島根スサノオマジックと宇都宮ブレックス、両チームの編成の差はどんな感じ?
ワイルドカード2位に位置している島根スサノオマジックですが、仙台とのゲームを1勝1敗で終えたことで、3位の広島ドラゴンフライズとのゲーム差が無い状態になっています。
島根はペリンビュフォード、津山尚大がゲーム中に負傷し、特にペリンビュフォードはあまり状態が思わしく無い中でのアクシデント。接戦をホームで落としてしまった事も重なり、雰囲気は最悪と言えるでしょう。
広島ドラゴンフライズは川崎ブレイブサンダース相手に2試合連続の快勝。勝率・勝ち数は同じとはいえ、対照的な2チームとなってしまいました。
この状態で残り10試合を残したままCSに出場することは限りなく難しくなります。島根スサノオマジックが、今シーズンは拮抗した試合を負け越していることが理由です。
全チームがスパートをかけると言わんばかりにパフォーマンスをあげてくるシーズン終盤戦において、そういった事実がある限り我々の期待に添えない結果となる可能性は高く、その覚悟は必要となります。
また仮に、もし出場できたとしても相手は宇都宮ブレックスです。今季は1勝1敗ですが、1試合目は相手が布石のゲーム展開をした事もあり、点差以上の完敗。2試合目を勝った事でタイブレークになった際の得失点差はこちらが有利になりましたが、そんなものは今更何の役にも立ちません。しかも、その勝利は相手の自滅(4クォーターでのターンオーバーの連発)によるものです。
チーム編成においても、所謂「ビッグ3」に頼りきりの島根に対し、比江島、ニュービル、遠藤、フォトゥ、ジェレット、鵤、エドワーズ等、バランスと個の質の高い宇都宮は今の所死角が見当たりません。間違いなくBリーグ最高のロスターでしょう。
これは私が私見で比較したロスター表です。
1つ目は安藤と遠藤のマッチアップです。
得点ランキング3位に位置している安藤に対し、
遠藤のフィジカルのあるディフェンスと安定したシューティングは40分間通して脅威であり、身長差もあるため容易にバスケットに向かわれてしまう可能性もあります。
ただ、安藤の身長差をものともしないスキルフルなプレーはリーグ随一であり、波に乗ってしまえばどの様なディフェンスの名手でも止められない状況です。よって、安藤優位とします。
2つ目は白濱と比江島についてです。
はっきり言って、ディフェンスに定評がある白濱でも比江島を止めるのはかなり難しいでしょう。そもそも他のディフェンシブプレーヤーでさえ止めることはかなり困難です。加えて、ハンドチェックによってファールが溜まりやすい白濱と、ファールドローの技術がある比江島は相性が悪いため、比江島優位とします。
3つ目はビュフォードとニュービルです。
この2人のマッチアップは、リーグNo.1と言えるほどエキサイティングなものになります。ロングレンジの精度が高く、アシスト力にペリメーターのディフェンス力もあるDJニュービルは、攻守においてオールマイティな活躍が見込めます。また、クラッチシューターとしてのイメージもあり、拮抗した場面での彼のパフォーマンスには宇都宮も全幅の信頼を置いていると言っても良いでしょう。チームに熱量を生み出す彼のリーダーシップも特筆すべき点です。
ペリンビュフォードは、今や押しも押されもせぬ島根スサノオマジックのエースです。リーチの長い彼がアイソレーションを始めれば、振れ幅の大きいドリブルと緩急で相手を置き去りにし、どのような態勢でもシュートを捩じ込んできます。アシスト力も抜群であり、相手を出し抜くパスもお手のものです。ディフェンスにおいても、リバウンド、ブロック、スティールの個人スタッツは軒並みリーグトップクラスにあります。
ほぼ互角としたいところではありますが、おそらくMVPは確実とも言えるハイパフォーマンスを重ねているビュフォードに白旗をあげないわけにはいきません。まさに「参った!」状態です。よって、わずかな差ですがビュフォード優位とします。
4つ目はケイとフォトゥです。
実況曰く「毎試合影のMVP」と形容されるニックケイですが、その言葉に尾鰭はついていません。昨季50-40-90に迫るスタッツを達成したニックケイのシュート精度はリーグのみならず、国際的にもトップレベルの水準です。プレッシャーリリースにもなる4番選手のボール運びもそつなくこなし、ミスマッチがあればそれを確実についてくるポストムーブの技術もあります。ディフェンスでもテイクチャージを取れる強かさがあり、とにかくバスケットIQが抜群に高いです。
アイザックフォトゥは、ペイントエリア内の多彩なポストムーブや、シュートレンジの広さ、苦しい態勢でも決め切ってくる強さが魅力のインサイドプレーヤーです。特に、ペイントエリア内のベビーフックは止めることが非常に困難でしょう。速攻でも先陣を切って走る走力もあり、ディフェンスに重きを置いているブレックスのディフェンシブアンカーとしての役割を担う彼の貢献度は高いものとなっています。
この2人の比較も難しいものでしたが、ビッグ3の一角を担うニックケイの貢献度は、他の2人以上に高く、おそらく彼がいなければ島根はCS争いさえ不可能だと考えているため、ニックケイに軍配が上がるのではと考えています。
4つ目はニカとエドワーズです。
