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まほ僕 第10話 「さくらとの秘密の特訓?」

文化祭が終わってもなお学校は賑やかだった。

朝から夕方まで教室にあかりが灯っていた。

それは、体育祭がまじかに迫っていたからだろう。

かく言う俺も体育祭に胸を踊らせていた。

深川:じゃあ今日から体育祭に向けて準備していくよ〜

先生から説明を聞く。

深川:まず、競技の事だけど一人一つ出てもらうから

うちの体育祭は普通ではない。

簡単に言えば魔法を使って闘い、力を高め合う。

競技に魔法や式を使うという訳だ。

深川:ただ、賀喜と遠藤は個人競技に出てもらうから

個人競技とは各クラス上位二名がそれぞれ一人で競い合う競技。

賀喜:頑張ろうね、さく

さくら:うん!

深川:残りの人は事前にアンケートで答えてもらったからどの競技に出るのか発表するよ

深川:団体競技に出るのは、白石、清宮、筒井の三名

○○:団体か…

深川:言われた3人は集まって話でもしといて〜

筒井さんに清宮さんか

確か2人は仲がよかったはずだ、いつも一緒にいるイメージがある。

ほとんど話した事がない俺はどう声をかけようか迷っていた。

清宮:よろしく!○○くん!

そんな事を考えているとあちらから声をかけてきた。

筒井:うるさいよ、レイ。よろしくね○○くん

〇〇:あ、うん、よろしく

元気があって明るい清宮さんと凛としていて落ち着きのある筒井さん。

誰がどう見たって真逆な2人。

清宮:○○くんって確か特Ⅲ類だよね?

○○:そうだよ

清宮:やっぱり!初めてなんだよね、見たの!

○○:あれ?さくらとは違う学校だったの?

筒井:私たちは第二中学の方だったから

○○:なるほど

筒井:じゃあ体育祭ではよろしくね?

○○:うん

清宮:練習も沢山しようねー!

次の日から3人での練習が始まった。

○○:はぁはぁ

筒井:なかなか合わないね

清宮:そりゃ初日だからね〜

この2人の息はアホみたいにピッタリだったが

俺は全く合わせられなかった。

○○:ごめん…

筒井:大丈夫だよ、頑張ろう!




3人での練習が始まってから3日後

俺はさくらに呼ばれて競技場に来ていた。

さくら:あ、来た

○○:どうしたの?

さくら:ちょっと手合わせをお願いしようかと

○○:俺でいいなら

さくら:同じ特Ⅲ類だし

○○:うん

ステージに入り、スイッチを入れる。

さくら:降参した方が負けね

○○:了解

さくら:じゃあ、いくよ

身構えると同時にさくらの姿が消えた。

〇〇:どっちだ…?右か左か…

「残念!上だよ!」

空の方からさくらの声がした。

〇〇:ちっ、反式!

さくら:天式、片固め

こちらが式を出すよりも1歩早く式を出された。

さくらの式により体の自由が奪われた。

〇〇:動かねぇ…

この前までだったら1部にしか効果が無かったはずだ。

さくら:短時間なら全体的に止めれるようになったんだよ

自分だけが強くなっているはずがない事ぐらい分かっていた。

それでも、心のどこかで期待していたのかもしれない。

自分だけが強くなったといった油断もあったのかもしれない。

さくら:天式、来弾

鉄のように硬い空気の塊を吹っ飛ばしてくる。

動けない俺はモロに攻撃を受けた。

〇〇:いっ…!




遠藤さくらが使う天式は天空のもつ式である。

能力としては空気ではなく気体全てを操ることが出来るといったものである。

反式と同じく3つの技に分けることが出来る。

1つ目、来弾。気体を弾丸のように固め、それを相手にぶつける。

2つ目、片固め。気体の質量を変化させることによって動きを止める。しかし、限度あり。

3つ目、翼隻。自分の周りの気体を減少させ空を飛べる。
応用可能。

以上の3つであり、全て気体に関する能力となっている。




攻撃をモロに受けた俺はフラフラする頭を抱えながら立ち上がった。

さくら:大丈夫?もう降参した方が…

〇〇:ありがとな、遠藤

さくら:え?

思わぬ回答に驚いた様子の彼女。

〇〇:まだまだなんだよな、俺も

夢の中から現実に引き戻された感じだ。

〇〇:やるぜ…大陰…

真っ直ぐ目の前にいる遠藤を見つめて唱える。

〇〇:反式、壊

今まで以上に大きな魔力の弾を生成する。

さくら:そうこなくちゃ、天式!来弾!

2人の最大攻撃がぶつかり合う。

凄まじい音と衝撃波が周りを巻き込んでいく。

〇〇:あぁぁぁ!!

ピチャッ

音が足元からしたので見ると水溜まりが出来ていた。

〇〇:水溜まり…?あ!

気がついた瞬間、時は既に遅かった。

さくら:やっと気づいたね!でももう遅い!

彼女には魔法があった。

水と氷の魔法。サブウェポンとして使いやすいものだ。

俺にはないが。

濡れていた足元が氷漬けにされる。

天式で動けなくなった訳じゃないので来弾を撃たれる可能がある。

さくら:天式!来弾!

案の定、来弾を撃ってきた。

もう少しでぶつかるといった数秒前。

〇〇:反式!斜!

俺は使った事がない反式の1つ、斜を使った。

練習では何度も唱えたことがあるが、実戦では初めてのことだ。

そして練習の成果があったのか、来弾の攻撃を受けることは無かった。

さくら:そんな…何があったの?

壊とは真逆の能力となっていて分散、発散させる効果を持つ。

〇〇:ふっ…さぁな…?

俺はその一言を残しぶっ倒れた。

さくら:え?ちょっ、大丈夫!?

式を使いすぎたのが原因なのは明白だった。

さくらとの勝負は持ち越しという事になった。

11話へ続く!

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