まほ僕 第11話 「体育祭①」
10月某日
乃木高校 体育館
〇〇:じゃあ頑張って
遠藤:うん、そっちこそ負けんなよ!
さくらとの秘密特訓から約2週間が経ち、季節はすっかり秋となってしまった。
〇〇:個人戦は競技場だっけ?
賀喜:うん、そっちはプログラミング場でしょ?
〇〇:あぁ、初めて使うから結構ドキドキしてる
プログラミング場
乃木高校が誇る屈指の技術が詰め込まれた競技場である。
森林や街の中、サバンナなど色々な空間をプログラミングで再現することが出来る。
今回はランダムで場所が決められ、スタートする地点も全員バラバラ。
賀喜:あやめちゃん達、〇〇の事よろしくね
〇〇:俺はガキか
筒井:任せて!
清宮:かっきーとさくも頑張ってね!
さくら:もちろん!
さくら達と分かれ、プログラミング場に向かった。
____________
練習の成果があったのか、一回戦、二回戦と問題なく勝ち進めることができた。
○○:次は準決勝か
筒井:いよいよ上級生との勝負になるね
次の相手は2年の与田、久保、岩本の3人だ。
清宮:私は与田さんとマッチアップしたいなぁ
筒井:それに関しては始まってみないとね
1度、2年生の能力や戦い方などは経験しているとはいえ、実力差があるのは明白だった。
〇〇:作戦としては、無理に戦わなくていいでいいよな?
筒井:うん、出来るだけ固まって戦った方が良さそうだし
しばらくしてアナウンスがかかった。
審判:では団体戦準決勝の方を開始致します。
目の前が光で包まれる。
○○:ここは…森の中?
木々が生い茂る中に1人。
○○:とりあえず動くか
歩き出してから数分が経つが一向に誰かがいる気配がない。
それに、森から出れる気配すらない。
○○:どうなってんだ
広いフィールドなのか、それとも自分が中心に落ちたからそう思うのか
○○:もう少…
その瞬間後ろにある気配を感じる。
大陰:来るぞ…!
大陰の声と同時に振り返る。
??:ちぇっ、あと少しで触れれたのに
○○:誰だ!
相手の手を弾き距離をとる。
??:あなた…大陰の継承者ね
○○:……
何故わかったのだろうか
大陰:あいつは…前鬼だ
○○:前鬼?
大陰:あぁ、式神の一種だ
○○:なるほど、何しに来た?
??:今回の目的はもう果たしたの、だから強いて言うなら視察…かしら?
微笑みながらそう言う女の姿をした式神、前鬼。
〇〇:目的は何だったんだよ
前鬼:ふふっ、簡単に言うと思う?
〇〇:だったら、力ずくで吐かせるけど
前鬼:ふふっ、怖い怖い
そんなことを言いながらも全くおどける様子もない。
前鬼:ま、いっか、言っちゃっても
〇〇:あ?
前鬼:私の今回の目的はね、岩本蓮加の回収よ
○○:は?
前鬼:ちょっとだけ手こずったけどまだまだだったわね
○○:お前…ぶっ飛ばす
大陰:止めとけ、死ぬぞ
○○:大陰…強いのか、あいつは
大陰:五天将と呼ばれるトップクラスの式神だ。
○○:今の俺じゃ勝てないか
大陰:あぁ
前鬼:私もあまり時間がないのでね、あの子の様子も見に行かないとね
〇〇:逃がすかよ、大陰頼む
大陰:仕方ないな、じゃあ代われ
大陰に体を渡す。
前鬼:あらあら、めんどうね
〇〇(大陰):こちらのセリフだ、だがこいつの為だ
前鬼:気に入ってるのね、四代式神のくせに
〇〇(大陰):あぁ、居心地がいいもんでね
前鬼:ふふっ、でもっ!
〇〇(大陰):お?
その一言の一瞬の間で目の前まで攻めてくる。
前鬼:全然、力は戻ってなさそうだけど?
攻撃を受けきる。
〇〇(大陰):丁度いいハンデだろ?
前鬼:舐めないでくれる?
掌印を作り、唱える。
前鬼:解刀!鬼神鎮火!
大きく紅く燃える炎を放つ。
〇〇(大陰):時間が無いからな、手加減なんかしないぞ?
前鬼:余裕ぶってんじゃないわよっ!
〇〇(大陰):〇〇、よく見とくんだな…俺の解刀を
両手で掌印を作り、念じる。
〇〇(大陰):解刀 反実仮想
言い終わると同時に前鬼の炎が襲ってきた…はずだった。
前鬼:が…が、はっ…!
その攻撃を受けたのは俺ではなく、前鬼だった。
〇〇:一体何が…
〇〇(大陰):俺の解刀の肝はひっくり返すって所にある
現実世界で起きる出来事を逆にする、それが大陰の解刀の力だった。
前鬼:こんなにも…力の差があるなんて…
〇〇(大陰):さて、トドメだ
さっきとは違う形の掌印を作る。
〇〇(大陰):転か…
唱えている途中で他の気配に気づく。
筒井:〇〇!
○○:筒井さん!?なんでここに
森の中から筒井さんが出てくる。
〇〇(大陰):ちっ、時間だ〇〇
大陰と体を代える。
その間に前鬼が逃げようとするが、
与田:私もいるよ!
与田さんが死角から攻撃をする。
前鬼:くっ!全く…仕方ない
俺もすぐさまに追撃しようとするが、何故か式が使えなかった。
前鬼:鬼式、鬼時間!
相手の姿が一瞬にして消えた。
筒井:消えた?
その後も周りを探したが何ひとつ手がかりは見つからなかった。
清宮さんと久保さんに合流し、状況を説明する。
久保:そんな…先生に報告しないと
同時刻
もう一人生徒が誘拐される事件が
飛鳥:何してんのよ、離しなさい
飛鳥:みなみを離しなさいって言ってんのよ!
物語の歯車は少しづつ動き始めていた。
To Be Continued…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?