チームの帰化枠としての重責を担っている2人は、文字通り身体を張ってチームに貢献しています。ウィリアムスニカはリーチの長さを生かしたブロックや、積極的なオフェンスリバウンドが武器の選手です。ベテランですが、率先してスプリントをし、ブレイクによる得点の場面もあります。
ギャビンエドワーズもニカと同様の役割がありますが、彼はその上にミッドレンジや3ポイントもあり、PnRによるダイブのほか、ポップも出来るため、コートを広げる事もできます。そういった点から、エドワーズ優位とします。
ただ、島根は同じく帰化枠のエドワードモリスもいるため、どちらがエントリーするかも一つの見どころと言えるのかもしれません(どちらにせよエドワーズ優位が変わる可能性は低いですが…)。
このように、両チームのスターティング5はほぼ互角と見て良いでしょう。しかしなぜ、勝率・完成度共にブレックスが高い水準にあるかと言われると、やはりベンチメンバーの質の差が大きいのでは無いかと考えられます。セカンドユニットがコートに入っても攻守両面のクオリティが落ちないブレックスと、ペリンビュフォードの穴を埋められる選手(そもそもいないかもしれませんが)、ニックケイの負担を減らしてくれるインサイドプレーヤーがいないスサノオマジックでは、フルセットの持久戦になった場合不利になるのが島根であるのは明らかです。
津山と鵤は、貢献の仕方こそ違えど(津山はハンドラーやスポットアップショット等のオフェンシブな役割、鵤はゲームメイクやフィジカルを活かした高強度のディフェンスが役割かな?)、その貢献度は互角と言って良いのでは無いでしょうか。安定感のある鵤と、波に乗ると止められない津山の、シックスマン同士のマッチアップは優位差無しとなるのではと考えます。
晴山と渡邉は、同じシューターとしての役割を期待されていますが、1試合のアテンプトが少ないためリズムを作りにくく、さらにそれ以外の武器が少ない晴山に対し、ベテランならではのリーダーシップと爆発的な3ポイント力、ゲームメイク力もある渡邊では、後者を優位にせざるを得ません。
谷口と竹内に関しても同様であり、控えのインサイドプレーヤーでありながら3ポイント以外の武器がない谷口と、直近ではスタートとして活躍し、それに相応しい活躍をしている竹内にも大きな差があると言えます。
まず谷口は、バスケットIQが低いとしか言えないミスも目立ちます。速攻で無理矢理止めようとし、結局バスケットカウントになるケースや、簡単に押し込まれてファールトラブルに陥るケース等、無駄なファールによるディフェンスでの貢献不足が著しいです。そもそもインサイドプレーヤーとして身長の低い彼は、苦しい展開が多くなることも仕方がないかもしれません(竹内公輔は206cmに対し、谷口大智は201cmと差がある)。よって竹内が優位でしょう。
マーティンとジェレットに関しては、オフェンスのオプション、攻守両面でのアグレッシブさに大きな差があります。怪我を防ぐことが目的なのか、あまり全力でプレーしているようには見えないハッサンマーティンと、ダイナミックなブロックやランニングプレー、広いシュートレンジ等の武器がある両者の差は大きいです。
リードトラビスがいたなら、トラビスが攻守両面において上だと自信を持って言えましたが、左手のベビーフック以外にほぼ武器がないマーティンでは全く穴を埋められていません。もう1人のインサイドプレーヤーとしてスタートの外国籍の負担を減らすことを期待されていた彼は、怪我を防ごうと全力でプレーしていないように見えるにも関わらず怪我が多いというお粗末な有様です。よって、ジェレットに軍配が上がるでしょう。
北川と、個人的に大きな期待を寄せているワイリーは、そもそもローテーションにも入っておらず、試合に絡むことが出来ていません。
私見ではありますが、大橋を含めた3人は試合に出られないというクオリティの選手ではありません。他チームなら即戦力としての役割を与えられるでしょう。ですがポールヘナレHCは頑として起用しようとせず、これではルーキーの2人は育ちません。「練習は試合のように、試合は練習のように」という言葉がありますが、練習と試合は全くの別物であることをいい加減理解していただきたいと願います。
佐々HCは若手を積極的に起用することで、高島や小川らはメキメキと頭角を現しつつあります。そしてそれは四家にも大いに当てはまるものです。彼らの差は、ヘッドコーチの差と言ってもいいのかもしれないですね。
さらに、ミスターブレックスであり、日本バスケットボールそのものと言っても良い田臥勇太の存在がある限り、並大抵のことでは宇都宮ブレックスが揺らぐことはあり得ません。
このように、セカンドユニットに大きな力量差がある両チームは、どれだけ島根のスタートが力を出しても、いずれガス欠を起こし、簡単なミスや失点によって敗退することが濃厚と考えられます。島根スサノオマジックの試練は続き、その試練は昨年のオフシーズンでの補強失敗から始まったものにあると考えていいのかもしれませんね。いわゆる島根の「強火ファン」である筆者は、オフシーズンに全く希望を見出せません。それは他の島根ファンにおいても同じ気持ちなのではないでしょうか。島根ファンの憂鬱は続きます…。
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