タカミンの日本酒蘊蓄動画No.98(テーマ:名残惜しい東京芝の角打ちの閉店)

皆さん、おはようございます。
蘊蓄動画第九十八弾をお届けします。
今回のテーマは、タカミンが個人的に思い出深き場所であった都内23区内にある角打ちの閉店について、になります。

東京23区内に唯一存在する清酒の酒蔵が、港区芝にあります。その醸造所の名前は東京港醸造と言います。代表銘柄が「江戸開城」。
まさに、江戸時代末期の歴史的な会見場所近くにその場所があります。そうです。あの西郷隆盛と勝海舟の有名な会談です。当時、その地区に、薩摩藩邸があったと言われ、船着場もすぐ側にあったと聞きます。
江戸城まで3キロ弱。まさに江戸城を焼き討ちにする、という緊張感のある会談で、直前でその最悪な事態が免れ、江戸無血開城が為されたという歴史的な場所。お酒の銘柄はそのご縁に因んで付けられたと聞きます。

東京港醸造は、まさにミニクラフトの代表格で、非常にコンパクトなスペースで、四季醸造で酒造りが行われています。小さなビルが醸造所で、私も以前に数回中を見学させて頂きましたが、驚く程のコンパクトさと、効率的な作業場、アイデアが凝らされた設備・備品・工具等が目につきました。これこそ、新時代の酒蔵の象徴的な存在であると思います。

その蔵の前に、テイスティングカーを設えて、所謂角打ちスペースが提供され、コロナ前には毎日結構な賑わいであったと伺っています。
比較的リーズナブルな出来立てのフレッシュ感のある日本酒が毎日提供され、それも結構な種類を飲むことができます。また嬉しいことに、お酒のお供となるつまみも販売されていて、ついつい買ってしまいます。

そんな角打ちスペースが、残念なことに、2023年12月末で幕を閉じました。最終日に、私も家族3人で訪れ、杜氏の寺澤様にも直接挨拶して参りました。今後は、その側のビルの最上階で、少しお洒落な日本酒バーが開店するという事情もあり、今回の閉店という決断に至ったものと思われます。

個人的には残念ですが、色々と楽しい思い出を私にプレゼントしてくれた大切な場所です。

江戸開城、まだ一度も呑まれたことがない方は、是非一度ご賞味下さい。まさに東京産の代表的なお酒です。

秘蔵の日本酒 高見酒店
店長:唎酒師タカミン(髙見 広行)