タカミンの日本酒蘊蓄動画No.99(テーマ:「ぬる燗の持つ魅力、その繊細な飲み口に惹かれて」)

皆さん、お元気ですか?

さて、今回の第九十九弾のテーマは、「ぬる燗の持つ魅力」について、少しだけ蘊蓄を垂らさせて頂きたいと思います。宜しくお願いします。

日本酒の持つ魅力の一つとして、「温度差を付けても楽しめる」というのがあります。他方で、1年を通して飲める、季節毎の雰囲気をお酒を通して堪能できる、というのであれば、ワインでも実現できないわけではないと思います。

ただ、流石にワインにおいては、温度差を売りにしている種類のワインは極めて少ないと思いますし、限定的です。私の記憶では、冬のウィーンの外の屋台で購入したホットワイン(赤ワインの熱燗)だけです。これは、オーストリアでは有名な飲み方のようで、寒い東欧諸国では散見されるようです。

身体があったまるという点では、同じ効果がありますが、これまでに、ホットワインを飲んで、ワインが美味しいと感じたことはありません。

日本酒の場合は、燗酒を売りにしている生産地域、とりわけ山陰地方の鳥取県や島根県では、非常に上質な燗酒に適した清酒が醸されています。中でも、以前訪れて購入してきた、鳥取県の山根酒造場という酒蔵は別格の存在として有名で、純米酒系のお酒を主体に醸造している蔵で、更には、周辺の地元の契約農家様とタイアップした酒造りにも着手されており、酒米の名前をそのままお酒の銘柄として付けて、希少価値あるお酒として、少量で生産・販売している試みがあります。

通常は、山根酒造場様は「日置桜(ひおきざくら)」という銘柄で販売を行なっておられ、この銘柄は関東圏でも最近相当有名になってきております。

タカミンが今回ご紹介する燗酒は、その中でも上質の「玉榮(たまさかえ)」という酒米の名前を銘柄として付けた、貴重なお酒を紹介しております。ラベルも魅惑的で美味しそうな雰囲気を醸しております。

そして、最近購入した熱燗器で、所謂ぬる燗(人肌の温度に近い燗酒)にして自宅で呑んでみたのですが、これが実に最高!
丁度、高品質の酒米の仄かな芳醇な香味と味わいを堪能できて、更にこのお酒の造りが「生酛」とあって、実にコクのある冬酒として、鍋と共に味わってみたい、あるいは、食後にからすみと共に、ちょびちょびいってみたいと思わせるお酒であると実感しました。

斯様に、日本酒の持つ魅力とは、ワイン同様に、食中酒としてアピールする中で、そのワインにはない、温度差によって、同じ酒でも酒の顔が変わる、ということが、非常に魅惑的かつ強みであると個人的には理解しております。

さて、次回は記念すべき第百弾の蘊蓄動画になります。
どうぞ、次回の蘊蓄動画もお楽しみにしていて下さい。

秘蔵の日本酒 高見酒店
店長:唎酒師タカミン(髙見 広行)