まほ僕 第14話 「クリスマス前哨戦②」
場所は変わりー
校内で奈々未さんの話を聞く遠藤たち。
橋本:ふぅ…あなた達には反転魔法について練習してもらうわ
煙草を吸いながら奈々未さんは話す。
さくら:反転魔法ですか?
橋本:ん、簡単に言えば治癒魔法みたいなものね、魔力を流すのでは無く発散させるイメージかしら
賀喜:治癒魔法じゃダメなんですか?
橋本:治癒魔法じゃ限界かある
さくら:限界?
今にも煙草の火が消えそうだ。
橋本:そ、限界。治癒できる範囲とかね
治癒魔法はいわゆる、軽い怪我を治す為に生み出された魔法。
病気や毒、骨折などといった大きな怪我は治すことが出来ない。
また、魔力を多く使用してしまう。
効率が悪い上に燃費も悪い。
その為、治癒魔法を戦闘において使う事はほとんど無い。
橋本:そーゆーわけであなた達には反転魔法をマスターしてもらいます
ー1時間後
私たちは瀕死になっていた。
さくら:し、死ぬ……ぅ
賀喜:い、息が…ぁぁ
橋本:ほらほら、立ち上がりなさい、あと3時間は同じ事してもらうから
鬼だ。本当の鬼がここにいる。
身体は疲れきっていて、今すぐにでもここから逃げ出したいが、その気持ちを押し殺して立ち上がる。
足がふらつくが、胸に手を当てて深呼吸をして気を落ち着かせる。
意識がはっきりし始めると、体の中を流れる魔力が発散するようにと集中する。
さくら:くっ……はぁはぁ…
胃の中が荒れるようなそんな感じが身体中を巡る。
気持ち悪い。
それでも、私は集中を切らさなかった。
何のためにこんな事をしているのか、誰のために、私は強くなるのか。
そんな事を考えると逃げ出すなんて事は出来ないから。
ー3時間後
橋本:よし、2人とも頑張ったわね
さくら:ありがとうございます!
賀喜:反転魔法マスターっ!!
橋本:今日掴んだその感覚忘れないでよ?
2人:はいっ!!
合計4時間。
私たちは無事に反転魔法を身につけることが出来た。
さくら:あ、雪だ
賀喜:ホントだ、そう言えば今日クリスマスだったね笑
時刻は17時を過ぎている。
外は真っ暗だったが雪が静かに降っていた。
さくら:ホワイトクリスマスだね
賀喜:〇〇と伊月達も終わったのかな
橋本:さっき紅凪から連絡があって、2人はもう家に帰ったって
さくら:じゃあ、私達も帰ろっか
賀喜:そうだね、じゃあ奈々未先生、ありがとうございました!
橋本:気をつけてね
2人は手を繋ぎながら学校から出ていく。
そんな2人を見つめていると後ろから声をかけられる。
紅凪:先生だって、よかったじゃないですか、奈々未さん
橋本:うるさい、で権化が現れたって本当?
紅凪:…本当っすよ、明らかにあれはシキガミじゃなかった
近くにあった椅子に座り込む。
橋本:権化か…何かが始まるのかも…
紅凪:四代式神に五天将、権化、全て一切関わりがないなんて思えないでしょ
橋本:だな、これから…何があるんだろうな…
紅凪:何があっても、大丈夫っすよ
橋本:そうだな、なんせ、君がいるんだからな
紅凪:えぇ、四代式神だろうとなんだろうと勝ちますよ
ー北の森 奥地
??:あーあ、死んでるじゃん
??:どうなってる、鴉
鴉:あ、白狐
??:何度も言うようで、すまないがもう白狐じゃないんだ
鴉:そうだったね、蒼草
蒼草:で、権化は死んでるかい?
鴉:あぁ、うん、見ての通りだよ
蒼草:やはりか、これで決まりだね、戌神
戌神:ふん、眉唾では無いようだな、深川紅凪とやらは
蒼草:あぁ、彼がいる限り我々と彼ら…式師たちとの戦力差はイーブンにならない
鴉:じゃあ、やっぱりアレをするんだね
蒼草:もちろん、それでいいね?君たちも
前鬼:………あぁ、私たちはあの方さえ復活すれば他はどうでも良い
後鬼:……同じく
黒猫:アレするにしてもどうすんの?
蒼草:うーん、そうだね…とりあえず…
前哨戦が終わり年が明けた。
〇〇:おはよう
さくら:おはよう、早くも学校だね
賀喜:いよいよ合宿ね!
伊月:あー、地獄だぁ…
萎れ込む伊月とは正反対に元気いっぱいなかっきー。
学校に着くと既に先生が立って待っていた。
深川:はーい、席ついてね〜
〇〇:先生早いですね
深川:そりゃあね!明日から合宿だもの!
かっきーといい先生といい…元気だな。
深川:二年生との合同だから、くれぐれも迷惑にならないようにね
全員:はい
深川:あ、そうだ、ちゃんとグループ分けするから
俺はBチームに入ることになった。
久保さんをリーダーとして俺と早川に筒井さんの四人。
賀喜:みんなバラバラだね
さくら:本当にね
伊月:かっきーは梅澤さんの所だろ?
賀喜:本当は岩本先輩だったらしいけどね
○○:……
あの日以来、先輩達は帰ってきていない
三年生は研修などで忙しいため、より探すのに時間がかかっているだとか
さくら:不意打ちだとはいえ、飛鳥さんを簡単に戦闘不能にするなんてね
賀喜:もっと強くならないと
伊月:そのための合宿だしな、前哨戦でも力をつけれてたんだし、やるしかないよな
みんな頷き、それぞれ自らの家に帰っていった。
合同合宿編 スタート。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?