にとっては非常に大きな意味を持つものであり、他人がそれをとやかく言うべきことではないと思います。もちろん、本人が「そこまでしなくても良い」というのであれば、別にそれで良いです。

 ただ、本人が出来る限りのことはやりたいというのであれば、使えるものはなんでも使ってあげるべきだと私は思います。後遺症なんてだいたいレースの後しばらく休んでいれば、問題なく消えるものですし、逆に何をどうやっても痛みが出る時は出ます。

 また、「肩が壊れて投げられなくなってしまった」とか「もうその肩では野球が出来ない」みたいな話も大抵は少年漫画の中だけの世界であって、一回無理したくらいで一生走れなくなるようなことはないです。

 交通事故くらいの衝撃であれば、話は別ですが、スポーツ内傷の場合はそこまでのことはまずないです。

 寧ろ、治っても繰り返し再発するとか、なかなか痛みが取れないとかそっちで悩んでいる人の方が多く、一回無理したからその後の競技人生に悪影響が出るというようなことはありません。

 私が先ずは凝り固まっている筋肉を思いっきりほぐして、関節の正常な可動域も確保する必要性があると主張しているのは以上のような理由からです。

 また、こういうものはバランスの問題であり、ステロイド注射やブロック注射が常習化すると問題ですが、こういった最後の選手権大会とかに関しては使えるものはなんでも使うべきです。ある意味では、実業団選手の日本選手権やオリンピックに匹敵するくらい重いものです。

 何故かと言うと、成長期の子供にとっては三回チャンスがあると言っても実質チャンスは一回切りだからです。中学1年生と3年生は全然違うし、中学2年生も3年生も全然違います。これが30歳と31歳であれば、成長の速度の違いというのは無きに等しいと言いますか、実際にないです。

 ただ、中学生や高校生の1年間は成長の度合いが全然違うので、3回チャンスがあると言っても実質チャンスは1回切りです。その重みを考えると、ステロイド注射やブロック注射も使ってあげるべきだと私は考えています。

 では、常習化することにはなんの問題があるのかということですが、これは治療方法として長期で見た時に正しいのかという問題があります。

 例えばですが、ステロイド注射は確かに炎症反応を抑える即効性はあります。ただ、あまりにも使い続けるとかえって靱帯や腱がもろくなったり、凝り固まった筋肉がほぐれている訳ではないので、凝り固まった筋肉から生じる異常な細胞の生まれ変わりであるネクローシスとそれによって生ずる低度で慢性的な炎症反応が抑えられる訳ではないのです。

 ステロイド注射もどちらかといえば、急性期の炎症反応に効きやすいもので、低度で慢性的な炎症反応には効きづらいです。

 また、全ての薬物は使い続けるとどんどん効かなくなるという事情もあります。そうすると、投与量を増やす必要が増し、同時に副作用のリスクも高まっていきます。

 神経ブロック注射に関しては、筋肉もほぐれている、関節も正常に動いている、それでも痛覚神経が過敏になっていたり、脳が痛みをまだ覚えていて痛みが取れないという状況においては有効だと思います。

 ただ、それは思いっきり筋肉をほぐして、関節の可動域も出して、骨に損傷がないことも確認して、それで始めて出番が出てくるものです。

 注射だけではなく、経口摂取の抗炎症剤においても全て同じことが言えます。

 ですから、全てはバランスの問題なのです。どれも選択肢として頭に入れておいた方が良いと思います。でも、薬物頼みになるのは望ましいことではありません。基本はマッサージや鍼治療で筋肉をしっかりとほぐすことです。

 あとは私には分からない世界にはなりますが、気を整えるということも大切なことなのでしょう。私には理解が出来ない世界の話にはなりますが、脈診と言って、脈から気の流れを診断し、それで実際にポイントをおさえて鍼をうったり、指圧をして痛みが取れるのであれば、それが正しい治療法なのでしょう。

 それで良くなるのであれば、薬を使うよりも気を整えてもらった方が副作用もなく、何よりも自然治癒力が高まるので体全体が元気になります。

 また、私の場合はマッサージなどで筋肉をしっかりとほぐすとともに、慢性的なコリ固まりから生じる異常な細胞の生まれ変わりであるネクローシスを断ち切り、正常な細胞の生まれ変わりであるアポトーシスを生じさせるLLLTという家庭用治療器をよく使っています。

 LLLTには抗炎症作用があったり、過敏になった痛覚神経を鎮めさせる効果もあり、副作用もほとんど報告されていません。

 それが注射であれ、経口であれ、薬物の投与は長期で見ればネクローシスの原因であるフリーラディカルを発生させるので、短期で見れば効果はあるけれど、長期で見れば(過剰に投与すれば)マイナスに働きますが、LLLTは短期的にも長期的にも効果を発揮するので重宝しています。

 また、照射した場所の細胞が活性化し、生み出されるエネルギー量が増すので自然治癒力が増し、そもそも体調が良くなるという東洋医学的な側面も気に入っています。

 LLLTについてもっと詳しく知りたいという方の為に『詳説LLLT』という小冊子をご用意しておりますので、お受け取りになられたい方はこちらをクリックして、問い合わせページに入り「詳説LLLT」と入力して送信して下さい。


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