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屋上への扉を乗り越える鳶職人のような電気屋さん

 この間の台風で、屋上にあるエアコンの室外機が故障しました。

 台風の強風が室外機のファンを強制的に逆回転させたため、モーターが壊れたようでした。

 エアコンのランプが点滅し、エラーコードが表示されました。

 修理を依頼すると、台風でエアコンの故障が多く発生しているため、部品の納入に時間がかかるとのことでした。

 その間、隣の部屋のエアコンの冷たい空気を扇風機でこちら側に送って、なんとか暑さを凌いでいました。

 やっと修理ができることになった日、夕方に電気屋さんが来るので、屋上の扉の鍵を開けてくださるように大家さんに頼んでいました。

 しかし、電気屋さんが到着した時に、まだ鍵はかかったままでした。

 大家さんの家を訪ねても、留守のようでした。

(さぁ、困った)と私は思ったのですが、電気屋さんは「じゃあ、横から行きますよ」と言いました。

「えぇ、危ないのでは?」と言うママに「大丈夫ですよ」と、電気屋さん。

 荷物を扉の向こう側に下ろし、電気屋さんは扉を掴むと、横から(下は安全装置なし)扉の向こう側へ、軽々と移動したのでした。

「ひぇ〜! 鳶職人みたい」

 しばらくして、屋上の電気屋さんから電話が入り「プラグを差し込んでエアコンを付けてみて」とのこと。

 あの華麗な職人芸を見たすぐ後では、さすがに「コンセントに届かない」なんては言えません。

 ベッドの上に椅子を置きプラグを差し込み、リモコンのスイッチを押すと、約1ヶ月ぶりに涼しい風が、エアコンから流れて来ました。

「電気屋さん、ありがとうございました!」

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