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まほ僕 第4話 「圧巻」

○○:みんな、勝とう

早川:そやな

さくら:全力を出せば勝てるよね

賀喜:うん!

伊月:頑張るぞ!

5人:おぉー!

与田:元気いいね

久保:やっぱり一年生だね

岩本:威勢だけじゃないといいけど

梅澤:手加減はしないことね

山下:みんな楽しもうー!

岩本:相変わらず能天気…

梅澤:まぁ、あれで強いから

この日、俺たちは知ることになる。

自分達の力と、「一人」の力の差を

さくら:最初は誰が行くの?

早川:私やな

○○:頑張れ!

深川:仕方ない私が審判をするわ

山下:すいませーん、せんせーい

梅澤:お手を煩わせて申し訳ないです

深川:いいのよ

こうして、早川対与田さんの勝負が始まった

与田:手加減しないからね

早川:大丈夫ですよ!

深川:じゃあ、行くわよ、スタート!

合図が鳴るとすぐさまに

与田さんが早川に近づく

早川:早っ

与田:遅いね

服を掴むとまるで子犬を持つかのように

早川自身を軽々と持ち上げ

与田:よいしょ

地面に叩き落とす

早川:くっ!

叩き落とされた痛みのせいか、倒れ込んだまま動かない早川。

○○:瞬殺?

賀喜:まだよ

早川:まだまだ、式!

立ち上がると早々と与田さんに寄る。

与田:……

早川:挙式!

腕の能力を上げて、振りかざした。

早川:決まった!

与田:何が?

早川:え?

確かに彼女の腕は与田さんに当たったはず

だが、与田さんは傷一つ付いていない

早川:なんで…

与田:力の差だよ

与田:雑なんだよね、あなたの式

早川:え?

与田:教えてあげるよ

2人が距離をとる

与田:式。物式!

指を早川の方に向ける

与田:行くよ?

早川:来い…

早川が防御の体制をとると同時に

与田さんが早川の懐まで近づく

早川:くらうか!

防御しようと腕を動かそうとするが、

早川:あれ?

早川の動きが止まる

というより、腕がブランと力抜けている。

与田:力入らないでしょ?

与田:私の式は触れた物や人を対象として身体能力を操れるの

○○:弱めたのか

与田:もちろん!デメリットもあるけどね!

そう言い切ると早川の懐を突いた。

急所をやられた早川はそのまま倒れてこんだ。

深川:与田祐希の勝ち!

山下:うぇーい!

賀喜:強いね

○○:あぁ、やっぱり伊達じゃない

伊月:次は俺だな、行ってくる!

○○:頑張れよ!

深川:二回戦目行くよー!

久保:早く終わらせてあげるから…

伊月:よろしくお願いします!

深川:よーいドン!

伊月:先手必勝!

無防備にも久保さんに突っ込んでいく。

久保:えぇぇ…つ、突っ込んできたぁ…!

○○:なんか慌ててるな…

伊月:切式!参の式 峰打ち!

刀を十字に切り込む

久保:うぅ、式…凶式!

彼女の周りが暗くなる。

○○:真っ暗だ

岩本:久保ちゃんの式の能力ですよ

○○:うおっ!先輩、なんでここに?

岩本:同じⅢ類として賀喜さんにご挨拶を

賀喜:はぁ、まだ試合は終わってませんけど…

岩本:もう終わりますよ、ほら

暗闇の中を目を凝らして見ると

○○:あれは

伊月自身を掴む物体を見つける

岩本:久保ちゃんの式は自分に起こる不幸を力に変えて、より強い「オニ」を召喚するんです

○○:オニ?

岩本:特別な条件下で出せる「シキガミ」とでも思ってください

○○:なるほど

岩本:彼女がそう呼んでいるだけです。

賀喜:じゃあアレをずっと連れていればいいんじゃないんですか?

岩本:そうだけど、条件があって久保ちゃんの周りを囲む黒霧の中でしか「オニ」を操れないの

○○:黒霧も凶式が発動した時にしか出ないってことですね

岩本:うん、あ、ほら

ボロボロになった伊月が暗闇の中から出てくる

深川:久保さんの勝ち!

山下:2連勝ー!

久保:ごめんね、ごめんね、やりすぎたかも…

岩本:大丈夫だよ〜

大陰:惜しいな、この力

〇〇:どうした

大陰:いや、何でもない

大陰が話すなんて珍しい…けど今はそんな事考えてる場合じゃないな。

○○:どうする?次負けたら終わりだぞ

早川:うぅ、面目ない

賀喜:次は私だったけど、さくら行く?

さくら:私!?

○○:確かに、負けられないからな

さくら:分かったよぉ…

深川:次ー!行くよぉー!

さくら:ふぅ

梅澤:順番を変更するなんてね

さくら:ダメでしたか?

梅澤:全然、大丈夫

深川:よーいドン!

○○:梅澤さん、どれだけ強いんだろ

岩本:うちのクラスで三番目よ

賀喜:三番目?

岩本:上Ⅰ類であっても、Ⅲ類に負けないぐらいだから

○○:そうなんですね

この勝負も結果が見えてしまっていた。

しかし、俺たちは知る

「努力」では到底敵わない「才能」というものを。

梅澤:式!恐式

さくら:っ!

さくらが距離をとるが

梅澤:逃げれるとでも?

梅澤さんの速さがそれを上回る。

岩本:梅の式は単純なもの。

○○:というと?

岩本:相手の恐怖が自分の力になる。それだけで今まで戦ってきたの

○○:相手の恐怖…

岩本:相手が格上だろうと大丈夫なのように努力を重ねて貫いてきたわ

岩本:だからNo.3なのよ

梅澤さんの強さの秘密を知った

だからか、負けが頭をチラつく。

梅澤:あなたには才能があるわ

さくら:……

梅澤:それでも私は負けない。そのために努力してきたのだから!

拳がさくらを襲う。

終わりだ

そう思った時

さくら:式…天式!

梅澤さんの拳は空中で止まっていた

梅澤:一体何を…

さくら:私、”最強”目指してるので…

○○:さくら…

さくら:これで終わりです

手を合わせ、唱える。

さくら:天式 来弾

その瞬間、梅澤さんの体が弾き飛ばされた。

梅澤:くそっ…!

端まで弾き飛んだ梅澤さんはそのまま壁に衝突した。

深川:遠藤さんの勝ち!

山下:梅〜!負けるなよ!

遠藤さくら。その力は白石麻衣にも届くほど。四代式神の力を手に入れて三ヶ月で式を使いこなす。

「天才」である。

勝利した遠藤を目の前にし呆然と立っていた賀喜。

賀喜:さくら…

思い出すのは、何年も前の出来事。

To Be Continued…


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