見出し画像

Netflixのラップ系ドラマがおもしろい。

数年前に、『The Get Down』、とい1970年代後半のニューヨーク、サウスブロンクスのHipHopの黎明期を舞台にしたNetflixオリジナルドラマが好きで観ていたのですが...

途中で制作がキャンセルになってしましい、とても残念に思っていました。

最近、主演していた、ジャスティス・スミス君が、実写の『名探偵ピカチュウ』でピカチュウを肩に乗せているシーンをテレビで目撃したり『ジュラシック・ワールド/炎の王国』などなど、大きな作品でおみかけする事が多くなり、また再び『The Get Down』を思い出して観ています。

ジャスティス・スミス君、最近では『最高に素晴らしいこと』という作品にも出演しています。ラップとは関係ないのですが、Netflixのこちらの作品もほんと素敵です。。。

彼は最近、インスタで自分がクィア(男性同性愛者)であることを公表し話題になりました。何と素晴らしいこと!

私は以前、クィアの男性アートディレクターのもとデザイナーとして仕事をしていた経験から、繊細な感性、体力、そして、彼をとりまくコミュニティなどに接しながら、いつも最強だなと感じる事が多かったことから余計に彼に対する関心度があがってしまいました!

話を戻して、、

このジャスティス・スミス君主演の『The Get Down』今思えば、ジェイデン・スミス君も(ウィル・スミス氏のご子息)デイジーという役でラッパー兼グラフィックアートのペインターで、少し変わった雰囲気をもつ役柄で出演しています。

(ちなみに、同じスミスということで、ジャスティス・スミス君もウィル氏のご子息かと思っている人もいるらしいのですが、それは違います笑)



1970年代のニューヨーク、サウスブロンクスは、崩れたビルがいたる処に建ち、そこからは火災の煙があがっていて、空爆でも受けたのか?と思うような、まるで戦地跡かと思わせる風景なのです。同じNYでも高いビル郡がそびえ建つマンハッタンとは大違いで、同じNYだというのに全く別世界なのです。なぜ爆撃を受けているわけでもないのに、火災が多いのか...それは、あまりに貧困過ぎて、家主が家賃を支払ってもらうよりも、燃やして火災保険を得た方が、収益になるため、ギャングを雇って放火している...といった具合。当時の行政からも見放された地域なのでした。



この『The Get Down』、ざっくりいうと貧困な若者達が徐々に夢を叶えて行く的なあらすじで、内容自体ははフィクションなのですが、グランドマスター・フラッシュ(本人が劇中の監修もしている)、クール・ハーク、カーティス・ブロウ役のHipHopのレジェンド達も登場します。同じNYのクイーンズ出身のNASもナレーションで参加。かなり気合のはいったドラマであることは間違いなく、当時の映像も入りつつ、実際合成も違和感なくリアルなのです。

同時期、ディスコブームでもあり、ポップで華やかな音楽が流行る中、同じNYのブロンクスでは、そんなディスコ音楽のかっこいいリズミカルな部分だけをカットし、ダンス目的の途切れない長い音楽をつくる、クール・ハークが考えたブレイクビーツ、HipHopが生まれていたのです。劇中ではディスコミュージックが、Make Moneyだけの格好悪い音楽風に描かれているところもおもしろい感覚でした。



このジャスティス・スミス君演じるエゼキエル君(通称BOOKS)は頭がよく詩を書くのが得意なライム役で、その彼女役のマイリーン(ヘリゼン・グアルディオラ)は、貧困なブロンクスから脱出し、ディスコシンガーを目指す、プエルトリコルーツの教会の女の子の設定です。そのため、ディスコでも少しラテンの要素や、ゴスペルが入っていたり、ソウル、ファンク、更にHipHopもMIXされているのです。私にとってはかっこいい素敵アレンジのパラダイス状態です 笑 サントラもすごく楽しめました!


メインの監督が『ムーラン・ルージュ』『華麗なるギャツビー』のバズ・ラーマン氏で、演出やダンスにも凝っていて、キャストが着ている衣装も細部にこだわり、忠実に70'sを再現し、スニーカーなども当時のものを使用したり、華やか&おしゃれ!


ELLEで衣装のまとめサイトがありました!

華やかだけでなく、この時代の社会問題も背景にあり、黒人差別、貧困、略奪、ドラックなど、とにかく治安が悪い...

そんな不条理な環境下、私だったら完全に心が折れると思います。笑

しかし、そんな中ストリートカルチャーは力強くポジティブにメキメキと生まれていったのです。そして人種差別的な問題も持ち前の頭の良さと言葉で気り抜けていく主人公のエゼキエルは、実にたくましく暴力以外で解決していくのです。...脚本も素晴らしいです。



こんなHipHopに関連したドラマが多々ある印象のNetflixを、探してよくみています。

ドキュメンタリー系『ヒップホップ・エボリューション』ディファイアント・ワンズ: ドレー&ジミー』をはじめ、クイーンズ出身の女性ラッパー、ロクサーヌ・シャンテを描いた『ロクサーヌ、ロクサーヌ』 同じクイーンズ出身NASの少年時代のシーンがあり、ロクサーヌにラップを教えて欲しいという短いですがほっこりする場面もありました笑(先述の『The Get Down』に出演していたブーブー役のTremaine Brown Jr.君がNAS役で出てきて可愛かった)

その他ラップオーディション番組『リズム+フロー』などなど。。多数。。


その他、コメディ・ドラマ『アトランタ』。

何かと話題のドナルド・グローヴァーが、監督主演でアニーという役で、劇中ではブライアン・タイリー・ヘンリー演じるラッパー、ペーパーボーイのマネージャーという役どころです。

直接HipHopがたくさん出てくるわけではないのですが、要所にHipHopが関連します。『アトランタ』に関しては見どころなど一言では語り尽くせない面白いドラマで、観たらはまります。。。

ドナルド・グローヴァーに関しては、何と言ってもで『This Is America』は衝撃ですよね!

昨年度の超衝撃作、ホアキン・フェニックス(故リヴァー・フェニックスの弟という衝撃..)主演の映画『JOKER』に、『アトランタ』に出演しているヴァン役のザジー・ビーツや、先述したラッパー、ペーパーボーイ役のブライアン・タイリー・ヘンリーが出ているのにも驚かされました。

ダークな作品の中で、コメディドラマの『アトランタ』の二人が『JOKER』にも出演していたことに、どこかホッとする感覚がありました。

ちなみに『JOKER』でアーサーがダンスをする象徴的なシーンがあるのですが、撮影場所は、先述の『The Get Down』の舞台となったサウスブロンクスです。

今でも少し危険なエリアとされている、サウスブロンクなのですが、この映画『JOKER』の人気で聖地巡礼、インスタ映えとして地元の人たちが困惑するくらいの観光地となっているようです。

2023年、HipHopは生誕50周年にあたるとのこで、ブロンクスにヒップホップのミュージアムが開館するようです!


グラフィックアートや、HipHopにしても治安の悪さを象徴するようなカルチャーがブロンクスというコミュニティから出てきて、それがミュージアムに展示されるまでの作品になっているのがおもしろく、MoMAのディレクター、パラオ・アントネッリもHipHopを一つの作品として位置づけていた事を思い出しました。

Netflixのおかげで、HipHopが私の中は今熱いのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?